見出し画像

平成31年(2019年)度 東京都登録販売者試験問題( 午後 )その11 問111-115

・はじめに

ひきつづき、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

もし、個人講義やある程度の集団勉強会をご希望の方がいらっしゃれば、仕事依頼連絡先からコンタクトください。可能な限りサポートいたします。

問111

 次の医薬品成分のうち、一般用医薬品の添付文書等において、「相談すること」の項目中に「次の診断を受けた人」として「腎臓病」と記載することとされている成分の正誤について、正しい組合せはどれか。
a アスピリン
b ロートエキス
c ジプロフィリン
 a b c
1正 正 正
2正 誤 誤
3正 正 誤
4誤 正 誤
5誤 誤 正

(答え)2
a〇 アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、イブプロフェン、アセトアミノフェン は腎臓病の方が相談することになっている理由は副作用でむくみ(浮腫)、循環体液量の増加が起こり、腎臓病を悪化させるおそれがあるためです。
参考までに、痛み止めの作用として止めるプロスタグランジンは、胃壁を作る以外にも腎機能にも関与するといわれています。そのため、これを抑えると腎機能を悪化させることがあります。
透析をされている方、老人(腎機能が落ちている方)、腎不全(IgA腎症など)など多岐にわたり注意が必要です。
b× ロートエキスで注意することは「心臓病」になります。ロートエキスは心臓に負担をかけ、心臓病を悪化させるおそれがある成分です。
c× ジプロフィリンは、中枢神経興奮作用があるお薬です。そのため、てんかんや甲状腺に注意が必要になります。

問112 

次の医薬品成分のうち、一般用医薬品の添付文書等において、「相談すること」の項目中に「次の病気にかかったことのある人」として「胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン氏病」と記載することとされている成分はどれか。
1 シアノコバラミン
2 ジサイクロミン塩酸塩
3 ジフェニドール塩酸塩
4 イブプロフェン
5 フェニレフリン塩酸塩

(答え)4
イブプロフェンはプロスタグランジン産生抑制作用によって消化管粘膜の防御機能が低下し、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン氏病が再発するおそれがあります。
逆に、痛み止めはシクロオキシゲーナーゼを抑えるのでプロスタグランジンの抑えられる。そのため、胃壁などが荒れるので胃障害が出ると覚えると案外覚えやすいのではないでしょうか。

問113

次のような相談を受けた登録販売者の対応について、 不適切なものの組合せはどれか。
<相談内容>
10歳の娘に、 くしゃみ、 咳(せき)、頭痛などの かぜ の症状が出たので 、1週間前から一般用医薬品の かぜ薬Ⅹを服用させている。しかし、 昨晩から娘の両眼が充血し、今朝になって、かぜ薬を服用させる前には無かった 発疹(ほっしん)や火傷様の水疱(すいほう)が全身にできており、体温を測ったところ、39.5℃に上がっていた 。どうしたらよいか。
a高熱が出ているため、解熱鎮痛効果のある小児用の一般用医薬品の服用を勧める。
b両眼が充血しているため、ビタミンAが配合された点眼薬の使用を勧める。
c副作用の可能性があるため、一般用医薬品のかぜ薬Ⅹの服用を中止するよう勧める。
d全身に発疹(ほっしん)や火傷様の水疱(すいほう)ができているため、直ちに皮膚科の専門医を受診するよう勧める。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

(答え)1
a× ここのポイントは「受診勧告」になります。一週間、一般薬を服用しても改善しないのであれば対症療法は難しいので受診勧告をしてほしいという問題です。
b× この症状は、「皮膚粘膜眼症候群(スティーヴンス・ジョンソン症候群)」及び「中毒性表皮壊死融解症( TEN ライエル症候群)」を発症している可能性があると言えます。そのため、OTCで対症療法をおこなうのは危険です。副作用が出ていると感じた時にはすぐに受診勧告しましょう。
c〇 これはこの通りですね。起こりえる副作用であれば中止だけでいいのですが、上記の場合は受診勧告になります。起こりえる副作用としては、総合感冒薬であれば、口喝であったり眠気などになると思いますが、成分によって変わりますので成分を見たうえで判断することが大事になります。
d〇 これはこの通りですね。発疹は薬疹である可能性があるのですぐに皮膚科で薬疹かどうかの判断をしていただくことが大事です。普通に考えて、一般的な風邪薬であればたいがい、抗ヒスタミン薬が含まれています。それでも湿疹が出る段階でおかしいと思ってもらえればいいと思います。蕁麻疹などに使う薬は抗ヒスタミン薬を用いるからです。

問114

医薬品等の安全性情報等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a医薬品・医療機器等安全性情報は、医薬品、医療機器又は再生医療等製品 について、一般的な使用上の注意の改訂情報よりも迅速な注意喚起や適正使用のための対応の注意喚起が必要な状況にある場合に作成される。
b安全性速報は、厚生労働省からの命令、指示、製造販売業者の自主決定等に基づいて作成され、ブルーレターとも呼ばれる。
c独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ では、医薬品の承認情報、医薬品等の製品回収に関する情報及び患者向医薬品ガイドが掲載されている。
d医薬品・医療機器の安全性に関する特に重要な情報を電子メールにより配信するサービス(PMDAメディナビ)があるが、このサービスを受けられるのは医薬関係者のみである。
 a b c d
1 誤 誤 正 誤
2 正 正 誤 誤
3 正 正 誤 正
4 正 誤 正 正
5 誤 正 正 誤

(答え)5
a× これは〇っぽそうなのですが×です。この文書は「安全性速報」になります。
医薬品・医療機器等安全性情報は、厚生労働省においては、医薬品(一般用医薬品を含む)、医療機器等による重要な副作用、不具合等に関する情報をとりまとめ、「医薬品・医療機器等安全性情報」として、広く医薬関係者向けに情報提供を行ってます。 その内容は、医薬品の安全性に関する解説記事や、使用上の注意の改訂内容、主な対象品目、参考文献(重要な副作用等に関する改訂については、その根拠となった症例の概要も紹介)等です。
ちなみにPMDAないに収められており、大体、月一回発行されています。
b〇 これはこの通りですね。緊急安全性情報は、「イエローレター」と呼ばれています。前者がブルーレター、後者がイエローレターになります。
実物を見た方がわかりやすいかと思いましたので添付しました。

画像1

画像2

c〇 これはこの通りですね。独立行政法人医薬品医療機器総合機構は一般的にPMDAと呼ばれています。
d× これは少しひっかけのようですが、医療関係者のみではなく一般にも公開されています。そのため、だれでも登録が可能です。

問115

医薬品医療機器等法第68条の10第1項の規定に基づき、医薬品の製造販売業者が、その製造販売した医薬品について行う副作用等の報告において、15日以内に厚生労働大臣に報告することとされている事項として、正しいものの組合せはどれか。
a 医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、使用上の注意から予測できるもので、死亡に至った事例
b 医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、発生傾向の変化が保健衛生上の危害の発生又は拡大のおそれを示すもので、重篤な事例
c 副作用症例・感染症の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
d 医薬品によるものと疑われる副作用症例のうち、使用上の注意から予測できないもので、非重篤な事例
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

(答え)1
a〇 こういう文章は少し難しいのですが、死亡や重篤症例については、15日以内の報告になります。ここで注意点が一つあります。この起算日は「医療関係の方々が知った日」になります。そのため、患者さんが副作用と感じたもしくは起こった日は起算日にならないので注意が必要です。
製薬会社でも、連絡があった日を起算日としてカウントします。また、休日なども起算日からカウントされてしまうため、もし、そのような症例に当たってしまったりした場合には、早めに製薬メーカーやPMDAに相談をすることを強くお勧めします。
薬機法内でも、医療従事者の届出は義務となっているので、報告を怠ると、顛末書(会社名でお詫び状を国に提出)や指導などいいことは何一つありません。
b〇 これはこのとおりですね。上記同様。
c× これは×になります。非重篤や研究報告などは30日報告や一部は定期報告などになりますので別途注意が必要です。大事なのはそういった事例に当たった際には何に当たるか判断をすることが大事です。実際には、上記の通り製薬メーカーやPMDAに相談が間違いないと思います。
d× これは×になります。上記同様。

この記事が参加している募集

スキしてみて

もしよろしければサポートしていただけると幸いです。 いただいたサポート費は、活動費に充てて、 記事などで還元したいと思います。