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それいけ!ナイトクローラー!!   ①モティーフの意味(サングラス・腕時計)

 今回扱う作品は『ナイトクローラー』(原題:night crawler)です!2014年にダン・ギルロイ監督によって作られたこの作品。アカデミー賞の脚本賞にノミネートされるのも納得です。

あらすじ
 失業中の貧困層(いわゆる社会的弱者)のルイス〈ルー〉(ジェイク・ギレンホール)はある日、事故・事件現場の映像を撮ってそれをテレビ局に高額で売る「報道パパラッチ」という職の存在を知る。早速パパラッチとなったルーは事故現場で撮ったショッキングな映像をニュース番組のディレクターであるニーナ(レネ・ルッソ)に売ることに成功。味をしめたルーは助手として失業者のリック(リズ・アーメッド)を雇い、機器を新調しスクープ現場を求めて夜の街をさまようが、それは次第にエスカレートしていき。。。

 もうとにかくルーが怖いの一言に尽きます。人間なんて誰も信じられなくなる。この男は笑顔で容赦なく嘘をつき、人を脅し、切り捨てていきます。スパイダーマンでもニッコニコしながらトムホを騙してましたけど、こういう役回りになりがちなのかな?
 このルーの恐ろしさに加担してるのは、勿論脚本もありますがジェイク・ギレンホール自身の12キロの減量でしょう。(9キロと書いているサイトもありました。)さらに役作りのために、本当に昼夜逆転生活を送ったそうです。作中ではルーの目元がすごく印象的に映されていましたが、痩せて落ちくぼみ昼夜逆転でクマもできればそりゃ大迫力になるのは間違いないです。たまに白目の範囲が増えてまん丸な黒目が見えるシーンがありましたが、あれは『サイコ』を彷彿とさせました。カラコンなのか合成なのか、気合でかっ開いてるのかはわかりませんが.....。
 そんなスリラーなナイトクローラー。①モティーフの意味(サングラス・時計)②物語のメッセージ性 2部構成で執筆していきたいと思います。1部だけでも読んでいただければ幸いです!
この記事ではまず①モティーフの意味のみを取り上げます!

①モティーフの意味(サングラス・腕時計)

 劇中では時たまルーの身に着けているサングラスと時計が象徴的に映るシーンがありました。ここではその2つのモティーフがどのような意味を持つかを考察していきます。
(1)サングラス
 夜にメインで活動するルーは昼に外に出るときにサングラスをかけているシーンがちらほら見られます。夜行性だから単純に日の光が苦手だからという理由もあると思いますが、もう少し深読みしてこのモティーフについて考えました。
 サングラスは日の光を遮ってくれます。しかしそれと同時に周りが見えづらくなります。このことから、ルーが利益を得て、有名になるためーつまりスクープを撮るためーに盲目的になっている様子を表している(もしくは暗示している)と思いました。また、物語が進むにつれて弱者に対してルーが支配的になっていくことから、支配者がサングラス(視界を悪くするもの)をかける=都合の悪いもの(貧困や差別など)から目をそらし、見えないものとして扱っていくという社会風刺的な意味もあるのでは?とも。
(2)腕時計
 ルーは1番最初のシーンで警備員から奪った銀の腕時計をずっとつけており、これはよくアップで映されます。ルーはお金に困っていましたがこの時計を売ることはありませんでした。最初に撮影用の機械を買う時も時計は売らず、高そうな自転車をわざわざ盗みます。ブランド品の時計は売るにはリスクが高いから(購入者登録などもあって)かもしれませんが。でもルーのことなら闇市みたいなものを見つけて売ることもできるでしょう。後に車やカメラを新調しても時計だけは変わりません。よってこの時計はおそらく、ルーの何かを象徴する大切なものだと考えられます。私が思いついたのは3点です。
 1つ目は、金持ちに、社会的にのし上がりたいというルーの野望や欲望、もしくはそれに対する執着を表すモティーフであるということ。2つ目は、物語が進んでのし上がっても「他人から(直接的あるいは間接的に)何かを奪って利益を手に入れる」という構図は最初からずっと変わっていなくて、本質的な人間性やクズっぷりは一緒だというルー自身の性質の一貫性を象徴しているということ。3つ目は、貧困層のルーと高そうな銀の時計という身分になっていないちぐなぐな印象から、見栄え(ニコニコする外面)だけは良いということ。私が考えついたのは以上ですが、劇中で何度も映されていたのでもっと何かがありそうですね.....。
 個人的にはルーの腕時計と、『パラサイト』の水石は近いものにあるのではと考えています!どちらもいろいろな意味を含んでいる多義的なメタファーだと思います。
 もし何かほかにありましたら、コメントなどでぜひ教えてください!

 その①はこれにて終了です。②物語のメッセージ性はまた次の記事で書きたいと思います。稚拙な文章でしたが最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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