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53.67kmマラソンに参加してきた【第22回利尻島遊悠覧人G】

利尻島悠遊覧人Gという大会に参加してきた。

北海道は最北の稚内からフェリーで1時間半、もしくは札幌近辺の空港から乗り継いでようやくたどり着ける最北の孤島、利尻島を1周する大会だ。一応カテゴリ的にはウルトラマラソンに分類されるだろう(53.67km)

用事がなければまず訪れない。訪問ハードル国内最高レベルだと思う。

利尻富士と言われる大きな山が島の中央に位置していて、コースでは常に左手に見える。記録を狙うというより島を楽しみ、完走することが目標にある。(というか世間的には福岡国際や大阪女子みたいな全参加者ガチレースのほうがおかしいのだ)

結果は3時間26分04秒で2位。距離に対する経験不足を痛感するレースとなった。

ゼッケンはまさかの白い恋人。北海道の定番土産だがパッケージの山は利尻富士なんだとか。

1.移動

羽田から新千歳空港に向かい、そのまま札幌市内を経由して丘珠空港で乗り継ぐルートだ。
北海道旅行には何度も来ているが札幌駅で降り立った時の爽やかな風と冷たい空気が好きで毎回深呼吸をしてしまう。

札幌駅からは丘珠空港までバスで向かい、小型機で利尻空港を目指す。機内はこのマラソン大会に参加する人ばかりで合宿にでも向かうような雰囲気だった。

着陸寸前に利尻富士を迂回するようなルートを取るためこんな日本離れした景色を見ることができた。6月だというのに雪が残っている。

まるでゲームのオープニング
夢の浮島。

今回の宿はゲストハウスを取った。ホテルを取りたかったのだが離島ということで元々キャパが少なく、この大会の参加者で軒並み予約が埋まっていて取れなかった。
空港まで迎えに来てくれたスタッフさんが宇都宮の方で、まさかの利尻島で宇都宮トークをすることになった。

シティホテルにはない良さが溢れていた。次もまたここに来よう。

前日に軽く走ったのだが空気が爽やかでこれだけでも北海道まで来た甲斐があったと思うほどだ。

2.当日とレース展開

朝は3時30分に起床。レースの平均的なゴールタイムから逆算するとどうしても早朝スタートになるようだ。

スタート時の気温は12℃くらい。さすが北海道で序盤15kあたりまでは序盤は3:35〜3:45/kmで推移したにも関わらず汗は出なかった。

ところで42kを超えるレースは初めてだったし何ならフルマラソンだって1度しか走ったことはない。そんな訳で補給に関しての経験も知識もなく

1.14.1k地点
2.23.9k地点
3.34.2k地点
4.46.2k地点

各給水地点。2~3か所間隔で軽食が置いてあった。

にウイダーインゼリーを置いただけだった(そのほかはゼネラルのドリンク類とバナナやチョコが置いてあった)。
序盤から取っていかないと後半のためにはならないと思い、どれだけ余裕があっても全て取るつもりだった。

27k地点までは私ともう1人(このときは北大OBの土橋さんだとは知らなかった)の2人で交代でレースを進めた。

ちょうど中間の27k地点で私が前に出て引っ張るつもりだったのだが、土橋さんが落ちてくれたのでここからは1人旅となった。23.9k地点のウイダーが取れておらず、先行きは怪しかったが余裕はあったし、1人になれた(ぶっちゃけ勝ったと思った)のでそのまま行くことに。

30kを過ぎても3:35〜3:45/kmで推移していたし動きが悪いとは感じなかったのでこのまま不滅の大会新(3:43/km平均、この時点ではかなり貯金があった)を叩き出すつもりしかなかった。

ここからが誤算だった。
34.2k地点の給水所の設営が間に合っておらず置いていたウイダーどころか何も取れなかった。39.3k地点は水しかなく1番大事なところでエネルギー補給できなかった。

急遽42.4k地点の給水所で取れた小袋のチョコとバナナを取ったが意味があったのか不明。走りながらバナナを喰らい、路上に皮を放り投げるというマリオ並みのプレーをするハメに。結局14.1k〜42.4kまで水以外は無補給で走ってしまった。

走ってる時はまだ身体は動いていたので俺速すぎてスマンwと余裕カマしていたがここで取れなかったのが後々の失速に影響したと推測している。

42.2km通過は2時間33分くらい。53.67kmのレースなので42.195kmは通過点でしかないのだがどうしても気になってしまった。ド早朝にアップダウンあるコースでこのタイムなので、まずまずだと思う。

42k地点あたりでついに全てが狂う。
なんと27k地点で突き放したと思っていた土橋さんに追いつかれたのだ。それまで後ろを何度かみても見えなくなっていたからてっきり垂れたのかと思っていた。自分が補給を取れていなかったこともあり残り15kを確実に走り切るためにもややペースダウン(3:45〜50/km)していたのは事実だがまさか追いつかれるとは思わなかった。半分ウイニングランに突入していた私にとっては衝撃でまさかこんな最北の地でガチレースをしなければならないとは思いもしなかった。

追いつかれてからは後ろに付かせてもらい46k地点までは付けた。だがこのあたりから呼吸は苦しくないにも関わらず身体が全く動かなくなっていた。(3:35~45/kmまでペースは持ち直していた)

46.2kmあたりの少々キツめの登りで完全に離されてしまった。

ここからが本当に地獄だった。残り7kだというのに4:10、4:40、5:12、5:46と果てしなくペースダウンしていった。これまで走ってきた46kよりもラスト7kの方が長く感じたほどだ。

結局垂れに垂れ足も攣りはじめ歩きに近いよう状態でゴールした(3時間26分)
土橋さんが3時間14分だったのでたった7kで12分も離されたことになる。タレまくりだ。

ゴール後は30分くらい動けなかった。今日より距離は11kmほど短いが圧倒的にペースの速かった福岡国際マラソンとは比べ物にならないほどのダメージだった。

3.ペースダウンと身体的負荷

これはトラックレースでも経験があるのだが、終盤ペースダウンしたレースというのは「出し切った感」がないにも関わらず(本当はそんなことないのだが後々あそこはもっと粘れた、などという感想が浮かんでくる)ダメージがめちゃくちゃデカい。

身体が限界を超えた状態なのに無理に動かしていることが原因なのか、はたまたメンタルの問題なのか、、、。

やはり長距離は「最後まで維持できるペース」で走り続けることがベストだと感じた。垂れてしまうと呼吸はキツくないにも関わらず莫大なダメージを抱えてしまう。

また2時間を超えるレースの考え方も見直さないといけないと感じた。45kあたりまでは余裕を持って3:30〜45/kmのペースを刻めていたが結果的にはもっと余裕を持って前半は進めなければいけなかった。

後出しなので言い方はいろいろあるが、経験不足から来るスタミナの配分ミスと言えるだろう。

もともと53kのレースを想定した練習なんかしてないし完走できれば御の字であることに間違いはないが、マラソンを想定するとこのあたりの感覚は徐々に身につけていきたい。

以下に50kmまでの5kmと残り3.67kmのラップを記す
18:02-18:04-18:11-18:08-18:02-18:11-17:58-18:36-18:22-21:38-5:13(51km)-5:46(52km)-5:46(53km)-3:55(53.67km)

もちろん自己最長記録だ。ついついラップ一覧を見てしまう。

4.大会の雰囲気

とにかく景色が日本離れしていた。スマホを持たずに走ったので前日に撮った写真たちを載せておく。これだけでも出る価値はあるだろう。

背の高い植物は育たないのでこんな景色が続く。進行方向によってはサハリンまで見渡せる。
スタート前の利尻富士。

また入賞者景品が豪華だ。2位でさえこれだけ貰える。
優勝者は羽田新千歳の往復航空券と利尻島フェリーの往復券まで貰っていた。

白い恋人54枚箱、美冬詰め合わせ、グランマリアージュ詰め合わせ、日本酒。

寒すがて標高0mから高山植物しか生えない北国の厳しい気候と、離島特有の温かさを垣間見ることが出来る素晴らしい大会だった。

レース内容自体は陸上人生でもトップクラスの苦しさでもうあんな思いはしたくないが、それでも時間が経つとまた恋しくなるのがランナーである。

大会委員長が「利尻は試練のあとにご褒美を出してくれる」と言っていた。ツマらないオジサンの平凡な挨拶ではなかった。大会を真に盛り上げたい想いが伝わってくる人だった。ご褒美の話は今回の自分にすごく響いた言葉だった。ご褒美に期待して、また出るのかな、次訪れるのはいつだろうと思いと共に甲板から利尻富士を眺めていたー。

写真だと分かりにくいが15.5度。滞在中常にパーカーを着ているくらいの寒さだ。

5.お金の話

さて、今回の大会だが当然自費参加だ。参考までに内訳を残す。
往路:羽田→新千歳 16000円 (JAL早割)
往路:丘珠→利尻 12000円 (JAL早割)
前泊:利尻島ゲストハウス 7500円
参加費:ランネット経由8500円+手数料
復路:利尻島→稚内フェリー 3000円(当日自由席)
後泊:稚内市内ホテル代8000円
復路:稚内→羽田 11000円(ANAスーパーバリュー)
食事代:8000円

…合計74000円
完全にアホである。

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