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平成31年(2019年)度 東京都登録販売者試験問題( 午後 )その5 問81-85

・はじめに

ひきつづき、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

もし、個人講義やある程度の集団勉強会をご希望の方がいらっしゃれば、仕事依頼連絡先からコンタクトください。可能な限りサポートいたします。

問81

(問題)
循環器用薬に配合されるユビデカレノンに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 肝臓や心臓などの臓器に多く存在し、エネルギー代謝に関与する酵素の働きを助ける成分である。
b 摂取された栄養素からエネルギーが産生される際にビタミンB群とともに働く。
c 副作用として、胃部不快感、食欲減退、吐きけ、下痢、発疹(ほっしん)
・ 痒(かゆ)みが現れることがある。
d ニコチン酸が遊離し、そのニコチン酸の働きによって末梢の血液循環を改善する作用を示すとされる。
 a b c d
1正 正 正 誤
2正 正 正 正
3誤 誤 正 正
4正 誤 誤 正
5誤 正 誤 誤

(答え)1
a〇 これはこの通りですね。この成分はコエンザイムQ10なのでそれも覚えておくといいと思います。医療用でもこの成分の薬があります。
b〇 これはこの通りですね。このまま覚えるしかないですね。
c〇 これはこの通りですね。どんな薬もそうなのですが、違和感があった際には中止して、受診勧告が基本ですね。
d× これは×になります。それっぽく見えるのですが、ヘプロニカート、
イノシトールヘキサニコチネートの文章です。ちなみにこの二つはビタミンEと併用されることが多いのもチェックしておくといいと思います。

問82


外用痔(じ)疾用薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ジブカイン塩酸塩が配合された坐剤(ざざい)及び注入軟膏(なんこう)では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。
b 痔(じ)による肛門(こうもん)部の創傷の治癒を促す効果を期待して、アラントインが用いられる。
c ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤(ざざい)及び注入軟膏(なんこう)では、その含有量によらず長期連用を避ける必要がある。
d シコンはシソ科のコガネバナの根を基原とする生薬で、止血効果を期待して用いられる。
 a b c d
1正 正 正 正
2誤 正 誤 誤
3誤 誤 正 正
4正 誤 誤 正
5正 正 正 誤

(答え)5
a〇 これは〇ですね。どんな薬でもそうなのですが、アナフィラキシーがあると思ってもらっていいと思います。副作用のない薬なんてそもそもないですからね。アナフィラキシーは即時性のアレルギーのため、すぐに対応しないと場合によっては命を落とすことがあるので重要です。
b〇 これはこの通りですね。皮膚修復というのは覚えておいた方がいいと思います。
c〇 これもこの通りですね。ステロイドは長期連用は避けた方が無難です。外用は一般的には依存性が少ないとは言われていますが、アトピーなどで長期連用すると薬をやめるときにうまくいかないケースもあるため、なるべく短期で治療するのを勧めます。
d× これは×になります。シコンはムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で新陳代謝促進、殺菌作用、抗炎症作用があります。
シソ科のコガネバナの周皮を除いた根を基原とする生薬はオウゴンになります。抗炎症作用で用いられます。
オウバクとかオウレンとか似たような名前がいっぱい出てきて混乱すると思いますが、一つずつ覚えるしかないんですよね・・・。自分も正直苦手です(笑)。

問83

(問題)
次の記述にあてはまる漢方処方製剤として、最も適切なものはどれか。
体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒(かゆ)み、排尿困難、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、尿漏れに適すとされるが、胃腸の弱い人、下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢の副作用が現れるおそれがあるため使用を避ける必要があり、また、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、のぼせ、動悸(どうき)等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
1 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
2 八味地黄丸(はちみじおうがん)
3 六味丸(ろくみがん)
4 猪苓湯(ちょれいとう)
5 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

(答え)2
こういう問題って難しいですよね。自分なりにポイントを書いてみますね。この患者さんのイメージができましたでしょうか?
自分のイメージでは男性かなと思いました。勝手な解釈ですが、だいたい、男性で使われるのは牛車腎気丸か八味地黄丸かと思います。今回のポイントとして、冷え多尿かと思います。全体的に泌尿器の薬なのですが、多尿でよく使われるのが上記の二つになります。体を温める作用も同様です。
今回の文章だと多尿を強調する際には八味地黄丸になります。漢方って難しいですよね・・・・。

問84

(問題)
婦人薬及びその適用対象となる体質・症状に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 月経の約10~3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や感情の不安定、抑鬱などの精神症状を主体とするものを、月経前症候群という。
b 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では、エストラジオールを含有する医薬品の使用を避ける必要がある。
c 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、体力中等度又はやや虚弱で冷えがあるものの胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、更年期障害、感冒に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。
d 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちなものの月経不順、月経困難症、月経痛、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)、痔(じ)
疾、打撲症に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。
 a b c d
1正 正 誤 誤
2正 正 誤 正
3正 誤 正 誤
4誤 正 正 正
5誤 誤 誤 正

(答え)1
a〇 これは〇ですね。これを一般的にPMS(Premenstrual Syndrome 月経前症候群)といいます。女性は出産という大事なイベントのために生理というのがあり、月経周期を女性ホルモン、黄体ホルモンで調整されています。
b〇 この通りですね。妊娠されると、月経周期が必要なくなるのでホルモンの分泌も変わると思います。
c× これは×になります。桂枝茯苓丸は、ケイヒ、ブクリョウ、ボタンピ、トウニン、シャクヤクからなり、カンゾウは含みません。
ちなみに、桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のほせて足冷えなどを訴えるものの、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身(打撲症)、しもやけ、しみ、湿疹 皮膚炎、にきびに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)では不向きとされる。まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。となっています。まぎわらしいですよね。
この文章は、五積散になります。
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散は婦人科の三大漢方薬になるので覚えておくといいですね。
d× これは×になります。先ほどの通り、カンゾウはこちらも含まれていません。三大漢方薬の中で含まれているのは加味逍遙散のみになります。
ちなみに、当帰芍薬散は、体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまtヽ、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの月経不順、月経異常、月経痛、更年期F章害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい 立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り、低血圧に適すとされるが、胃陽の弱い人では、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。となっています。
この文章は、桃核承気湯になりますね。
参考までに、妊娠中で当帰芍薬散を使うことがあります。その場合には、流産防止で使われます。いろんな病気を推測しながら相談に乗って最終的にどの使い方をしているかわかりますので、勉強しないと難しいですよね。

問85

(問題)
アレルギー(過敏反応)、内服アレルギー用薬(鼻炎用内服 薬を含む。)及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ジフェンヒドラミン塩酸塩は、吸収されたジフェンヒドラミンの一部が乳汁に移行して乳児に昏睡を生じるおそれがあるため、母乳を与える女性は使用を避けるか、使用する場合には授乳を避ける必要がある。
b アレルゲン(抗原)が皮膚や粘膜から体内に入り込むと、その物質を特異的に認識したヒスタミンによって脂肪細胞が刺激され、細胞間の刺激の伝達を担う生理活性物質である免疫グロブリン(抗体)が遊離する。
c 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)は、体力中等度以上で、濃い鼻汁が出て、ときに熱感を伴うものの鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿(ちくのう)症に適するとされている。
d ケイガイは、ハクモクレン等の 蕾(つぼみ)を基原とする生薬で、鎮静、鎮痛の作用を期待して用いられる。
1(a、b)2 (a、c)3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)

(答え)2
a〇 抗ヒスタミン薬は母乳に移行する可能性があるため、授乳すると、乳児にも薬が移行する可能性があるので注意が必要です。基本的には、授乳を避けるか母乳に移行しずらい薬を選ぶ必要があります。
ただ、残念ながらレジメ通りにはうまくいきません。母乳の意向は一般的な薬にも起こりえます。授乳のタイミングとかもお聞きしながら、なるべく、朝1の初乳は避けてもらうことも必要です。血液と母乳も平衡関係があるといわれているので、血液濃度が高ければその分母乳にも移行します。逆を返すと、服用前が一番薬剤濃度が低くなります。ただ、これはドラッグストアでは判断しづらいと思うのであくまで一般的な知識として覚えておいてください。
b× これは×になります。アレルゲンが入ると、免疫グロブリンが異物として認識をしたあと、肥満細胞にくっつくことによってヒスタミンを出します。ヒスタミンはかゆみや鼻水などを引き起こします。前にもお話ししていますが、ヒスタミンは「悪」ではないので注意が必要です。
あと、他にも青魚がでよく当たることがあると思いますが、実はあれもヒスタミンのせいと言われています。青魚の中にあるヒスチジンが変化をしてヒスタミンになり、食あたり等を起こすといわれています。
c〇 これはこの通りですね。前にもお話ししたかと思いますが、葛根湯加川芎辛夷の辛夷はこぶしの花で、つぼみが開くイメージが鼻詰まりを改善するといわれています。漢方は、似た臓器を食べると治るという医食同源の部分もある通り、イメージで効能をしめすものもあるといわれています。せっかくの機会なのでそういった覚え方をすれば少しは実務に役立つのではないでしょうか?
参考までですが、五行配当表はご存じでしょうか?これを見ても鼻に効果があるというのがわかると思います。漢方と現代医学の臓器とは内容が実は異なりますがこの表から見ても肺と鼻は同じ列にあるので清肺(肺をきれいにする)することにより、鼻にもいい効果があるというのがわかると思います。
d× これは誤りになります。ケイガイは、シソ科のケイガイの花穂を基原とする生薬になります。発汗作用、解熱作用、鎮痛作用、鼻閉への効果もあります。この文章は上記で書いたシンイになるので誤りになります。

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