見出し画像

平成31年(2019年)度 東京都登録販売者試験問題( 午後 )その8 問96-100

・はじめに

ひきつづき、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

もし、個人講義やある程度の集団勉強会をご希望の方がいらっしゃれば、仕事依頼連絡先からコンタクトください。可能な限りサポートいたします。

問96

漢方処方製剤及び生薬製剤に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合には、生後3ヶ月未満の乳児にも使用することができる。
b漢方医学は古来に中国から伝わったもので、現代中国で利用されている中医学に基づく薬剤を漢方処方製剤として使用している。
c漢方薬を使用する場合、漢方独自の病態認識である「証」に基づいて用いることが、有効性及び安全性を確保するために重要であり、病態認識には虚実、陰陽、気血水、五臓などがある。
d生薬製剤に使用される生薬は、薬用部位とその他の部位、又は類似した基原植物を取り違えると、人体に有害な作用を引き起こすことがある。
1(a、b) 2(a、 d) 3( b 、 c ) 4(b、 d) 5(c、d)

(答え)5
a× これは明らかに×になりますね。こういった文章自体が×という分かりやすいかと思います。適用年齢の下限が設けられていない場合であっても、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされています。
b× これはまぎらわしいのですが×なのです。漢方というと中国医学と思う方が大半かと思いますが、実は漢方は日本の医学になります。
参考までに、養生としての初めは貝原益軒と言われています。
c〇 これはこの通りですね。なので症状から漢方を見るのではなく、上記の「証」に基づいて内服することになります。
参考として、わかりやすい例をあげると、ダイエットいえば防風通聖散という感じになると思いますが、実はこの薬には大黄などが入っているので下痢をしやすいです。なので冷えや水膨れのような症状には適さないとされていますので注意が必要です。
d〇 これはこの通りですね。漢方は西洋医学と異なり、古くから使われてきた歴史があるお薬になります。そのため、たくさんいろんな方々に使われ改良されてきています。今ではよほどでない限りアレンジは難しいと思いますので似たようなのを使えばどうなるかはわからないと思います。

問97

生薬成分に関する次の記述のうち、 誤っているもの はどれか。
1サンシュユは、ヤマノイモ科のヤマノイモ又はナガイモの周皮を除いた根茎(担根体)を基原とする生薬で、主に強壮作用を期待して用いられる。
2ヨクイニンは、イネ科のハトムギの種皮を除いた種子を基原とする生薬で、肌荒れやいぼに用いられる。
3モクツウは、アケビ科のアケビ又はミツバアケビの蔓(つる)性の茎を、通例、横切りしたものを基原とする生薬で、尿量増加(利尿)作用を期待して用いられる。
4カッコンは、マメ科のクズの周皮を除いた根を基原とする生薬で、解熱、鎮痙(けい)等の作用を期待して用いられる。
5ブクリョウは、サルノコシカケ 科のマツホドの菌核で、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする生薬で、利尿、健胃、鎮静等の作用を期待して用いられる。

(答え)1
これはイモから山茱萸(サンシュユ)がすぐに誤りだとわかるかと思います。サンシュユは、ミズキ科のサンシュユの偽果の果肉を基原とする生薬で滋養強壮の効果があります。
これ以外にも書かれている漢方は一般的に走っておいた方がいい漢方ばかりなのでこれを機に覚えておいた方がいいですね。

問98

殺菌・消毒、消毒薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a殺菌・消毒は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。
b次亜塩素酸ナトリウムは、皮膚刺激性が弱いため、手指の消毒に適している。
cジクロルイソシアヌル酸ナトリウム(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)は塩素臭や刺激性、金属腐食性が比較的抑えられており、プール等の大型設備の殺菌・消毒に用いられることが多い。
d日本薬局方に収載されているクレゾール石鹸(せっけん)液(クレゾール石ケン液)は、原液を水で希釈して用いられるが、刺激性が強いため、原液が直接皮膚に付着しないようにする必要がある。
 a b c d
1誤 正 誤 誤
2正 正 誤 誤
3誤 誤 正 正
4正 正 正 正
5誤 誤 正 誤

(答え)3
a× これは×になります。殺菌・消毒は生存する微生物の数を減らすために行われる処置です。滅菌は物質中のすべての微生物を殺滅又は除去することである。滅菌は特殊な機械(放射線、オゾン、エチレンオキシドガスなど)などを使わないと実際はできません。
参考までに、実際は殺菌と消毒の定義は異なります。
殺菌とは、殺菌とは文字通り「細菌やウイルスを殺す」効果のことです。ただし、死滅させる菌の種類や死なせる量に明確な定義はありません。例えば90%の菌が残ってしまっていても10%の菌が殺せていれば「殺菌」と謳うことができます。
「殺菌」という言葉は薬事法の対象となる消毒薬などの医薬品と、薬用せっけんなどの医薬部外品のみに使用できる表現なので、例えば食器用洗剤に殺菌効果があったとしても「殺菌」という表現はできません。
消毒とは、消毒とは、病原性のある微生物を死滅・除去させて害のない程度にすることです。上に登場した「殺菌」とも似ていますが、消毒の目的はあくまで「無毒化」であり、必ずしも細菌を死滅させていなくとも、病原体の感染力を不活性化させたり、病原体を危険ではない程度まで遠ざけることも無害化にあたるので消毒に分類されます。「消毒」という言葉も殺菌と同様に、薬事法上の言葉で、「医薬品」や「医薬部外品」のみに使用できます。市販の消毒薬のように、薬物で消毒するだけでなく、煮沸消毒や日光消毒、紫外線消毒、焼却消毒などの方法もあります。
b× これはすぐに×とわかってほしいですね。刺激が強く、人体には使用しないこととされています。ほかにも、酸化力が強く、一般細菌類、真菌類、ウイルスに有効であったり、金属腐食性、漂白作用、酸性の洗剤と反応すると、有毒な塩素ガスが発生するので注意が必要です。
よくトイレのなどに書いてあるのがこれですね。
c〇 これはこの通りですね。上記の次亜塩素酸、下記のクレゾールはこちらと同じ塩素イオンが含まれています。塩素イオンは殺菌系に働くことが多いです。ただ食塩(塩化ナトリウム)はそれはないですからね。塩素が含まれると殺菌系に働くことがある理由もあるのですが、有機化学になる部分があるためここでは割愛します。
d〇 これはこの通りですね。上記同様です。ほかには、一般細菌類、真菌類に有効。大部分のウイルスには無効であったり、刺激性が強いため、原液が皮膚につかないように注意が必要になります。

問99

殺虫剤の配合成分に関する次の記述のうち、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。
プロポクスルは、代表的な( a )系殺虫成分であり、殺虫作用はアセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と( b )に結合してその働きを阻害することによる。一般に有機リン系殺虫成分に比べて毒性は( c )。
   a     b   c
1カーバメイト 不可逆的 高い
2カーバメイト 可逆的  低い
3カーバメイト 不可逆的 低い
4ピレスロイド 不可逆的 低い
5ピレスロイド 可逆的  高い

(答え)2
これはこの通りなのですが、ポイントがいくつかあり、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬になります。ということはアセチルコリンの分解を抑えるんで副交感神経に働く時間が長くなると思ってもらえればいいです。
ピレスロイド系はペルメトリン、フェノドリンになり、除虫菊から開発された成分。またフェノドリンは、虱駆除を目的に使用されているということも覚えておきましょう。

問100

一般用検査薬に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a一般用検査薬には、悪性腫瘍の検査が可能なものがあり、薬局で購入することができる。
b対象とする生体物質を特異的に検出するように設計されていることから、正しい方法で検体を採取し、一般用検査薬を正しく使用すれば、 擬陰性
(ぎいんせい)・ 擬陽性(ぎようせい)を完全に排除することができる。
c尿タンパク検査の場合、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とする。
d妊娠検査薬は、尿中のエストラジオールの有無を調べるものである。
a b c d
1正 正 正 正
2正 正 誤 誤
3誤 誤 誤 正
4誤 誤 正 誤
5正 誤 正 誤

(答え)4
a× これは×とすぐにわかってほしいですね。こんなことができたらいいですが今の段階ではありえませんね。仮にあったとしても、薬局医薬品に該当すると思います。妊娠検査薬が薬局医薬品に属しますので一般では手に取れない形になっています。なお、一般用検査薬は、一般の生活者が正しく用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病を早期発見するためのものになります。
b× これも明らかに×ですよね。残念ながら様々な条件が重なると擬陰性や陽性を引き起こします。検査で100%というのはあり得ません。
c〇 これはこの通りですね。
参考になりますが、尿の取り方になりますが中間尿になるので出し始めすぐではなく本当は間ぐらいがいいとされていますが、難しいですよね。
d× これは誤りです。尿中のhCC(ヒト絨毛性性際刺激ホルモン)を検出します。ほかに覚えていただきたいのは、実際に妊娠が成立してから4週日前後の尿中hCG濃度が検出感度になること、月経予定日を過ぎて概ね1週日以降の検査が推奨、検査に用いるのは早朝尿(起床直後の尿)が望ましいこと、温度の影響を受けやすいこと(高温、冷蔵庫内での保管は不適切)は覚えておきましょう。

この記事が参加している募集

スキしてみて

もしよろしければサポートしていただけると幸いです。 いただいたサポート費は、活動費に充てて、 記事などで還元したいと思います。