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春の団地

レジャーシートを敷いて、川沿いの芝生の上でお弁当を食べて、その後にシャボン玉で遊んだ。その記憶を僕がふと思い出したのは、東京が開花宣言を迎えたらしいからだった。たしかその記憶の中でも、桜が咲いていて(東京より寒い地域だったからもっとずっと先の時期だった、風も冷たかった)すごく天気が良かった。僕はクライアントへの訪問を終え、会社に帰る前に桜がたくさん咲いている公園で散歩をすることにした。

修学旅行生が誰が先にボートに乗るかで揉めていて、かわいかった。お母さんと手をつないでいる小さな子供は水辺のカモを指さして、言葉にならない声を話している。そんな風景をベンチに座りながら見ていたら、僕はあることに気づいた。もうすぐみんないなくなるって。

帰り際にピンク映画館の前を通ると、新作のポスターがでかでかと貼られていた。大事な部分は故意的に隠されていて、人生そんなもんだよなぁ、と僕は自分の人生と女性の乳房が関連しているかもしれないと考えた。してないだろうけど。


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