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清原達郎「我が投資術」短評

伝説の投資家・清原達郎氏の「わが投資術」を読んで、優れた内科臨床医のような切り口での相場理解に感銘を受けました。

他の「初心者向け」の本には、比喩的に言うと「CRPが上がったらステロイドを増やしましょう」「いやCRPが上がったら下がる前触れかもしれませんので思い切ってステロイドは減らしましょう」レベルのことしか書いてなかったりするのですが、この本はもう少し病態生理(??)に踏み込んで、清原氏なりの見方での「信頼できる指標」と、「世間一般では使われているが、清原氏の立場・考え方からは有用とは言えない指標」を峻別し、あくまでも理解可能な規模の企業の株[例えばSONYを1年研究しても何もわからないので時間の無駄]でボトムアップのバリュー投資を行う、というストラテジーを書いています。
これは個々の膠原病で何が起きているかを免疫学的に信頼できる指標で理解し、いつ・どのように介入するかを判断するのと似ていると感じました。

特に第3章後半のベイジアン的発想は、多くの人が読み飛ばすと思うのですが、内科臨床医が理解しているような「使える確率論」が語られていて興味深かったですねえ(← なぜかこの本全体で頻出する語尾)

まぁ「ロジリウ」読んだら突然僕のような臨床が可能になるとは限らないのと同様

この本を読んだら突然清原達郎氏のような大金持ちになれるわけでは無いので(とてもtime-consumingな方法が書かれている)、引き続き個人的な投資についてはno brainのNISAオルカン積立で行くと思います。

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