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薬局のM&A 買いと売り どっちがいいの?

・はじめに

最近、業界のメルマガを見ると、
売りに出されている薬局が、
かなり多く散見されるようになりました。

最近では、大手チェーン薬局・ドラッグストアであっても、
閉店をしたり、売却をするケースが少なからずあります。

そこで、自分が記事を見ていて感じていることを
今回は、noteで記載したいと思います。

・譲渡例

まずは、例として、記事をご紹介したいと思います。

【案件番号1】〜 ポイント 〜
・建物は2階建て ・薬局面積は17坪
・地域支援体制加算は未取得
・処方元医師のご子息は医師免許あり
■地域: ○○県中部 ■譲渡形態:1店舗事業譲渡
■応需科目:外科、内科、小児科等 ■処方元:60代後半
≪ 2020.4〜2021.3の直近実績値 ≫
■売上高:約 3,700万円 / 年 ■技術料:約 1,370万円 /年
■処方箋枚数:約 5,300枚 /年 (約18枚/日)
■初期費用:約 1,600万円(税込)
(営業権、固定資産、薬品在庫、敷金、手数料込)
■譲渡時期:相談可能 ■譲渡理由:事業の選択と集中のため

【案件番号2】〜 ポイント 〜
・家賃7.7万円(税込) ・週休2日
・薬局面積は約21坪 ・地域支援体制加算は未取得
■地域:○○県中部 ■譲渡形態:1店舗事業譲渡
■応需科目:耳鼻科 ■処方元:60代後半
≪ 2020.4〜2021.3の直近実績値 ≫
■売上高:約 3,400万円 / 年 ■技術料:約 1,260万円 /年
■処方箋枚数:約 5,800枚 /年 (約24枚/日)
■初期費用:約 1,300万円(税込)
(営業権、固定資産、薬品在庫、敷金、手数料込)
■譲渡時期:相談可能
■譲渡理由:事業の選択と集中のため

【案件番号3】〜 ポイント 〜
・地域支援体制加算は未取得です。
・スタッフ残留については相談可能です。
■地域:○○県東部 ■譲渡形態:1店舗事業譲渡
■応需科目:内科 ■処方元:60代前半 
≪ 2020.3〜2021.2の実績値 ≫
■売上高:約 3,040万円 / 年 ■技術料:約 1,420万円 /年
■処方箋枚数:約 5,990枚 /年 (約21枚/日)
■初期費用:約 1,990万円(税込)
(営業権、固定資産、薬品在庫、敷金、弊社手数料込)
■譲渡時期:相談可能 ■譲渡理由:事業の選択と集中のため

例としてはこんな感じです。
見ていただければわかりますが、
1日40枚もいっていないですし、医師も高齢、
跡継ぎの状況も分かりませんし、
収益を見ても、赤字であることはわかります。
自分が薬剤師で入れば、
人件費を浮かせることができるかもしれませんが、
医療事務や自分が休みを取るための補充等の人件費、
会社としての負担する費用等を考えると、
どう考えても手を出すべき物件ではないことは
誰でもわかります。

経営者の立場からすれば、
倒産になれば、自分に借金はのしかかります。
その前に、勇退して少しでも減らしたいでしょうし、
仮にうまく行っていたとしても、
薬局は薬剤師の人員の問題がいつも付きまといます。
儲かっているうちは、頑張ろうと思えますが、
経営者が高齢であったり、次につなげられる人材がいなければ、
勇退されることは考えることは必然かと思います。

・エージェント

エージェントは最近、すごく増えています。
もちろん、「薬局 M&A」などのワードで検索をすれば、
色々出てくると思います。
一例として、参考までに上げておきます。
もちろん、他にもたくさんの会社が、
このビジネスをされています。
『経営承継支援』(全国対応可能、着手金無料)
『CBアドバイザリー』(全国対応可能、着手金無料、医療専門)
『日経HRエージェント』(関東一都三県のみ対応、一律〇00万円)『ユニヴ』(全国対応可能、着手金無料、薬局専門)
『リクルートメディカルキャリア』(全国対応可能、着手金無料、医療専門)
『インテグループ』(全国対応可能、着手金無料)

ここで、見ていただきたいのは、ほとんどの会社は、
いくらかかるかは書いてありません。
このような会社は、仲介手数料を取ります。

・注意すべきこと①

M&Aがいいか悪いかについては、敢えてここでは書きません。
ただ、M&Aをすれば、購入費(仲介手数料こみ)以外にも
様々な諸経費が発生します。
必要に応じて、レセコンや他の機械の費用であったり、
人の採用が絡めば人件費の発生、
また、多くの方が、銀行から借り入れをすると思いますので、
金利の返済など、様々なことを想定して対応する必要があります。

もちろん、薬剤の購入費用も発生します。
保険請求の関係で支払いが3か月ほどは待っていただけると思いますが、
運転資金がなければ、たちまち資金ショートを起こしてしまい、
倒産の危機に立たされます。
卸が、資金ショートしそうな薬局が判明した際には、
回収リスクを避けるため、現金での納入など、
今までは待ってくれていた支払いも、
ある日から突然変わったなんていう話も聞いたことがあります。

なので、M&Aで購入する際にも注意が必要です。

注意すべきこと②

ひと昔前は、大手も、かなり積極的に、M&Aをしてきました。
しかしながら、冒頭で述べたように、大手も今は売却をしています。

会社の売上げを上げる方法としては、
「店舗を広げていく」
しか方法はありません。
理由は単純で、既存店舗の売上げを上げるにしても、
上げらられる限度があるからです。

そのため、現行のコロナ下で縮小している会社が比較的多いのですが、
拡大を意図した閉店をしていないかぎり、その会社はもちません。
閉店をすれば、収入が減ります。
もちろん、会社の組織再構築を意図するようなものであれば、
次の一手を打てますが、大体、相談いただいている方々をみていると、
逃げの一手を打っている感じに見えます。

さらに、そういう方々に、店舗展開の案を聞いてみると、
いい所があれば出店したいという返答が返ってきます。
その割に、出店するための方法を聞くと、返答がありません。

よく考えてみてください。
大手も日々出店と閉店を繰り返して、試行錯誤しているのに、
中小薬局の方々がそんなに簡単に出店できるのでしょうか?
自分でいろんな情報網を活用して、
集めようとしていない方々が多すぎて、
これじゃあ大手や周りの薬局に飲み込まれるよねといつも思います。
その割に、プライドだけ無駄に高い方々が多い。
幸せな人たちだなといつも思います(笑)。

情報を集めたうえで、コンタクトを取り、損益分岐点を計算し、
かつ、加算を取れた場合の上げ幅等も計算して
総合的に考えるのではないかと自分は思います。

そのためにも、現在の薬局でも加算が取れる体制ができているかが
肝になると思います。

・今後の展開

ご存じの通り、これからも経営が立ち行かなくなり、
薬局が売られるケースは多々出ると思います。
M&Aは、当たり前ですが、従業員に気づかれずに、
経営者が水面下で動き、
従業員には、ある日突然、M&Aされる、
もしくは、M&Aされたことを言われます。
もちろん、会社が変わればやり方も変わります。

基本的なM&Aは、薬局のハードだけではなく、
人材であるソフトもまとめて購入するケースが多いので、
M&Aの段階での基本的な雇用は、守られます。
しかし、やり方がついていけなければ、
もちろん、辞めざるを得ない方向にもっていかれます。
ご存じの通り、もはや、昔ほど職場を選べる状況ではありません。
生き残るすべを身につけなければどんどん淘汰されることでしょう。

自分も以前、M&Aされたことがありますが、
新しいやり方・考え方に慣れるまで、かなり時間を費やしました。
実際は、転職と同じなので、しばらく負荷がかかります。
耐えきれない方はどんどんドロップアウトしていくので、
自分は、10年ほどして、
他にやりたいことができたので、退職しましたが、
始めの1年ほどで、60人ほどいた社員も、9割は退職になりました。
なので、M&Aされるということは、
甘くはないということを付け加えておきます。

採算ベースがあれば、店舗は購入するに限ります。
上記の理由の通り、会社の売上げを上げる方法は、店舗展開になります。
ただ、その際に、自分の薬局のやり方を導入できるよう
M&A先の調整部隊も作る必要があります。
自分の基盤ができていれば、おのずとうまくいくと思います。

どちらにしても戦略がなければ、
薬局を買っても売っても
じり貧になることだけは間違いありません。

・最後に

最近、本当に、調剤の記事は、危機感をあおる内容が増えてきました。
一つに、今までのザル経営は持たないということを言っているのだろうと
思います。

しっかり経営戦略や内部統制をして、
長く続く会社作りをしていかなければ、
ある日、突然、閉店やM&Aで売却になるんだろうと思います。

閉店の相談も受けたことがありますが、
破産するときにも、情報戦でやっていました。

今の現状は、周りどこも苦しい状況です。
苦しいからこそ、知恵を絞って戦略的にやる必要があります。

医は算術ではありませんが、薬も算術だと自分は思っています。
稼げなければ、自分の給料に反映しません。
きれいごとばかり言ったところで、
ボランティアで仕事はできないと思います。
(お金が余っていてボランティアでできる方は別ですが・・・・)

医療業界も、少しずつ、一般業種と近づいてきているので、
是非、少しずつ、他業種を見ながら考えてもられ場と思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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