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結婚式スピーチ草稿

皆さん、こんにちは。
(まずは御着席下さい)
ただいまご紹介にあずかりました、新郎◯◯君の上司で、帝京大学ちば総合医療センターのリウマチ科で一緒に働いている萩野 昇と申します。
この素晴らしい日に招待していただき、本当にありがとうございます。御礼申し上げます。

さて、◯◯君は202◯年の4月から我々のチームに参加してくれました。最初から彼の働きぶりには感心しています。この人は「痒いところに手が届く」タイプだな、とすぐにわかりました。
患者さんに対しても、僕が「もうダメかも」と思ってしまうような状況でも、彼は諦めずに立ち向かっていかれるので、私は素直に関心していました。
細かい気配りと粘り強さ、が彼の臨床を特徴付けていると思います。

私達の「リウマチ科」という科は、免疫の異常と戦う科です。
免疫はうまくできていて、システムとして成り立つため、「変わらないもの」を守るために「絶えず変わり続けて」いるんですよね。
医学用語では「恒常性を維持するために一定幅での変動を許容している」といえます。
これは免疫システムが絶えず変わり続ける外の世界、そして内側の世界に対応するために進化してきた結果といえます。

家庭生活においてもこれは同じで、これから◯◯君は◯◯さんと「長く続く、変わらない」家庭を築いていかれるわけなのですが、やはりそのためにはお互いが少し変わり、さらに絶えず変わり続けていくことが必要なのです
免疫を担う細胞にはたくさんの種類があるのですが、それぞれがそれぞれの役割を果たすことが健康な免疫には必須で、好中球とリンパ球の間には優劣はないのです。

そして、たくさんに枝分かれしているご家庭の未来のなかには、子供を育てるという未来も含まれているのではないかと想像します。

子供を育てるということは、親自身が「ああ、自分もこんなにたくさんの人に支えられてたんだ」と気づく瞬間でもあります

例えばわたくしの「のぼる」という名前は、太陽がのぼる時刻に生まれたことに由来すると聞かされておりますし、
◯◯君の名前はとあるプロ野球の名監督に由来するとおうかがいしております。

自分が子供の名前をつけるにあたっても、この「名前をつける」という行為から、親の視点を再確認することになります。というか、驚くほど、つけた名前に子供が馴染んでいくんですよね。

そして、子供の成長過程で、ほんとうに色々な方々にお世話になるのですが、ああ、自分も多くの方々に支えられて生きてきたのだなぁと再確認するわけですが、これらは免疫システムの「恒常性の維持」に加えて「リンパ球の適切な教育と再生産」を想像させます。

来年、◯◯君は△△で新たなステージに挑む予定です。
科のトップとして、優秀な人が去っていくのは寂しいですが、それも成長の一過程ですので、僕たちオッサンの仕事は、若い才能の背中をしっかりと押してあげることだと思っております。

最後になりましたが、◯◯◯◯君、◯◯◯さん、今日は本当に、本当におめでとう!
素晴らしい未来が待っていると確信しています。

いただいたサポートで麦茶とか飲みます。