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詩!

妻をなくした
その妻は、私が十年前に書いた小説の中に登場する女性だった
妻が死んでから一ヶ月経った
私は妻のいない家で毎日を過ごすのに疲れていた
仕事はなんとかこなしている
だが、家に帰ると何もする気が起きないのだ
そんな私を見かねてか、友人が家に訪ねてきた
彼は私の妻の小説を読んだと言う
そして、彼は言った
──君の妻は君の中で生きているよと
それから私は彼女のことを書こうと思った
彼女がいなくなった世界で生きていくために
私は彼女と過ごした日々を書き記した
そうすることで、彼女はずっと私のそばにいるような気がしたからだ
でも、もうすぐ終わりが来るだろう
それはきっと、彼女からのメッセージなのだと思う
この世界に残された時間は少ない
それでも私は、彼女と共に歩んでいこうと思っている
だから私は今日も筆を取る 彼女のためだけに、
彼女に届けるために 私はこれからも彼女の物語を書いていく
いつかまた会える日を楽しみにして……

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