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平成31年(2019年)度 東京都登録販売者試験問題( 午後 )その6 問86-90

・はじめに

ひきつづき、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

もし、個人講義やある程度の集団勉強会をご希望の方がいらっしゃれば、仕事依頼連絡先からコンタクトください。可能な限りサポートいたします。

問86

鼻炎用点鼻薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a テトラヒドロゾリン塩酸塩は、交感神経系を刺激して鼻粘膜を通っている血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげることを目的として用いられる。
b クロモグリク酸ナトリウムは、アレルギー性でない鼻炎や副鼻腔(ふくびくう)炎に対して有効である。
c セチルピリジニウム塩化物は、ヒスタミンの働きを抑える作用を期待して用いられる。
d リドカインは、鼻粘膜の過敏性や痛みや痒(かゆ)みを抑えることを目的として配合されている。
1(a、c)2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)2
a〇 これはこの通りになります。よく使われる成分なので覚えておくといいですね。アドレナリン作動薬に属し、ナファゾリン塩酸塩やフェニレフリン塩酸塩などもよく使われるので覚えておくといいですね。
鼻閉時に使う薬ですが、使いすぎると、逆に鼻閉がひどくなるので注意が必要です。
参考までに、鼻閉を起こす物質は、体の中でロイコトリエンという物質が影響を及ぼすといわれています。医療用では、ロイコトリエンを抑える薬を使ってアレルギー性鼻炎の鼻閉を抑えます。
b× クロモグリク酸ナトリウムはアレルギーを抑える薬のため、アレルギー以外にはもちろん効果はありません。
参考までに、この成分は消化管から吸収されないと言われています。医療用では内服もあり、食物アレルギーに使われます。そのためアレルギー性物質が入ってもいいよう食前に服用します。
c× これは×になります。すぐに×とわかってもらいたい問題ですね。この成分はトローチの成分なので、ヒスタミンを抑えるなどはもちろんありません。そのためご存じの通り薬効は殺菌になります。
d〇 これは〇になります。この成分は、局所麻酔薬のため、鼻粘膜の過敏性、痛み、かゆみを抑える作用となります。

問87

(答え)
眼科用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a プラノプロフェンは、炎症を生じた眼粘膜の組織修復を促すことを目的として用いられる。
b ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの働きを抑える作用を示し、毛様体におけるアセチルコリンの働きを助けることで、目の調節機能を改善する効果を目的として用いられる。
c ヒアルロン酸ナトリウムは、眼粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成することで、外部の刺激から保護することを目的として用いられる。
d サルファ剤は、細菌感染(ブドウ球菌や連鎖球菌)による結膜炎やものもらい(麦粒腫)、眼瞼(がんけん)炎などの化膿(かのう)性の症状の改善を目的として用いられる。
1(a、b)2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)4
a× これは×ですね。この成分は~プロフェンとかかれているので痛み止め系とわかればしめたものです。ロキソプロフェン(ロキソニンS)と似た名前なのでわかりやすいと思います。痛み止め系のため組織集副作用はありません。あくまで炎症を抑えたり痛みをとる作用しかありません。
b〇 これは〇になります。少し難しいと思いますがわかりますでしょうか?アセチルコリンはコリンエステラーゼによって分解されます。ネオスチグミンは、コリンエステラーゼの働きを抑えることによってアセチルコリンの働く時間を伸ばします。
この成分はよく疲れ目などの成分には必ず入っているので覚えておくといいですね。ピント調整といういい方もされますね。
c× これは×ですね。ヒアルロン酸は、添加物(粘桐化剤)として用いられ、コンドロイチン硫酸ナトリウムと結合することにより、その粘桐性を高めて目の渇きなどを抑えます。コンドロイチンと似ているので注意が必要ですね。
参考までに、読んでいただけて分かると思いますが、ヒアルロン酸やコンドロイチンは角膜を保護する関係上、次の目薬を入れる場合には間を眺めに捕らなければなりません。そのため、二種類使う場合にはあとの方がいいでしょう。基本的には目薬との間は5分以上間をあけることや目薬を差した後は目頭を押さえて喉に行かないようにすることなどの注意点もあります。
d〇 これはこの通りになりますね。サルファ剤も眼科ではよく使われる薬です。ただし、細菌感染による結膜炎やものもらい(麦粒腫)には効果がありますが、ウイルスや真菌には効かないので注意が必要です。
興味があれば似た症状で霰粒腫(さんりゅうしゅ)というのもありますので調べてみるといいと思います。

問88

(問題)
外皮用薬の配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a ヘパリン類似物質は、創傷面に浸透して、その部位を通っている血管を収縮させることによる止血効果を期待して用いられる。
b酸化亜鉛は、患部のタンパク質と結合して皮膜を形成し、皮膚を保護する作用を示すため、患部が浸潤又は化膿(かのう)している場合に用いられる。
c尿素は、皮膚の角質層を構成するケラチンを変質させることによる角質軟化作用を期待して用いられる。
dカンフルは、軽い炎症を起こして反射的な血管の拡張による患部の血行を促す効果を期待して、また、知覚神経を麻痺(まひ)させることによる鎮痛・鎮痒(ちんよう)の効果を期待して用いられる。
 a b c d
1正 正 誤 正
2正 誤 正 誤
3誤 正 誤 誤
4誤 正 正 正
5誤 誤 誤 正

(答え)5
a× これは誤りですね。ヘパソフトの成分になります。ヘパリン類似物質は
抗炎症作用、保湿作用を有します。もちろん血行促進もあります。ただ、ヘパリンは実は血を固めるのを抑える作用があるため、出血傾向の人にはちゅいが必要になります。
参考までに、ヘパリンは、点滴用のラインを入れっぱなしにするとき、次の点滴まで間があるとき、ヘパリンなどを入れて血液が固まらないようにすることがあります。
b× これは×になります。酸化亜鉛は、患部のタンパク質と結合して皮膜をつくり、皮膚を保護する作用がありますが、患部が浸潤・化膿しているときは使用を避けることとなっています。後半部分が誤りですね。
c× これはいかにも〇っぽそうですが、×になります。尿素は、角質層の水分保持量を高め、皮膚の乾燥を改善する作用のため、異なります。この文章はイオウになります。
d〇 これはこの通りですね。カンフルは、皮虐表面に冷感刺激をすることによって、反射的な血管拡張を起こさせ、血行を促進させます。
また、知覚神経の麻痺による鎮痛・鎮痒作用も期待できますし、打撲や捻挫などの急性の腫れや熱感を伴う症状には、冷感刺激成分が適します。
参考までに、お分かりの通り、傷口等には使えばしみますので適しません。

問89

(問題)
外皮用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a インドメタシンは、皮膚の下層にある骨格筋や関節部まで浸透してプロスタグランジンの産生を促す作用を示す。
b ウフェナマートは、炎症を生じた組織に働いて、細胞膜の安定化、活性酸素の生成抑制などの作用により、抗炎症作用を示すと考えられている。
c ステロイド性抗炎症成分は、体の一部分に生じた湿疹(しっしん)、皮膚炎、かぶれ、あせも、虫さされ等の一時的な皮膚症状(ほてり・腫れ・ 痒
(かゆ)み等)の緩和を目的として用いられる。
d フェルビナクには、殺菌作用があり、皮膚感染症に効果があるため、みずむし、たむし等又は化膿(かのう)している患部への使用が適している。
1(a、b)2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)3
a× これはすぐに×とわかっていただきたいですね。痛み止めは、プロスタグランジンの産生を抑えることによって痛みを抑えます。
追加で覚えていただきたいのは、痛み止めの外皮用剤は15歳未満は使用しない(インドメタシン製剥の一部は11歳未満)ことは覚えておいてもいいかと思います。
以前も書いていると思いますが、現場では痛み止めはアスピリン喘息に注意してほしいと思います。内服でも外用でも同じですので喘息を以前したことがあるか・痛み止めで起こったことがあるかなど聞いてほしい内容ですね。
b〇 これはこのとおりですね。テストの内容ではないかと思いますが、日焼けには適応がないので日焼け後の痛み止めではないと思います。
c〇 これはこのとおりですね。ポイントは湿疹であることや一時的な皮膚症状の緩和ですね。
よく、ステロイドは使うと長く続けないといけないかという問い合わせを受けることがあります。アトピーのような長期的に使ってらっしゃる方だと辞めるときには注意して薬をやめる必要がありますが、一般的な疾患であれば治って中止で問題ないです。
ただ、医師の治療の下で使っている場合には違う指導もあるので注意が必要です。
よく湿疹に似た症状で白癬菌(水虫)の症状がありますが、これにステロイドを使うと悪化するので、発疹だからステロイドというのは安易なのでちゅいが必要です。
d× これはすぐに×とわかってほしいですね。フェルビナクは痛み止めの成分なので殺菌作用はもちろんありません。もちろん皮膚感染症に効果はないので使ってもよくはなりません。

問90

(問題)
抗真菌作用を有する外皮用薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 一般的に、じゅくじゅくと湿潤している患部には、軟膏(なんこう)又はクリームが適すとされる。
b 液剤は、有効成分の浸透性が低いため、患部に対する刺激が弱い。
c 湿疹(しっしん)か皮膚糸状菌による皮膚感染かはっきりしない場合、抗真菌成分が配合された医薬品を使用することが適当である。
d シクロピロクスオラミンは、皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、その増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨げ、その増殖を抑える。
1(a、b)2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)2
a〇 これはこの通りですね。刺激が少ないのでこの二つを用います。
参考までに、一般的には、軟膏は油分が多く、クリームは水分の方が多いので、ジュクジュク度合いによって調整します。湿潤が多ければ軟膏を勧めてはどうでしょうか?ただ、もう一つ言えるのは、使った後の肌触り(テクスチャー)も実は影響します。軟膏の残る感じが嫌という方も多いので、そういった患者さんの要望を踏まえながら勧めましょう。
b× これは×ですね。液剤は浸透性が高いことが特徴です。その代わり浸透する分だけ刺激は強くなりますよね。刺激は、塗った薬剤の濃さ・薬剤自体の刺激性などが関係します。
c× これは×になります。一般的に、湿疹か皮膚糸状菌の感染かはっきりしないときは抗真菌剤は使用しない方がいいです。
参考までになりますが、受診した場合には、医師の判断で抗真菌薬が使われることがありますが、医師のみに診察が許されているので、他のコメディカルは病気を判断するということは医療行為にあたるため、注意する必要があります。実際には真菌などは出やすい場所などもあるのでそういった部分もあるかなとは思います。
真菌の確認としては、パッチテストなどで皮膚から菌をはがして顕微鏡で見たりして判断するケースもあるようです。
d〇 これはこの通りですね。皮膚糸状菌の細胞膜に作用して、増殖・生存のために必要な物質の輸送機能を妨げることによって増殖を抑えます。


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