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カラスは夜に泣く

聞き慣れない音が、耳にさわる。

久々に大学時代の友達と朝まで飲んだ。

カラスといえば?金曜夜の喧騒を駆け抜けた街に、わらわらと集まってくる。ごみを漁る。隣には酔い潰れて蛸のようになった男がいる。

朝は絶好のごはんタイム。昼間は人間がたくさんいて、彼らはビルの屋上、電柱の先、色んなところから僕らを見てる。


ここぞとばかりに地上に降り立つ。まるで人間が弱い時を知っているように、人間を小馬鹿にしたようなその距離感は、昼間に人間と悠々とすれ違う鳩の次に、近い。


はいはい、帰りますよ。


大学時代に初めてオールで飲んだ日のことを思い出した。誰もいない道で途中のコンビニで買った、飲みかけのポカリを空に投げる。投げられたポカリを目で追い、視界に入る。夜の次は朝、待ってましたとばかりに徐々に空が白んできていた。朝帰りなんかしている自分、大学生してるのでは!?酔っているだけなのか、胸を強く打つ高揚感に包まれた記憶がある。


そこには、カラスが鳴いている。


どっしりと構えた大きな黒い影は、調子に乗っている自分に存在だけで”モノ”をわからせた。
「か、かぁ〜」と19歳の陰キャが、か細く鳴いてみる。
喉を前に突き出した形で、数秒後に力強く「ア”ー!」と返事が返ってくる。
何故かわからないけど、喝を入れられたような、応援されたようにも感じた。


2023年10月3日、少しばかりの残業。
家について、一息つく22時。夜はもうすっかり涼しく、クーラーはつけずに窓を開けて過ごしている。


「かぁ〜」

カラスは夜に泣いている。
誰からも見えない、暗闇に溶け込んで、たまに耐えきれずに声を出す


聞き慣れない声が、耳にさわる。



「ア”ー!!!!!!」


28歳のカラスが夜に鳴く。


(本当は鳴きたかったけど鳴いていません)

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