映画「日日是好日」を見た感想

樹木希林さんが出る映画が好きだ。全部は見ていないが気まぐれでちょいちょい見ている。
若かりし日の樹木希林さんの出演する映画を拝見したことがないので適当なことを言うが、樹木希林さんはいつも我が強いような気がする。どんな映画のどんな役でも、その映画の世界に生まれ落ちた樹木希林というか、別の世界線上の樹木希林って感じがする。片桐はいりもその意味では似ている。何故か年末近くのBSテレビでやっていた「沈黙」という映画でも片桐はいりは片桐はいりだった。
けれど、主役を押し退けてやろうとか食ってやろうという野心が感じられないので、主役をうまく引き立てている気がする。が、我が強いのでめちゃくちゃ印象には残る。

日日是好日でも、もはやあの時代に茶道の先生をやってた場合の樹木希林だ。対して多部未華子はヘアメイクとかメイクとか衣装とか外見を変えるだけでめちゃくちゃ印象が変わる。演技も上手いので、もはや自分と違うどんな役にでもなれる。派手で、何事も最初から器用にこなし、でも性格だけ面倒臭い女が歳をとるごとにどう変わったのかめちゃくちゃ上手く表現している。役の彼女は割り切りが早く、人生色々あったのかさっさと家庭に入るのだが、その考えの変化と時間の経過を黒木華との川遊びのシーンだけで表現する。
主役の黒木華は樹木希林と多部未華子の、演者としても役柄としても中間にいる気がする。
樹木希林のような演技でもなく、でも多部未華子のように自分と違う役柄全部をこなせるわけでもなく中間でふらふらしているような。
役柄上の多部未華子のように、さっさと結婚すれば自分も生きやすいとわかっていながらも出来ず、かつ樹木希林のように、そのような自分で生きていくための工夫も上手く出来ない。
後々の茶道の後輩が茶道のマナーとかルールに囚われて、「茶道は本来、目の前の、今その場にいる、今の状態のお客さんだけを大事にしてもてなすもの」というのを忘れて、そのもっと後輩の選ぶ茶器とか調度品にケチをつけるのが耐えられない。(私は茶道について一つも知らないので勝手な憶測ですが)
役柄の樹木希林に「柄杓を持つ手がゴツい、そろそろ工夫しろ」と言われて自分の面倒くささと不器用さに傷ついちゃったりする。

役としての黒木華が茶道の先生を志し、将来樹木希林のような先生になるのか、ちょっと樹木希林とは別の立ち位置にいる茶道の先生になるかは分からないけれど、多分樹木希林と同じく、面倒くさい女たちにある意味引導を渡すような人になってるんだろうなと思った。

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