マガジンのカバー画像

OVER THE DAYDREAM(完)

11
運営しているクリエイター

記事一覧

番外編(2)

『ごめん』 「……。」 『ごめんって』 「知りません。だって、逃げたもん」 『ごめんな』 「…

天城らさ
4年前
29

番外編(1)

 あれ、これは……。  ユンギさんが初めて私に口づけたその瞬間、私には違和感も恐怖もなか…

天城らさ
4年前
24

最終章

「おお……似合うじゃん」  ユンギさんはあまり私と目を合わせずそう言ったけど、私もあまり…

天城らさ
4年前
18

第八章

 その日は、季節が春に向かう予感を感じる陽気な一日で、夕方から降り始めた雨は夕立にも似て…

天城らさ
4年前
18

第七章

 ジミンのことを忘れたことは、一度もなかった。  彼が意図的に私との再会を拒んでいるのを…

天城らさ
4年前
20

第六章

「ジミンは、無事に出所したんですか」  時計は4時半を指していた。  もう朝はそこまで来…

天城らさ
4年前
16

第五章

「おまえにたどり着くのは簡単だったよ。ナムジュンがいたからな」  外は、夜明け前の一番暗い時。  雨はまだ降り止まずに黒い世界を包む。   彼女は、せき込むように激しく泣いていた。  こんな真実、今さらだろう。遠く会えないところにいても幸せを願ってくれた誰かが、今はもう、遠くへ逝ってしまったこと。その切なさや歯がゆさや、募る思いを伝えたくても、もうどこにもいないこと。 「……初めておまえに会いに行った日も、雨だったな」 💐  わざわざ雨の日になんて、やめようかと思

第四章

 俺だって、夢見ていた。  カメラマンという職業で食っていくと決めた以上は、どんな安月給…

天城らさ
4年前
14

第三章

 深夜2時を回っていた。  家の中は静かだった。  ジミンがいない――ただ、彼が夜に家を空…

100
天城らさ
4年前
14

第二章

 雨の音はその激しさを、夜はその深さを増す。深夜のフォトスタジオが、何かの膜に覆われてい…

100
天城らさ
4年前
15

第一章

 冬の雨は、優しい。  空気が生温く、柔らかくなる。  ところどころ剥げた白い木枠の窓ガ…

天城らさ
4年前
27