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逃避行(仮)

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ケルアックがやったような《自動記述的な》小説を書いてみようと、「上司を銃殺した男が女と逃げる」とだけ決めて、後はプロットも推敲もなく筆任せに書いていきます。
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2018年9月の記事一覧

逃避行(仮).3

「暗いのはいいにしても、あっついわねえ」

そう言いながらエミリが髪をかきあげると、微かな汗の匂いを感じた。しかし、それはエミリの本来の体臭である甘い匂いと混じりあっていたので、不快な感じは一切なかった。俺もべっとりと汗をかいていたので、きっと腐った果物のような匂いがしただろう。自分の体臭は感じにくい。そういえば、人は、鏡に映して自分を見るとき、脳のごまかしで、他人が見るよりも少し優れて見えると聞

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