雑種強勢によっていい品種を生み出す

高校時代は生物が得意でした
らるです。

生物の授業で「遺伝」を
学んだことを覚えている人も
居ると思います。

人間で言えば、わかりやすいのは
血液型ですね。

A型とB型の両親からでも
O型が生まれることがある…とか
そんな話を覚えている人も
多いでしょう。

実は、そんな遺伝の法則を
上手く使って、作物などの
品種改良を行っている
場合があります。

その一つが「雑種強勢」という現象を
利用したF1品種というものです。


F1品種って?

下の図がとても分かりやすいと思います。

竹下大学. 日本の品種はすごい うまい植物をめぐる物語 (中公新書) (p.191). 中央公論新社. Kindle 版.

この図の2段目に居るのが
F1品種 病気に強くて 味もいい
性質をもっています。

じゃあ、このF1同士をかけあわせれば
ずっといい感じの品種がうまれるんじゃないの?
…というと、そうはならないんですね。

F2=F1同士の子供 には
様々な形質が表れています。

病気に強い 味がいい …という品種同士を
かけ合わせても、その子供が
病気に強い 味がいい を受け継ぐとは
限らない…ということなんですね。

このあたりが遺伝の法則の
面白いところなんですが

「ある特定の親」の組み合わせだけを
作り続けることで、狙いの形質を
表す…というのが、F1品種の作り方だ
というわけですね。


F1品種の実用化は日本人がリードした

実は、このF1品種の話は
植物に限ったことではありません。

実は、この実用化は
日本人によって、カイコを使って
最初に達成されました。

トウモロコシのF1品種育成については知っている植物ブリーダーでも、植物以外に関心がないせいではなかろうが、世界初のF1品種が日本で実用化されたことをすっかり忘れてしまっている場合がある。この記念すべき品種を育成した人物は、東京帝国大学農科大学(現東京大学農学部)助教授の外山亀太郎であり、品目はカイコであった。時は第一次世界大戦が始まった一九一四年(大正三年)。じつにアメリカのトウモロコシよりも七年早い。
(中略)
外山亀太郎は五十一歳の若さで亡くなった。もし長生きしていれば、ノーベル賞を受賞できていただろうといわれている。

竹下大学. 日本の品種はすごい うまい植物をめぐる物語 (中公新書) (p.193). 中央公論新社. Kindle 版.

早く亡くなってしまったために
ノーベル賞受賞はかないませんでしたが
そのレベルの偉業だ、ということですね。

そんなレベルのことを
日本人が成し遂げた…というと
なんとなく、誇らしい気持ちに
なってしまいますね。

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