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未来郵便局からの手紙

みなさんは、開発好明氏の「未来郵便局」というプロジェクトについてご存知だろうか?

小学校の図画工作の時間以来、忘れていたような真っ青な紙。そこに思い思いに手紙を書いて投函すると、1年後に届けてくれるというインスタレーションだ。

送り先は誰でもいい。愛する人?友達?家族?もちろん自分でもいい。1年後という、覚えているような、忘れているようなタイミングで届くこの手紙には、書いたことに、時間という物語が添えられている。

色々あって、ここ数年は毎年「六甲ミーツ・アート」という現代アートの展覧会を見に行っている僕は、そこに毎年出展している未来郵便局で、必ず一通手紙を書くようにしている。

宛先は、1年後の自分。

今年も、すっかり忘れたころに去年の自分からの手紙が届いた。

テーブルの上に置かれた真っ青な封筒に一瞬、息をのむ。

何を書いたかすっかり忘れているタイミングで届く、自分から自分へのメッセージ。何が書かれているのか?読んで後悔するようなことが書かれていたらどうしよう。ぐるぐると巡る思考に怯えながら封を切る。

読む。

自分が書いた言葉をすっかり忘れている自分にも驚く。

一年前の僕が、いまの僕に宛てた言葉の鋭さにも驚く。

あれから1年経って、仕事でも、プライベートでも色々なことがあって、僕は「書く」ということを仕事にしつつある。

1年前の僕が残した言葉は、少なくとも今の僕にとって励ましになったのは間違いない。

意外といいこと言うじゃん、1年前の僕──。

あ、もちろん手紙の中身は秘密です。

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