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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな…
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2020年1月の記事一覧

『山と食欲と私』(11)レビュー

山と食欲と私(11) 信濃川日出雄(著) ――― 新刊が出るたびに買っているコミックスがいくつかあるのですが、その中でもお気に入りの一つがこの『山と食欲と私』です。 もうタイトルで出オチ感満載。タイトルそのまんまの内容だし、11巻まで出ているので皆さんきっとすでにご存じだと思いますw もしまだ知らない、読んだことないという方がおられましたら、 ↑こちらで試し読みできちゃいますのでどーぞ~♪ むむ、いまWeb見てみたらかなりたくさん読めちゃうんですね!! 単行本

『タコの心身問題』レビュー

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源 ピーター・ゴドフリー=スミス (著), 夏目 大 (翻訳) ――― 数日ほど前でしょうか、どこかのTV番組で放映されたらしいイラストがネットで流れてきました。 丸いタコさんの絵が描かれていて、頭のてっぺんに心臓があり、両脇にえらと心臓、頭部の中央に大きな脳、そして、8本ある腕の根本それぞれに小さな脳がこれまた8コ。 たしか、『【悲報】タコは化け物だった、脳が9個で心臓が3個ある』とかいった煽り文句が書かれていました。 で

『人工知能のための哲学塾』レビュー

人工知能のための哲学塾 三宅 陽一郎 (著) ――― 著者の三宅陽一郎さんはスクウェア・エニックスでゲームの人工知能(AI)を研究開発されている方。ドラクエとかファイナルファンタジーの中に出てくるキャラクターたちの思考を作っている方です。 以前紹介した『人工知能の作り方』など、人工知能関係の本をたくさん出されています。 そうした本の中でよく三宅さんが語られていることでまず目からうろこだったのは、「そもそも知能というのは環境にそって(環境と共に)作られていくもので、

『大宇宙の少年』レビュー

『大宇宙の少年』 ロバート A.ハインライン (著), 矢野 徹 (翻訳), 吉川 秀実 (翻訳) ーーー ハインラインのオールタイム・ベストの中のベストとの声も高いジュブナイルSFです。 ◇ 商業宇宙旅行が実現し、ようやく一般人でも月に行ける時代になっていたものの、それにはとてつもない旅費が必要で、大金持ちでないとおいそれとは行くことができなかった時代のお話。 アメリカの片田舎で暮らしつつ、宇宙にあこがれる高校生のキップ少年が主人公。 彼は月面旅行が当たるとい

本棚DIY顛末記(リアルらせんの本棚)

きっかけとにかく本が多いのです。ウチ。 とーぜん本棚もたくさんあるんですけど、困るのは文庫本。文庫本って他のサイズの本と一緒に棚に入れておくと、サイズが小さいので、本の上に無駄な空間ができてもったいないじゃないですか。 なるべくこの空間がない、文庫本にピッタリの本棚がないものだろうか……。 と、探していたら、ありました! その名も 『文庫本専用本棚』 を見つけた!これさえあれば家じゅうの本棚で肩身の狭い思いをしている文庫本がまるっと全部収まるに違いないッ! と、ヨ

『プログラミングガールズ!1ルーシー なぞのメッセージを追え』レビュー

『プログラミングガールズ!1ルーシー なぞのメッセージを追え』 高橋 由季 (イラスト), 石戸 奈々子 (監修), Stacia Deutsch (原著), ステイシア ドイツ (著), 美馬 しょうこ (翻訳) ーーー ミドルスクール6年生のルーシーは、数学が得意でプログラマー志望の女の子。 彼女の母親は現職のプログラマーで、父は芸術家、いたずら好きな兄もプログラミングの知識があって、ある意味なんというか「恵まれた」環境です。 それなのに(!)彼女の家族は、ル

『親バカ日誌』レビュー

親バカ日誌 魔夜峰央 ☆ 映画『翔んで埼玉』、第43回日本アカデミー賞受賞おめでとうございますw なんでもぶっちぎりの最多12部門で優秀賞を受賞されたとか。すごいですねー。 で、あの映画の冒頭に魔夜峰央先生出てきますよねw それどころか、奥様も娘さんも、そして息子さんまで、ご家族全員が出てるそうです。見られた方、気が付きました? そんな魔夜峰央ファミリーが主役のタイトル通り子煩悩全開の親バカエッセイ漫画のご紹介。 娘のマリエちゃんと息子のマオ君への愛情たっぷり

『銀河の死なない子供たちへ』レビュー

銀河の死なない子供たちへ 施川 ユウキ ◇ 『バーナード嬢曰く。』の施川 ユウキさんが描く、とにかく死なない、 人類滅亡後の地球に残された、繰り返しますがとにかく死なない子供たちのお話です。 イエーイ マイクチェック ワンツー いきなりライムが刻まれ、死なない子供、ラップ大好き娘のπ(パイ)が登場。これがまた本当に死なない。一万年もの時を経ても同じ星空を眺めている少女。 巨大な牛(?)に踏まれても、津波に巻き込まれ、クジラにのみ込まれても平然と生きている、死なない

『虚数の情緒』レビュー

虚数の情緒―中学生からの全方位独学法 吉田 武 (著) ◇ 虚数ってタイトルの文字でまず数学の本に見えますね。 もちろん、数学の本ではあるのですが。 じつはこれ、副題にもある通り「中学生からの全方位独習法」の本なのです。 全方位って何でしょう? それは、すべての方向に向かう人類の「知」です。 歴史も、科学も、哲学も。 全ての学問をまるっとひっくるめて「独習」しようという本。 枕になるぐらい分厚いのもうなづけます。(実際、1000頁あります) 数学を中心にはし

『ジャングルの国のアリス』レビュー

『ジャングルの国のアリス』 メアリー・ヘイスティングズ・ブラッドリー (著), Mary Hastings Bradley (原著), 宮坂 宏美 (翻訳) ◇ 今から100年ほど昔、まだまだ「暗黒の大陸」などと呼ばれていたアフリカの大地に、5歳の白人の女の子を連れた一行が冒険旅行をします。その少女の名はアリス。一行は、アメリカ自然博物館に収める標本をつくろうと、マウンテンゴリラを仕留めるため(!)に旅をしていたのです。 本書はそんなアリスと一行の旅を、同行していたアリ

『らせんの本棚』

らせんの本棚とは地道に不定期更新する。わたくし、神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本達の紹介レビュー集です。 アトランダムに食指が動いた本を乱読していますが、面白くないと紹介しませんから、ここで紹介しているのは全ておススメ本です! 基本、ネタバレはなしですからご安心を。なるべく内容をバラさずに本の面白さを紹介するように心がけています。 ですので、対象本を読む前に読んでいただいてぜんぜんオッケー! レビューを読んだあと対象の本を読んでいただくと、「そうそう! これこれ!」って

『図書室の魔法』レビュー

『図書室の魔法』ジョー・ウォルトン (著), 松尾 たいこ (イラスト), 茂木 健 (翻訳) おもしろかったー! 本好き、SF好きにはたまらない本でした。特に小さいころにまわりから孤立してしまっていて、本をむさぼり読むことで自分のアイデンティティを確立したような経験のある人(ってアタシのことかよ!?w)には最高にハマる小説です。 舞台は1979年~80年のイギリス、15歳の少女モリがウェールズの田舎からイングランドに引っ越してくるところから始まります。 日記形式

『翼を持つ少女』(BISビブリオバトル部)レビュー

『翼を持つ少女』BISビブリオバトル部 山本 弘 (著) ◇ 副題に入っている謎のBISというのは美心国際学園の略、学校の名前ですね。 生徒個人の自由を最大限に尊重した、かなり先進的な学校BIS。ここには帰国子女やハーフ、ダブルなども多く、髪・目・肌の色・国籍なども様々。なかなかきらびやかなイメージです。 そんな学校で、純和風の顔立ちでノーメイク、やぼったい服装。なるべく目立たないようひっそりと、教室の隅で自宅から持ってきたおにぎりをぱくつきながらSF小説を読む少女