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密偵ニルフから強いエンジンカードについて考える

シーズンヴァイパーも終わり新たな環境の訪れが明らかとなり、多くの人へ一喜一憂をもたらしヤキモキさせているGWENT界隈の昨今。シーズンヴァイパーの私は「密偵ニルフの復権」をテーマにプレイをしていました。

デッキは下記のものを用いました。密偵というと密偵レジスが安易ではありますがあえてその形は取っていません。各カードの採用理由に興味がある方はTwitterにてご質問ください。

結果から言うと復権はならずというものでした。勝率は50%。野獣ワラワラ千葉デッキとは30%の開きがあります(´・ω・`)今回、密偵ニルフをランクマッチで回したのはシーズンの序盤、中盤までだったので、もしかすると終盤の下のランクから上がってきた人達とのマッチングが増えればもう少し勝率は違ったのかもしれません。しかし、プロランク帯の人と戦うためには足りないものが多いと考えさせられる結果でした。

さて、密偵ニルフの何が弱いのかを考えてみましょう。

まず前提として、私はデッキを密偵ニルフとカテゴライズするためには禁衛旅団の執行官をデッキに入れるのはマストと考えています。禁衛旅団の執行官が入っていないデッキは、ディナーでセロハンテープを振る舞われるようなものです。禁衛旅団の執行官が入ってこそ密偵ニルフという極上のディナーが味わえるのです。レインファーン?ワインの銘柄ですか?ビール派なのでちょっとよくわかりません。

閑話休題、では禁衛旅団の執行官の性能について考えてみましょう。

「命令(間接):敵軍ユニット1体に2ダメージを与える。 (チャージ:1)あなたが密偵を持つカードをプレイするたび、1チャージを得る。」

1チャージ2点エンジン!チャージを無条件に2点に変換できるのは、他ではフーベルト・レイク大型弩砲ヘルゲだけです。状況限定でシャニフォルテスト・プライドが続きます。そう聞くとコスト5のつよつよなブロンズエンジンに思えます。

が、いかんせん防御力が低すぎます。素で戦力値は3。アーマーもなく間接列指定はあり。しかも勇躍がないので元から持っているチャージ1すら使わずに終わり、3点カードとして終わることもしばしば。

よって、彼を使う上で課題となるのは彼自身を護ることとなります。そこで考えられるのは守護者を配備するか、ブーストをするかという手段になるかと思います。流石にブロンズカードはどのラウンドに置いても活躍して欲しい。そのため私はリーダーアビリティの帝国陣形でブーストをして護ることを選択しています。

そこで戦力値3というものについて考えます。戦力値3、2ブーストで戦力値は5になります。戦力値5だと北方諸国、ニルフガード、モンスター、スケリッジ、スコイア・テルのそれぞれにダメージでの除去手段があります。シンジケートにおいてもコイン等の状況限定で可能です。そもそもアルズールの雷撃があればどの勢力でも除去ができてしまいます。つまり高確率で護りたいのであれば最低でも4ブーストで戦力値を7にする必要があります。戦力値が7であれば1発ダメージでの除去ができるのは、私が大好きな大会用シェルマールくらいでしょうか。しかし、それでもなお封印や列移動で無効化される恐怖に苛まれます。

次に先ほど述べた1チャージ2点エンジンが本当に強いのかについて考えます。1チャージ2点は強いと言えますが、このカードにおける問題はそのチャージ方法にあると思います。密偵カードとは相手に点数を与えてその代わりに効果を得るカードです。つまり相手に点数を与えて回すエンジンであり禁衛旅団の執行官が行っているのは密偵カードの点数の相殺で、余剰分がこのカードのエンジン部分のバリューなのです。

例えば使者を敵陣に投げると7ブーストが得られますが、敵陣に1戦力値を渡すので使者のバリューは6点となります。自陣に禁衛旅団の執行官が1体あれば使者を配備した場合、

「7ブースト+1チャージ2点-使者の戦力値=8点」

という計算になります。

現在の5コストのカードは緩い条件で7点を出せるカードが多くあり、8点以上出すカードも多くなりました。禁衛旅団の執行官により密偵カードの点数が相殺されることで、使者は7点のバリューとなり及第点に到達できます。このとき禁衛旅団の執行官は1点分のバリューを出したということで初期の1チャージも考慮すると合計6点分の働きをしています。同様の働きをもう1度行うことで及第点へ、更に行えば強い5コストカードということになりえます。

ここで考えてください。結局密偵1枚につき1点分のエンジンしか回せていないこと。更にそのバリューを得るために帝国陣形、ないしは戦略的優位などで護らなければならないということ。見た目は立派だが稼ぎの悪い亭主の典型です。帝国陣形は1ターン護れればリターンの大きいカードに使うべきであり、やはりダミアン・テ・ラ・トゥーヴァティエール・ド・リドーステファン・スケルンに使うべきでしょう。同じブロンズであれば、マグネ師団など置いておけば毎ターン1点ずつバリューを稼いでくれるカードの方が良いように思ってしまいます。

当然、禁衛旅団の執行官を複数枚配備できれば上記の計算も変わってきます。相手の除去を枯らして禁衛旅団の執行官を通す展開も考えられるでしょう。しかし、エンジンカードとして大事なのはエンジンを回すことです。禁衛旅団の執行官の場合、複数枚を配備する=エンジンを回すターンは減っていくのです。ニルフガードでは同化エンジンもそうですが、密偵もエンジンを回しながら同一エンジンのカードを配備していくことができません。β時代に暴れた密偵ニルフの強さは、使者(当時はデッキ内2枚のブロンズユニットカードをサーチし選択したのち配備する効果)によるエンジンを回しながら複数の密偵エンジンを配備できたところにあると考えます。HC後の現在において、ここがスコイア・テルの調和や、モンスターの成長、北方諸国の命令などと大きく違うところです。

さらに問題なのはエンジンを回すための密偵カードがあまり強くないことと量が少ない点です。先に紹介した使者は安定した点数はだせるものの単体への大きなブーストとなるため現在の毒をはじめとした破壊環境には不向きと言えます。その他では公爵の情報員があり、対戦相手によっては相手のエンジンをコピーできるため、前述したエンジンを回しながらのエンジン配備が可能となります。とはいえ振れ幅は大きく、シンジケート全般やオーガニックモンスターにおいてはまったくバリューを出せなくなってしまいます。現在のところ最も優秀なブロンズ密偵カードとしては、相手によって振れ幅はあるものの自陣に5点保証の付く死体投射機だと私は考えています。同化エンジンも回せるところが評価できます。なんなら密偵エンジンより同化エンジンの方が活躍でき、、、ゴホンゴホン。

ここまでが密偵ニルフ、ひいては禁衛旅団の執行官が現環境において厳しい理由となります。

禁衛旅団の執行官を反面教師として考えられる強いエンジンの条件として、

・除去されづらい

・配備された時点である程度の点数が保証されている

・エンジンを回しながら次のエンジンを配備できる

・エンジンを回すトリガーが強い、または種類が豊富

という上記があげられます。エンジンカードを用いる際は上記を意識して選択すると良いでしょう。逆にいうと上記に当てはまる項目が少ないカードを軸としたデッキは安定した勝率が得られないと言えます。

例えば、同じニルフガード勢力のアード・フィアインの石弓兵は上記条件を満たすカードと言えます。出した時点で5点保証であり、兵士タグのカードを配備しながらエンジンが回り、アーマーをはがされエンジンを止められてもアーマーでダメージを吸収した2点分のバリューを考慮するとその時点で7点分の働きをする。同じ5コストブロンズカードでなぜこうも性能が違うのか(´・ω・`)

密偵ニルフはβ時代よりメインで使用していた時期が長く、私にとって愛着のあるデッキテーマです。次回拡張にて密偵カテゴリーの充実が既に発表されています。その流れで禁衛旅団の執行官には華麗なる変貌による飛躍を期待したいと思います。

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