変化したいから、ピアスの穴をあける。

つい最近ピアスを開けてみた。30代半ばを越え、年齢的には今更だ。
明確な覚悟を持って「さあ穴をあけるぞ」という意気込みで開けてみた。

約半年の休職期間中からなんとなくピアスをあけてみたくなり、復職の目途がたったときからその意気込みが強くなってきた。
しばらく休んでいることで自分の人生が止まっている感じや復職をきっかけに同僚の働きぶりに焦りも感じたことがきっかけだと思う。

自分に明らかな変化が欲しかった。変化することで人生進んでいる感が欲しかった。ピアス以前以後という節目が欲しかった。イヤリングや髪型やファッション的な変化ではなく、身体的で、痛みを伴って、取り戻せない(一応)ような強い変化が必要だった。
身体的なら変化の手ごたえがダイレクトにくるし、痛みを伴うことには勇気が必要だし、取り戻せないことで以降も続く変化となる。
あと最近ファッショナブルな人にあこがれていたのも遠因だ。
ピアスをあけることで停滞した現状から脱するきっかけになると思いたかった。

さあ穴開けるぞと思ってからがなかなか時間がかかった。結局思い立ってたから開けるまでに1、2ヶ月かかった。
なんだかんだ不安なので、まずはこの判断は正しいと思うために、ピアスに対する良いイメージを高めようとしてインスタやピンタレストで画像を漁った。「こんなピアスをあけたい」ではなく、「穴をあけたい」がモチベーションの柱なので、着用イメージがあんまりなかったからだ。
画像を漁ってみたものの、メンズはイカついのか、穴だらけの人ばかりで良いイメージを参考を探すの難航。そこからレディースも問わずに探すとイメージのものがちょろちょろ見つかってきた。ピンタレストで「ピアス モダン」みたいなので検索してようやくなんとなくの目指すイメージが固まった。
その後、より具体的なイメージにするために最寄りのいくつかお店も行ってみた。でもなかなかイメージに合うのが見つからない。焦る。見つからなければピアスを開ける理由が弱まる。穴あけを思い立ったからには、早くやってしまいたい。その後も探してみてようやくイメージするものがみつかったけど、想定以上に高かった。こんな小さい金属に4000円も出せない。となったらまた理由が弱まる。このままではまずいので一旦目星はついたから開けても良いと無理やり自分を納得させて、ようやくピアッサーを買う踏ん切りがついた。
それでも実際に買うまでに一週間くらい悩んだ。Amazonと楽天でレビュー高いの多いのに目星つけた。
ファーストピアスというものを一か月はする必要があるらしくピアッサーに同梱されている。ただおもちゃの宝石みたいな自分にとってはダサいやつしかない。穴をあけることが最優先と言えどダサいのはしたくない。Amazonで目星をつけたやつの中に、半透明の樹脂で、かつ任意のピアスも装着できるやつがあったのでそれに決める。一点の懸念は、バネで一瞬で穴開けるやつでなく自分の手の力で押しあけるところ。自力ってのが痛そう。
でも取りあえず念のため「ピアッサー 目立たない」でググってみていくつか記事での目星つけた商品が紹介されていたので確定させる。いくつの記事も情報の質が低いアフィリエイト記事だけどモチベーションが下がりそうなので、今回は飲み込む。
ニードル状のものも考えたけど、これは流石に素人では開けるイメージ湧かんので除外。

さあ穴をあける。
ピアッサーが届いた。届くまでわずかな高揚状態がつづく。早く届いてほしかったが2,3日かかりそれもじれったかった。
が、届いたものの勇気が足りず1日寝かせる。
GWに入り、時間が有り余ったのでさすがにやるか。空けるくらいしないとGWがもったいない。せっかく買ったのにやっていないことにもいろいろな強迫観念が迫る。
思い立った。
洗面台の鏡の前で耳を石鹸で洗う。手を石鹸で洗う。アルコール消毒をする。呼吸が浅くなる。
空ける前に穴の位置を決める必要がある。そこから少し時間がかかる。
右耳左耳どちらにあけるのがいいのか。開ける位置はどのあたりがいいのか。またインスタ検索してググってをしてると思いのほか時間がかかって少しイライラし始める。左右どちらが開けるかで意味があるとかないとか所説あるとか、穴の位置は耳たぶの中央でなく少し下がいいとかを知る。
結局右耳の中央ちょっとしたに開けることにする。
筆ペンでしるしをつける。筆ペンのインクが薄い。なんやねん。油性にする。油性でもいいのか?と気になってまたググる。なんやねん。
ざっと調べてみてみて油性でもいい気がしたのでしるしをつける。
ようやくいよいよ穴をあける。
ピアッサーを耳に挟む。緊張感が跳ね上がる。
全然できる気がしなくなった。痛いの苦手なので無理だ。
どれくらい痛いのかググる。血まみれの耳の画像がむっちゃ出てくる。イヤリングでいいやん的なコメントも見つける。余計に無理だ。萎える。
でも開けなけば変化できない。今までの時間がばかばかしくなる。
改めてAmazon、楽天のレビューを見る。痛くないというコメントを漁る。それで踏ん切りがついた。でもまだ足りない。だからビール飲む。文字にできない声を出して奮い立たせる。呼吸が浅くなる。
痛いのは5秒だけと思い込んでピアッサーに手をかける。ピアッサーを耳に固定するために挟んだまま色々検索してたのですでに耳は鈍痛。これなら穴開ける痛さと変わらないと思いこませた勢いでピアッサーを手で押し込んだ。

痛くない。ボタンを押す意気込みが強いのとすでに鈍痛ってこともあり、穴が開いたかもわからない。でもうまくいったっぽい。肉を貫く感触もない。ちょっとあっけない。
空いたけ達成感や高揚より、ようやくこの緊張から解放されることの安堵の方が強い。ようやく息ができる。
しばらくしてじわじわ痛くなってきたが、気になるほどではない。親知らず腫れたときの方がよっぽど痛い。
ひとまず穴をあけられて心底よかった。

穴をあけてから、精神的な大きな変化は特に感じない。結局1,2か月いろいろ考えた割にはどってことなかった。
が、穴をあける前後の緊張感やそれを乗り越えた経験があるということ自体がなんか面白い。何やってんだろうっていう自分っていうおかしみがある。

最近思うのが、ちょっとやってみたいと思って頭にずっと残ってしまうことはとっととやってしまって次のこと考えるために脳みそ空けときたい。
変化したいというのが根っこの欲求だけども、手段としてピアスが良かったかはあんまりわからない。でも、思ったことをやってみた証としてその一歩としてピアス開ける経験は、今のところはいいもんだ。

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