元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜㉜
しかしそれも一瞬の出来事だったのだ、俺は。
俺はその悩みが吹き飛んだ瞬間だったと言えるだろう。
俺が視線を向けた方向。そこは遠くの山なのだがそこの方角より巨大な生物の姿が見えてくる。
ドラゴンと分類される存在なのは一目で分かっていたがそんな奴が村に近寄ろうとしてくるのを目にしたのである。
俺は急いでその場に向かう事にしたのだった。しかしそんな最中に俺はあるものを発見していたのだ。
それはこの村の人達から逃げようとする少女の姿を。
その表情はとても恐怖に染まったものであり、足を引きずるような歩き方をしている。
それを確認した後に俺は助けなければと、そんな考えに至ると俺は走り出したのであった。
そのお陰もあり彼女の前に立つことに成功する。
彼女は俺の姿を見て怯えているのがよくわかる状態だ。
それでもその子は勇気を振り絞るように、俺にお辞儀をしながらお世話になったと
言ってくれるとそこで彼女は泣き出し始めた。
そして、お家に連れ帰ろうと思い彼女の手を取ることになったが、俺はある違和感を感じたわけだ。
「何故俺は彼女を抱きしめようとしたのだろうな?
俺達は出会ってからそこまで時間が経過してはいない筈なのに、
でも彼女のことがとても愛おしいと心の底から思える自分が居ることも確かな事なわけだけれども。
一体全体これはどういうことなのであろう? 俺は彼女を見ていると安心してしまうわけだ。
その気持ちは何なのであろう? ただ単に彼女の優しさに俺は救われてしまったからなのだろうか?
俺は、そのあたりの判断をつけることは出来ないわけなんだけどね?」
と呟きつつ彼女を見る。
彼女は俺の顔を見てくると涙目になりながらも微笑んでいた。
それは綺麗だと思うぐらいのものであって、俺としてはその顔に心を打たれそうになったくらいであった。
ただ俺は彼女を守りたいという感情は生まれていたので彼女を守るために
俺が何かしらしていかなければならないとも感じ始めていたりした。
しかしそれはそれで置いておくととして、俺は彼女に名前を教えてもらう。
そこで判明したが彼女が魔王の娘だと知ってしまい、俺が彼女を守らねばと思った理由を
知ることになったのである。
彼女は俺に自分の本当の名前は、エルミア・ドラグーンと、教えてくれた。
その事実を知り俺は驚いている。
その名前を聞いたときに何故か俺は聞き馴染みがある気がしていて、
「どこかであったことは無いか?」
などと聞いたのである。
そう聞くことによって、俺の記憶の中にあった名前と一致して、
それで俺は彼女と何処かで会ったことがあったということが発覚することになるのだ。
その事については驚きはしたがそれと同時に納得してしまった部分もあったから
俺は冷静さを取り戻すことが出来たのだと思っている。
それから俺はその事で色々と悩んでいる間に、彼女は、突然立ち去ってしまう。
俺に対して彼女は、ありがとうございました、そう告げてきたのであった。
それを聞いてしまったときから俺は彼女が、気になってしまっていることに俺は気づく。
それから俺はまた追いかけようと思ってしまったが流石に追いつくことが出来なくて
俺は落ち込んだまま帰宅することとなった。
その帰り際のことであるが、彼女は、
「私はね……あなたのおかげで元気になれた気がしたよ……私は
あの場所で死ぬのが正しい道であると思っていたし、
それでいいって考えてもいた。だけど貴方が私の命を助けてくだされてからというもの 私が生きたい、
貴方と一緒に暮らしていきたいと言う願いが強くなり始めて…… その事を実感しているのです……!
だから、私の側にずっといて下さい」
と彼女は言うと、その勢いのままキスをしてきたのであり俺は思わず赤面を隠せない状態に
させられたのだが、俺としても断るつもりは無かったため、
「こちらこそお願い致します」
と言ったら抱きしめられ、そのままの流れでベッドへと移動することに……。
そうして一夜を過ごすのであった…………。
次の日となり、俺は目が覚めた時には俺の横には誰も居なくなっていたのだ。
しかし、俺は彼女がここにいないという事実よりももっと大事なことがあり、
俺が彼女を幸せにするんだという思いの方が強く、そう決心すると行動に移すために俺の部屋を飛び出した。
しかしそこに俺の探し人はいなかったので俺はどうすればいいんだろうと困っていたところで俺は
彼女が俺の家に戻ってくるまでにはまだかなりの時間がかかるのではないかと推測したので
その予測を元に行動することに決めた。
それから、しばらくの時間を待ち続けた。
109.
(そういえばあの子はどんな姿形なんだろうと今さらなことを考えてしまう。
今まで俺が会ってきた女性はみんな美女美少女揃いであってだな。
そうすると必然的に、あの子も美人ということになるんではないか)
と考えているうちに時間は経過していき、
いつの間にか空腹に襲われ始めると彼女は部屋に戻ってきたのである。
俺はその時彼女に抱きつき、頭を撫でる。
彼女は最初俺を怖がったがすぐに落ち着いてくれたので良かったと一先づ胸をなで下ろす俺。
「おはよう」
そう言った俺は続けて彼女を落ち着かせる為にこう話す。
「心配させてしまっていたようだが、その、大丈夫なんだぞ。
ただ……ちょっとばかり用事があるというか……用事が終わればすぐに戻るつもりだったんだが、
その……少し長引きそうでな。すまない……」
と俺は謝ると、
「そんなことを言いに来たのではなかった…… 私を置いてどこに
行ってたのか聞かなければいけないんです……!!
もし危険な場所に足を運ぼうとしているというのであれば許さないですよ!?
それに一人で行こうとするなんて馬鹿です。
本当に死んでしまいたいのですか…… わたしの……いえ。わたしだけのまえからいなくならないでよぉ!」
と言いながらも泣く。
俺は、その様子を見ると、申し訳ないと感じ、同時に嬉しく思うのだった。
「悪かった。
もうしないから。泣かないでくれ」
と俺が言ってもまだ泣いていた。
その姿を見るとどうしたら良いか分からないからひとまず優しく抱きしめてから、
俺は、昨日の夜から考えていた計画を実行することを決めた。
まず俺がすべきこと。
それはこの子を守れる力を手に入れること、そのために旅に出ること。
つまりはそういうことなんだが、そのための力を身に着けられる方法を探していこうか。
そしてこの村から出て行く必要があると考えた俺は、俺がこの場に留まる意味も無いと考え、
荷物をまとめると俺に付いていくといった彼女に準備は万端か尋ねる。
もちろん答えはもちろんイエスであると答えられた。
なので俺も、
「じゃぁ一緒に旅をしに行こうぜ」
と言ってしまうと、俺の手を取り握ってくる。
その言葉を待っていましたかのような笑顔を見せてから、
手を握り締めたまま引っ張ってきて俺を連れ出して旅に出たいと彼女は口にして
いたのであった……。
これから、旅が始まるんだ。
「お前を絶対に守り抜いてみせる!」
という覚悟を決めつつも俺と彼女の旅が始まる。
エルミアと旅をしている俺は道中に魔物に出会うたびに俺の力で撃退していた。
それは、今の俺の力の限界を探る目的もあったがそれだけではない。
このエルミアの身をしっかりと守りながら戦えるのかどうか、
そしてどのタイミングまで戦いを続けられるのか、それを俺は試していたのだ。
結果、戦闘において問題はなく、さらに俺はこのエルミアが近くにいることに
よる能力上昇により
ステータスアップをしていたこともあり、かなり強力な魔物相手で
あっても対応できていた。
この力は今後、必要なものだ。
俺は強くなる必要があったのは当然だがそれ以上に今は俺に
とって必要ではないとまでは言わないが、
優先順位が低いと判断した。
このエルミアに俺が強くなったと認めてもらいたかったからだ。
それ故の結果。
110.
「どうするの~? あんな大きな魔物見たことがないんだけどな。とりあえず逃げる? でもどうやって?」
と会話をする俺たちだったがそこで俺はふと思い出したのである。
俺はアイテムボックスのスキルを持っておりその中ならば何でも入れられる。
しかもいくら物を入れておいても劣化することが一切無い優れものである。
「あそこならばあいつが入る大きさはあるはずだからとりあえず入っておけ。
後でどうにかするからな、ほれ急げ、捕まると大変なことになるぞ!!」
俺が慌てて指示を出し、慌てながら俺の後ろに隠れたエルミアの手を掴むとそのまま引っ張り上げる。
その反動で俺達は離ればなれになってしまう。
「ちょ。待てよ おいっ! くそっ この化け物の野郎が俺からこの女を奪い取ろうっていうんじゃねぇだろうな?」
と怒りがこみ上げて来てつい声が大きくなっていた俺であったが、
その瞬間に後ろより糸が吐き出されてそれが絡まってしまい身動きが取れなくなってしまう。
それどころか、どんどん引き寄せられて行き、ついには飲み込まれそうになるのである。
(これはやばいかもしれない……俺の人生これで終わり?
いやまだ死にたくないんだけどね?
だってまだまだ人生楽しめていないし??
せめて彼女ぐらいは作ってからにしておきたいし??
いやまて、そもそもこの状況が詰んでるというのもあるんだけど、そんなのはこの際置いといて。
何とかこの現状を打開しなければ)
「仕方がないな……。あまり使いたくはなかったんだけれど。
奥義を発動させるしかないみたいだな。本当は使う場面では使わないようにと心の中で思っていても
結局はこの場面でしか使っていないんだよな。俺はこういう男なのか?
それともやはり俺自身が変われるチャンスを待っていただけ? どっちなのだろうか?
俺としては俺自身も成長しなければならないから、こういった経験をするのは悪くはないんだと思うわけだ。
とはいえ今はそういった状況下じゃないからな。さっき使ったばかりの必殺技を使うことにしようかな。
でも今回はいつものとは違う技を使ってみることにするか。そうすれば俺の成長につながるだろうから。
よし発動。これが俺の奥の手で最終兵器だ! その名も……そうだね。
やっぱり恥ずかしいなこれ……うん。名前は【大脱出】と、いう事にしておく。
それで早速使ってみようじゃないか。これは対象の人物を別空間に飛ばしてくれる便利な代物である。
それで俺が使えるようになっているのは自分のみ、俺以外の人は使えません。
ちなみに使用回数の制限とかは無いのでいつでも使用可能というチートじみた効果である。
しかし欠点があるとしたら自分の意志で戻って来ることができない。
だから俺がいなくなった場合は俺のことを探そうとせずに大人しくしていると、
いずれ元居た世界に帰してくれる仕組みとなっている。だから安心してくれ」
そう説明すると俺を縛っている力が弱くなり俺はそこから逃げ出すことに成功するのであった。
俺は離ればなれとなったエルミアを探す事にするのだった。
「えっと、俺の彼女は何処に行ったのでしょうか……」
そう呟き辺りを見渡すが何処にもいないから俺は困ってしまう。
ここで俺はある考えに至ったのであった。
その方法は一つで単純に俺があのでかい奴の中に入り込み、中の捜索を行うというものである。
その前に一応俺はあの蜘蛛に向かって呼びかけることを試みるが反応は全くなかったのであった。
どうすればあの場所に入って行けるのかを考えていた時に俺はあるものを発見した。
それは、地面にぽっかり穴が開いているのを見つけたからである。
それを見つけ出したからにはやるしかないと思い俺はその洞窟に入る事を決める。
それから俺が内部に侵入するとその光景を見た俺は思わず、驚いてしまう事になる。
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