平成31年(2019年)度 東京都登録販売者試験問題( 午後 )その1 問61-65

・はじめに

午後の部がはじまりましたね。
では、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

もし、個人講義やある程度の集団勉強会をご希望の方がいらっしゃれば、仕事依頼連絡先からコンタクトください。可能な限りサポートいたします。

問61(主な医薬品とその作用)

(問題)
かぜ(感冒)の発症や症状に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a かぜの約8割は細菌の感染が原因であるが、それ以外にウイルスの感染などがある。
b 急激な発熱を伴う場合や、症状が4日以上続くとき、又は症状が重篤なときは、かぜではない可能性が高い。
c かぜとよく似た症状が現れる疾患に、 喘(ぜん)息、アレルギー性鼻炎、リウマチ熱、関節リウマチ、肺炎、肺結核、髄膜炎、急性肝炎、尿路感染症等がある。

 a b c
1正 正 正
2誤 正 誤
3誤 誤 正
4正 誤 誤
5誤 正 正

(答え)5
a× 実は×になります。風邪の原因はほとんどがウイルスによってかかります。ということは抗生剤は細菌性に効果があるので風邪には効果がないと言われています。ただし、風邪を引いた後二次感染で別の細菌をもらうケースがあるのでそういうときには抗生剤は有効です。OTCで買うことはできませんが・・・・。
b〇 この通りですね。こういう場合はもちろん受診勧告になります。
c〇 このとおりですね。髄膜炎などは入院するケースもあるので、一般的な風邪と思っても違う疾患を疑うことも大事です。咳や熱、だるさ、おしっこ・鼻水の色、粘度などいろんなことを踏まえてお聞きする必要はあります。普通の風ではないと感じたら受診勧告ですよね。ただ、ドラッグストアにいらっしゃる理由もあると思いますので、受診する時間がなければ少し試してもらってすぐに受診するなど柔軟な対応が必要かと思います。

問62

かぜ薬(総合感冒薬)の配合成分とその配合目的の組合せのうち、正しいものの組合せはどれか。
   配合成分           配合目的
a サリチルアミド       痰(たん)の切れを良くする
b トラネキサム酸       炎症による腫れを和らげる
c クレマスチンフマル酸塩   発熱を鎮め、痛みを和らげる
d クロペラスチン塩酸塩    咳(せき)を抑える
1(a、b)2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)4
a× これは×です。解熱鎮痛成分ですよね。ちなみにアスピリン(アセチルサリチル酸)とかと一緒に覚えても覚えやすいかもしれませんね。(バファリンAの成分)
インフルエンザや水ぼうそうにかかっている乳幼児(15歳未満)は注意が必要です。
b〇 これはこの通りです。よく歯磨き粉で入っていたり、美白成分でもこれが入っていることがあります。
c× これは×ですね。抗ヒスタミン薬なのでもちろん違います。抗ヒスタミン薬は鼻水を抑える薬でよく使われます。実は蕁麻疹の時に抗ヒスタミン薬が使われることもありますが、この成分は鼻水に使われるのが一般的です。ほかに眠気が出やすいので運転などに注意することも覚えておいてほしいですね。
d〇 これはこの通りです。デキストロメトルファンとかと同じく中枢性非麻薬鎮咳成分になりますね。咳中枢の反射を抑えて咳を抑えます。参考までに。

問63

解熱鎮痛薬の配合成分 に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a アセトアミノフェンは、主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、末梢における抗炎症作用は期待できない。
b エテンザミドは、他の解熱鎮痛成分に比べ、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強く、予期せぬ作用の増幅が懸念されることから、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合してはならないとされている。
c ボウイは、フトミミズ科の Pheretima aspergillum Perrier 又はその近縁動物の内部を除いたものを基原とする生薬で、古くから「熱さまし」として用いられてきた。
d 現在では、イソプロピルアンチピリンが一般用医薬品で唯一のピリン系解熱鎮痛成分となっている。
 a b c d
1正 誤 誤 正
2誤 正 誤 誤
3誤 誤 正 誤
4誤 正 正 正
5正 誤 正 誤

(答え)1
a〇 これはこの通りですね。一般の痛み止め(酸性)はそうではないのですがアセトアミノフェンは塩基性に属し効果が少し弱い分だけ安全性は高いと思います。そのため胃腸障害も一般的な痛み止めに比べては少ないと思います。
肝機能障害にも注意が必要です。発痛物質であるプロスタグランジンを抑える作用があります。
b× これは×ですね。ACE処方アセトアミノフェン+カフェイン+エテンザミドがあると覚えておいた方がいいでしょう。エテンザミドは併用するのが一般的で、痛みの神経伝達を抑える作用が強いので組み合わされます。
c× これは難しいと思います。×なんです。この文章はジリュウ(地竜)の文章です。ボウイはツツラフジ科のオオツツラフジの蔓性の茎及び根茎を横切りにしたものになります。作用は鎮痛・利尿になります。
d〇 これはこのとおりですね。ちなみにアスピリンがピリン系であるみたいな問題も昔の薬剤の国家試験ででてました・・・。ピリンで引っかからないようにご注意ください。

問64

鎮痛の目的で用いられる漢方処方製剤に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、体力に関わらず、筋肉の急激な痙攣(けいれん)を伴う痛みのあるもののこむらがえり、筋肉の痙攣(けいれん)、腹痛、腰痛に適すとされ、比較的長期間(1ヶ月位)服用されることが望ましい。
b 薏苡仁湯(よくいにんとう)は、体力中等度なものの関節や筋肉のはれや痛みがあるものの関節痛、筋肉痛、神経痛に適すとされ、構成生薬としてカンゾウとマオウを含む。
c 疎経活血湯(そけいかっけつとう)は、体力中等度で痛みがあり、ときにしびれがあるものの関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。
d 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、体力虚弱で、汗が出、手足が冷えてこわばり、ときに尿量 が少ないものの関節痛、神経痛に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。
1(a、b)2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)3
a× これは×になります。注意点は、長期服用せず、症状があるときのみの服用にとどめ、連用は避けることとなっています。あくまでけいれんがあった時のみと覚えましょう。ほかの覚え方としては連用しすぎるとカンゾウによる偽アルドステロン症が出やすくなるでもいいかと思います。アルドステロンは水を体にためるので、心臓の負担が上がると覚えておいてもいいかもしれません。
b〇 これはこの通りですね。腫れがあるというところがキーポイントかと思います。構成生薬は、頑張って覚えるしかないですよね・・・。
c〇 これもこの通りですね。ポイントはしびれがある関節痛ですね。
d× これは誤りですね。体力中等度以下で手足が冷えて肩がこり、ときにみぞおちが膨満するものの頭痛、頭痛に伴う吐きけ 嘔吐、しゃっくりに適すとされる効能があるため、異なります。また、甘草も含みません。この文章は、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、桂枝加 苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)の記載になっています。

問65

眠気を促す薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 抗ヒスタミン成分を主薬とする催眠鎮静薬は、慢性的に不眠症状がある人や、医療機関において不眠症の診断を受けている人を対象としている。
b チョウトウコウは、クロウメモドキ科のサネブトナツメの種子を基原とする生薬で、神経の興奮・緊張緩和を期待して用いられる。
c 小児及び 若年者では、抗ヒスタミン成分により眠気とは反対の神経過敏や中枢興奮などが現れることがある。
d 抑肝散は、体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳(かん)症、歯ぎしり、更年期障害、血の道症に適すとされる。
1(a、b)2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)5
a× これはすぐに×とわかってほしいですね。一時的な睡眠改善薬としてしか用いられないので、こういった症状の場合には、すぐに受診勧告になります。対応するケースとして、日ごろ、病院などにかかっている方が薬がなくなり、ドラッグストア等に来店されるケースもあると思います。その場合にも、一般的には受診勧告になると思いますが、どうしても販売しなければならないケースがあったときには効果が異なる点も説明する必要があると思います。
b× これは×になります。写真を載せておきますが釣り針のようにとがっているのを覚えておくといいですね。アカネ村のカギカズラ、ウンカリア・シネンシス又はウンカリア・マクロフイラの通例、とげを基原とする生薬になります。この文章は、サンソウニンを使っています。紛らわしいですよね。
c〇 これは〇なのです。アルコールや麻酔薬もそうなのですが、鎮静する薬って一過性の興奮作用を示すんですよね。なので注意が必要ですね。
他にも、15歳以下の小児では睡眠改善薬を販売できない理由も、神経過敏や興奮を起こす恐れが大きいためになります。
d〇 これはこの通りですね。抑肝散は幅広く用いられます。小児で高ぶり系で使われます。参考までに、お年を召した方でも使われることがあります。アルツハイマー病になると怒りっぽくなるのでそれで使うことがあります。
また、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)は体力中等度をめやすとしてやや消化器が弱いものに幅広く用いることができるということも覚えておいた方がいいですね。陳皮はミカンの皮で健胃薬として用いられますのでそういった意味でもイチョウが弱い人にもいいと覚えてもらってもいいかもしれません。

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