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元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜㉛

俺は彼女に質問をぶつけることにしたのだ。
何故だかは分からないが彼女と話がしたい気分になっている気がする。
「もしかしてだけれど君は魔王軍のお仲間ってことだったりするのかね!?」
俺は唐突にそんな質問を投げかけてしまいすぐに後悔してしまうが後の祭りなので諦めることにしてその流れに任せた。
するとだ。案外あっけらかんとした口調のままにその返答をしてくれる。
「うんそうだよ♡ よくわかったじゃん。すごいぞー それでね、どうだったどう思ったのか感想聞かせてちょうだい」
そう言われるとなんだか嬉しさを覚えてきてしまうのと同時にどうして俺はそんな状況下におかれているのかと思考回路を停止させたくなっていた。
それから俺が困惑をしているのを悟ったらしい彼女はそんな風に言ってくる。
「ねぇ聞いてくれると嬉しいなあ。
それでね……」
そうして話を聞かされることになる。
まず初めにこの世界の創造主たる神が存在しており、そんな神の使徒であり眷属でもあるのが自分達であるのだと言う 。
つまりはこの世界には魔物が存在するがゆえにその討伐を行っている冒険者も存在しているのだし。
この国もまた例外ではなく、王侯貴族が政治を行っており、そして平民が日々の生活を営み暮らしているという事。
そのような事が当たり前のように
行われていた。
その世界に俺は生まれ落ちた。
そんな話を聞かされてみた。
するとどうなるのだろうと考えさせられそうになるものだ。
「私の場合は神様は関係なしに自分で転移させただけだけど」
などと彼女が言い出してみせた。
そんなことを語られてしまったのである。
「へ、へ、へ~」
と俺は反応を示していく。
だが、少し時間が経てばその状況を何とか受け入れたのか、俺は彼女を家まで送り帰すことに成功したのだ。
「今日はありがとね~
楽しかった。
それで、また近いうちに遊ぼうね」
そんなことを言われて俺が手を振っている間、彼女は消えていったのだ。
俺はまだ混乱を隠せていなかった。
ただ一つだけ理解していることがあった。
それは俺の身に異変が起きているということだけであった。
それもこの前、勇者とあったときよりも明らかにおかしいのだから。
勇者とあってから一週間後。
俺は街へと買い出しに行くことにした。
理由は特になかったがとにかく
行きたかった。
だからこそ出かけたのであるが…………。
(うう、やはり体が怠いな)
俺はそんなことを感じ取りながらも歩く。
その最中であった。
前から見知った人物が近づいてきた。
(あれはこの前は確かいなかったはずだ)
その人物を見て俺は驚いた。
「おっお前。この前の時はいなかったじゃないか。どこで何をしていたというんだ!」
俺は慌てて駆け寄る。
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そいつは笑顔で返してきた。
「まあまあそっ興奮するのは良くないな。落ち着くべきなんじゃ無いのかねぇ、俺は。それとだな、ちょっとばかり事情があってなぁ、今俺がいる場所では表立って活動することが出来なくなっているのよ。まぁ俺も本意じゃねぇ~の。あんたらを騙し続ける形になってしまうっていうかぁ~。俺自身こんなことしてちゃダメなんだなって自覚はあるんだよな」
とかいうことを早口で話し続けてくる。
こいつの正体を見抜けなければ俺はきっとやられてしまうだろうことは容易に想像できたのだが。
俺はこいつがどのような存在なのかを知っているつもりでいたからだ。
(まぁとりあえず今は、あいつが何であるかということを考えている時間はないな)
と思い至り俺は即座に行動する事に決めるのだった。
俺は目の前の男に意識を集中させる事にした。
何故ならば目の前にいる男の様子が変わっていき始めていたことに気付かなかったわけではないのである。
男は笑いながら、
「ハァッ!」
とか叫びつつ俺の方に向けて拳を振るおうとするのが見えてきた。
俺はすかさず剣を取り出しその一撃を止めようとするもあっさりと吹き飛ばされる結果になってしまった。
それから地面に打ち付けられ俺は悶えることしかできなくなっていたという状態だった。
それでも俺は必死に立ち上ろうとするのであるが体に力が入らなかったのである。
どうやらこの症状について考える必要があると感じたのだがそれがうまくできない状態でいることに俺自身は恐怖を覚えたのだが、同時に目の前に男が立っていることも確認する事が出来たのではあるが、そのまま気絶をするかのように眠りに落ちて行くことになるのであった。
目が覚めた時に見えたのはいつも通りの天井だった。
どうやら自分の部屋に戻ってきていたようではあるのだが何故だかまだ疲れが残っているような感覚に襲われたままに体を起き上げる事もせずにじっと横になっていたままの状態で過ごしていたのだが…….しばらくしてやっとまともに行動ができるようになりつつあった頃のことだった。
突然の事で何があったのかということすら理解できてはいなかろうはずなのだがそのはずだったのだが、何と無くの予想くらいなら付くようになっていた。
そういえば俺の前にいた奴は一体何処に消えたのだろうかなどと考えたりもしたが俺の頭が回っていないために上手く考えが纏まらずにおりただぼーっと過ごすしかなかったがそんな俺を他所に時間は進み続けていたようだ。
俺の頭の中にも次第に違和感が無くなっていき始めておりそれと同時に記憶が蘇り始めたりしていて、それに加えて頭痛のようなものを感じた後にようやくといった形で現状を把握するに至るわけで。
俺はベッドの上の上で寝たままではある状態。
しかしそれでも先程起きたことだけはしっかりと覚えていたのだ。
それから俺の身体は何故か動くようになった為に体を起こしてみるとだ。
机に置かれた一冊の小さなノートのようなものが存在していることを発見することが出来たのだ。
俺は恐る恐るとその中身を確認しようと試みようとした。
その前に俺はその手に持った小さな紙のようなものを見ることにする。
そこにはこんなことが書かれていた。
その少年の名前はタシャルというみたいだな、僕にはその名前に見覚えがありました。
106.
俺はその小さな紙のようなものを見終わるとそのままこのお部屋から出ると
そこで美女な女性と鉢合わせするのだった。
彼女は何か俺に向かって問いかけてくるが、それは聞き取れず。
彼女は何かを言い切ると俺から離れていく。
そこで俺は声をかけられていたことに気付き振り返ったところ、
そこで俺は何かしらの情報を得ることができたのであった。
俺にその情報を与えたであろうと思われる彼女の後ろ姿を見ると俺は、
彼女の顔に何だかどことなく似たものを感じる事ができていたりしたからこそ俺は
彼女を追いかけたいと思う心が沸き起こっていたのだと気づいた。
そのせいもあり俺は彼女を追っていくと彼女は扉の向こう側へと姿を消していったが、
俺もその扉の先に進んでいくことに決めた。
俺は何があるかも分からないまま、しかしそれでも俺は進んでいったのだとは思う。
そうして進んだその先で、
「ここは、書庫だよ。あなたに教えないといけないこともあるの。
でも、ここでお話はここまでにしとこうかな。
続きを話すかどうかは、その人が本当にあなたが求めているのであれば、あなたの判断に委ねますよ」
と女性は告げてから、
「それではまた会いましょう」
と言ってくるのだ。
「また会えたね。君の名前を聞いておきたいんだけど、良い?」
と尋ねてみれば彼女は微笑むと俺に自己紹介をし始めて
「私には名前はありません。
ですけどね? 私はとある方の分身でもありその方に名前をつけてもらったのですよ?
……えぇ、私の事は気にしなくて良いですわ。
さて雑用な貴方にはもうすでに色々と知ってもらっているようですし
これから私が知っている事を貴方様にすべてをお伝えしていきます。
ですからどうかよろしくお願いします」
と彼女が言うとそこから俺達は語り合いを始める。
それからしばらくの間、この世界で起こりうる出来事などを聞き続けていくことになるのだ。
そこで俺は
「ありがとうございます。貴女のお陰で知る事が出来てよかったと思っているんですよ?
だからね? 俺は絶対に恩返しをしてみせたいと本気で思っていて」
そう言い出すとその女性が少しだけ戸惑っている様な雰囲気を見せている中でさらに続けてみる。
「俺と友達になろう」
と俺の言葉が紡がれていけばそれに対して反応を見せてくれて、
彼女は笑ってくれているように見えたのでありがたかったし嬉しかったから俺は、
彼女ともっと一緒にいたいという想いが強くなっていたこともあって俺は
「俺の家に遊びに来てほしいし、泊まっていってほしい。
俺の家族とあってくれないか」
そんな風に言えば彼女は困ってしまった様子であったが、しばらくすれば落ち着いてくれた。
そしてそれから、
「はい、喜んで」
という言葉が俺の元まで届いてきて、嬉しく思った俺は思わず彼女を
抱きしめてしまっておりそれに反応をした彼女は
「あ、あう。いきなりそんな」
などと言葉を口にしたように思えるのだけれども、
「いいじゃないの、これだって俺の気持ちなんであって、
決して悪いことだなんて思わないよ。寧ろこれはこれで俺は嬉しいと思ってしまうほどだぜ。だから俺は君の事を」
俺は更に強く彼女に抱きついていくのだけどそのおかげもあって彼女が落ち着いたようにも見えるのである。
「ごめんなさい私なんかが、そんな」
などと言いながらもその行為に対して受け入れようとしているのも見えてきている気が
するのも感じられてきておりそれでいながら、俺は彼女に
「別に問題ないっての。君は自分を過小評価しているだけに過ぎない。
俺にとって君は最高の存在であるのに変わりがないのだしな」
などと言っている。
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すると彼女はその瞳を潤ませていて、
「うううぅ~~
恥ずかしくて死んでしまいそう わたしぃ~~。
あの、あなたのお部屋に、行きませんか。
そうしなければいけなのよね。
そうだそうしようねうん絶対ね! 決めたから! じゃあ早速いこう!」
その慌てるようにして言っている様子を見れば俺は可哀想になってきて、
それでいても可愛いなあとか思っていたりするのであった。
しかし、その後すぐに落ち着きを取り戻したその彼女を見た俺は少しばかり寂しさを
覚えてしまいそうになる。
そうして、そんなことを考えた自分に疑問を抱いてしまったが故に首を傾げながらも
そんなことを考えるだけ無駄だと思い直すことにしたのであった。
その日の夜のことであったが……。
「今日はね~楽しかったよぉ~。それでね……明日もまた来て欲しいの!」
という台詞を彼女が言ったことにより彼女がその部屋にやってきたのである。
それを不思議と感じる事も無く受け入れてしまう自分自身をおかしいと感じるどころか
それが当然であるかのようにさえ考えていたのだがそれが異常なことだということさえも
認識していなかったのである……。
(なんだか眠たくなって来たぞ……?)
ただ今のこの状況の中で意識を保つ事が出来ないのを何とか防ごうとしていたのだが
結局何も出来ないまま気づけば朝を迎えていたのだがそれでもまだ眠ることをやめていない状況で
あるのにも関わらずどうしてだか起きる事が出来なかったのだ……。
「あれ俺どうなったんだ……」
そんな疑問を抱く中、俺が起き上がってからしばらくしてからのこと、
誰かの悲鳴が響き渡ると同時に俺の元へと駆け込んでくることになったがそんなことを俺が考えている間も
「大変だ大変なんだ!」
と叫ぶばかりで何を言おうとしているのか理解できなかったのだ。
なので俺はひとまず落ち着かせるためにも彼女を宥めることにした。
それからようやく落ち着くまで時間がかかってはいたもののようやく
俺の耳元に聞こえるほどの大きさの声を出すことに成功したようだ。
それはこんな内容であったのだが……その内容はというと勇者の仲間の一人が死んだらしいという話。
「何でこんな時に勇者がいないんだよ」
とか言ってきたりするので、俺は勇者について話を聞くことにした。
その結果勇者はこの国とは離れた遠い国に旅立っていて不在なのだということを説明してくれた。
だが俺の脳裏にあることが浮かんで来るわけで勇者はその国の王女と仲良くしていたとかで
そいつとイチャイチャしたいんだとかなんとかと噂されていたりもしていたことを
思い出したりしながら話を続けることにした。
ちなみにその俺の脳内に浮かんでくるような内容が俺自身にとっては妙な気分となるものだった。
(俺は今何を……)
俺は今考えた思考が何なのかを必死になるのだったがどうしても思い出せないままだったので
諦めることにしたのだった。
それよりも今は目の前にいる女性と話をしなければならない。
「俺に出来ることはないかもしれないが、協力することなら出来なくもないと思うから。
まぁそんな訳でとりあえず俺は外に出かけてこようとおもっているんだけど、君もついてこないか?
もしも俺に協力してくれるのならばそれなりの礼が出来るはずだ。
まぁ、そんなところかな、じゃぁ、行ってくるから、待っといてくれるとうれしいなぁ」
と俺は考えるのである。
その女性に別れを済ませると俺は出かけるべく外へと出ていくことを決める。
その際にだ、
「ちょっと出てくるからな」
と伝えるのを忘れなかった。
そして家から出ていきながら俺はこの世界の情報を収集する事にしていく事にするのであった。
この村について調べていた際に分かったことがあるのだが。村の住人たちは全員人間ではない。
魔族や魔物の類だ。だからこそ村人たちとはあまり仲が良くなかったようではある。
その辺りは後々分かることになるのだが俺自身があまり積極的に関わらないことによって
平和に解決できていれば幸いだと考えることにもしておくことにするのだが、その前にだ、その前に一つ。
村の外について確認をする必要があり、それが出来たことで俺は安堵感を得る。
俺はこの村は危険地帯であるということを知り、どうしたら良いものだろうかと悩んでいた。

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