平成31年(2019年)度 東京都登録販売者試験問題( 午後 )その2 問66-70

・はじめに

では、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

もし、個人講義やある程度の集団勉強会をご希望の方がいらっしゃれば、仕事依頼連絡先からコンタクトください。可能な限りサポートいたします。

問66

(問題)
眠気防止薬の主な有効成分として配合されるカフェインに関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 心筋を興奮させる作用があり、副作用として動悸(どうき)が現れることがある。
b カフェインの血中濃度が最高血中濃度の半分に低減するのに要する時間は、通常の成人が約35時間であるのに対して、乳児では約80時間と非常に長い。
c 吸収されて循環血液中に移行したカフェインの一部は、血液-胎盤関門を通過して胎児に到達することが知られている。
d 安全使用の観点から留意すべき作用に、胃液の分泌を抑える作用がある。
 a b c d
1正 正 正 正
2正 正 正 誤
3正 誤 誤 正
4誤 正 誤 誤
5誤 誤 正 正

(答え)2
a〇 これは〇ですね。カフェインで覚えていただきたいのは2点になります。心臓に負担がかかること、利尿作用がある(おしっこがでやすくなる)ことです。心臓に負担がかかれば動悸もしますよね。コーヒーで動悸をする人はあまりいないと思いますが、トイレが近くなるのはカフェインのせいと覚えておいてもいいと思います。
b〇 これはこの通りですね。カフェインは肝臓で分解するので、乳児は臓器が未発達のため分解が遅くなります。これ以外でも胃にも刺激・胃酸分泌亢進があるのでもちろんそういった意味でも子供にカフェインはあまり推奨されないですね。最近のお茶でもカフェインレスになっているのもありますが、朝の臓器が活発に動いていないときに、刺激物を避けるためにカフェインレスのお茶も少しずつはやっているのではないでしょうか。
c〇 これはこの通りですね。アルコールにしろ、ニコチン(たばこ)にしろ、血液胎盤関門を通過してしまうので胎児に影響はよくないですね。
d× これは誤りですね。実は、カフェインは胃液分泌亢進作用があります。胃液分泌が亢進されれば、胃の粘膜も痛めます。この結果、胃炎や胃潰瘍・悪心・嘔吐などの胃腸障害を起こす可能性があるということもイメージしておくといいと思います。

問67

(問題)
鎮暈(ちんうん)薬(乗物酔い防止薬)の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a ジフェニドール塩酸塩は、排尿困難の症状がある人では、その症状を悪化させるおそれがある。
b スコポラミン臭化水素酸塩水和物は、乗物酔い防止に古くから用いられている抗ヒスタミン成分である。
c ジプロフィリンは、脳への抑制作用により、平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させることを目的として、配合されている。
d メクリジン塩酸塩(塩酸メクリジン)は、他の抗ヒスタミン成分と比べて作用が現れるのが遅く持続時間が長い。
1(a、b)2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(c、d)

(答え)3
a〇 これは〇になります。抗ヒスタミン成分と似ている構造をするので、抗ヒスタミン作用(抗コリン作用)のような副作用が出ると覚えるとわかりやすいと思います。抗コリン作用は、口喝や排尿困難がでやすくなります。抗コリンはスコポラミンやロートエキスなどになるのでついでに覚えておきましょう。
b× これは×になります。スコポラミンは抗コリン成分になるので注意しましょう。胃腸鎮痛鎮痙薬、乗物酔い防止薬も覚えておくといいのと、ブチルスコポラミンと混同しないよう注意しましょう。
ブチルスコポラミンはブスコパンで知られる鎮痛鎮痙薬でおなかが痛いときに使われる薬です。消化管の痛みにしか効果がありません。参考までにほかにも胆石を出すときに使うこともありますが覚える必要はないと思います。oddi括約筋を弛緩させます。
c× これは×になります。ジプロフィリンは脳を軽く興奮させて平衡感覚の混乱により眩暈低減を目的としています。ほかにもジプロフィリンはキサンチン系(カフェインと同じような骨格)のため、気管支拡張作用もあります。
d〇 これは〇になります。これはこのまま覚えるしかないですよね。抗ヒスタミン作用ということと問題文の作用時間が長く、効果発言まで遅いも覚えておきましょう。

問68

(問題)
小児の 疳(かん)、小児鎮静薬及びその配合成分 に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 身体的な問題がなく生じる夜泣き、ひきつけ、 疳(かん)の虫等の症状については、成長に伴って自然に治まるのが通常である。
b 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)を小児の夜泣きに用いる場合、作用が比較的緩和なため、長期間(1ヶ月間位)服用して様子をみることが望ましい。
c レイヨウカクは、ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬で、緊張や興奮を鎮める作用等を期待して用いられる。
d 鎮静と中枢刺激のように相反する作用を期待する生薬成分が配合されている場合もあるが、身体の状態によってそれらに対する反応が異なり、総じて効果がもたらされると考えられている。
 a b c d
1正 正 正 正
2誤 正 誤 正
3誤 誤 正 誤
4正 誤 正 正
5正 誤 誤 誤

(答え)4
a〇 これはこのとおりですよね。自然に収まらなければ成長とは言わないですしね・・・・。
b× これは誤りになります。一週間ぐらいしても改善しなければ専門家に相談する等、その漢方処方製剤の使用が適しているかどうか見直すなどの対応が必要になります。覚え方として牡蛎(ボレイ)は貝のカキの殻なんですね。生薬としての作用は鎮静なんですよー意外ですよねー。そうやって覚えてもいいかと思います。僕も漢方は覚えるのが得意でないのでうまくリンクさせて覚えるようにしています。
c〇 これはこの通りです。混同するかもしれませんが、レイヨウカク(ウシ科のサイカレイヨウ(高鼻レイヨウ)等の角を基原とする生薬)は、鎮静になります。
鹿の角だと、ロクジョウ(マンシュウアカジカ又はマンシュウジカのオスのまだ角化していない、もしくは、わずかに角化した幼角)があります。滋養強壮にいいんですねー。覚えておきましょう。
動物の角ってややっこしいですねー。
d〇 これはこの通りですね。漢方の世界って実は奥が深くて、作用が逆のを組み合わせることがあります。これは、前にもかかさせていただいた、「君臣佐使」の考え方もあります。参考までにURLを下に書いておきます。
https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E5%90%9B%E8%87%A3%E4%BD%90%E4%BD%BF

問69

(問題)
鎮咳去痰薬(ちんがいきょたんやく)に配合される生薬成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
aカンゾウは、 柴朴湯(さいぼくとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)、五虎湯(ごことう)、 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、神秘湯(しんぴとう)に構成生薬として含まれる。
bシャゼンソウは、ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を基原とする生薬で、鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)、滋養強壮等の作用を期待して用いられる。
cセキサンは、バラ科のヤマザクラ又はその他近縁植物の、通例、周皮を除いた樹皮を基原とする生薬で、去痰(きょたん)作用を期待して用いられる。
dナンテンジツは、ヒメハギ科のイトヒメハギの根を基原とする生薬で、去 痰(きょたん)作用を期待して用いられる。
 a b c d
1正 誤 誤 誤
2正 正 誤 正
3正 誤 正 誤
4誤 誤 正 正
5誤 正 正 誤

(答え)1
a〇 これはこの通りですね。頑張って覚えるしかないですよね。ちなみに甘草は前も書きましたが、偽アルドステロン症をおこすこと、構成成分はグリチルリチン酸で炎症を抑える作用があり甘味料としても用いられることも雑学としても覚えておくといいと思います。
b× これは×になります。シャゼンソウは・オオバコ科のオオバコの花期の全草を基原とする生薬で、去痰になります。なお、日本薬局方のシャゼンソウは咳に用いられます。
この文章は、バクモンドウになります。麦門冬湯の構成成分ですね。咳に効く漢方で冬場よく出るかと思います。
c× これは×になります。セキサンは、ヒガンバナ科のヒガンバナ鱗茎を
基原とする生薬セキサンのエキスは、別名を白色濃厚セキサノールとも呼ばれます。難しいですよねー。この文章はオウヒ(桜皮)になります。医療用で昔はブロチン液(黒っぽい色)というのがあり、鎮咳薬として医療用でありましたがなくなってしまい残念な感じです。
d× これも×になります。ナンテン(南天)と書いてあるぐらいなので、ナンテンが入ってない段階でおかしいと思ってほしいですね。ナンテンジツ(南天実)は、メギ科のシロミナンテン(シロナンテン)又はナンテンの果実を基原とする生薬知覚神経・末梢運動神経に作用して咳止めに効果があります。この文章はセネガですね。ややっこしい・・・。
南天はよく鎮咳で有名ですが、それ以外にも杏仁(キョウニン)は覚えておいてほしいなと思います。杏仁豆腐もこれをつぶすので咳があったりするときにはお勧めです。豆知識として杏仁はとりすぎると呼吸抑制を起こすので注意が必要です。青酸が入っていてこれが呼吸抑制の原因です。呼吸抑制するから咳も少し落ち着くと覚えてもいいかなと思います。

問70

(問題)
鎮咳去痰薬(ちんがいきょたんやく)に配合される成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a カルボシステインは、 痰(たん)の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少させるとともに、粘液成分の含量比を調整することにより、 痰(たん)の切れを良くすることを目的として配合される。
b デキストロメトルファン臭化水素酸塩は、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして 咳(せき)や 喘息(ぜんそく)の症状を鎮めることを目的として用いられる。
c メトキシフェナミン塩酸塩は、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがある。
d トリメトキノール塩酸塩は、抗炎症作用のほか、気道粘膜からの粘液の分泌を促進することを目的として用いられる。
1(a、b)2(a、 c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)2
a〇 これはこのとおりですね。正確に言うとS-S結合を解きます。ジスルフィド結合っていいますがここまで覚えることはないですね(笑)。
b× これはもっともらしく書いていますが×です。デキストロメトルファンは中枢の咳反射を抑えます。
c〇 これはこの通りですね。bの文章の交感神経を刺激して咳を止める薬になります。逆に交感神経を刺激するから血圧や甲状腺、心臓などに影響が出ると覚えれば覚えやすいですよね
d× これは×になります。トリメトキノールも交感神経を刺激する薬なのでこのような作用はないです。気道炎症を和らげるのはカンゾウやトラネキサム酸と覚えておくといいと思います。

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