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株がわかる! 日経平均公式ガイドブック 日本経済新聞社インデックス事業室

日経平均は株式投資にどう役立つか

市場の「代表選手」がわかる
日経平均は後者の代表選手型の株価指数です。
選手として選ばれのは、東証1部上場企業のうち225社。
このことから「日経225」の愛称で呼ばれることもあります。
どの銘柄を採用し除外するかは、原則として年に1回、取引の活発さや業種のバランスに照らして、算出元である日本経済新聞社が決めており、結果として株式市場で人気の高い、各業界でトップクラスの有力企業が多くの名を連ねています。

日経平均を知ろう

計算の仕組み
日経平均株価は東京証券取引所第1部に上場する225銘柄の株価平均というのが基本的な考え方です。
しかし、株価の単純平均ではありません。
例えば、構成銘柄について、2013年6月28日の終値を全部足して225で割ると6776円で、その日の日経平均の終値(13,677円)になりません。
日経平均の算出では「みなし額面」と「除数」による調整をかけているからです。

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銘柄の定期見直し
日経平均株価は構成銘柄を定期的に見直しています。
産業構造の変化や株式市場の動向を、より正確に反映するためです。

2つの「市場流動性」指標
銘柄を選ぶ尺度には「市場流動性」と「セクターバランス」の2つあります。
市場流動性はどれだけ活発に売買されているかを示し、東京証券取引所での5年間の売買代金と「売買高当たり株価変動率」([高値÷安値]/ 売買高)の2つの尺度で見ます。
売買代金が多いほど流動性が高く、変動率はわずかの売買で株価が大きく変動していないか、安定度を測る指標で、低いほど流動性が高いと考えます。
2つの尺度で測った市場流動性を元に、流動性の高い銘柄を採用し、低い銘柄を除外します。

セクターバランスでふるいに
さらに、流動性が高と判断された銘柄は、特定の業種に偏らないように「セクターバランス」でふるいにかけられます。
日経業種分類(36種)から集約された「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」という6つのセクタ^があり、各セクターの銘柄の過不足を見て除外や新規採用を決めます。
入れ替える銘柄の株価の違いは除数で調整し、日経平均の連続性を維持します。
現在の銘柄選定ルールが2004年4月に導入されました。
産業構造の急激な変化に対応しながら、より市場を代表する銘柄をタイムリーに選び出すのが狙いです。
毎年10月に定期入れ替えがあり、通常9月には内容が事前に公表されます。

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外貨建て日経平均
欧米の機関投資家は、日本株に対する投資の成果を本国の通貨であるドルやユーロに換算して評価しています。
日経平均株価の上げ下げもドルやユーロ建てに換算してみています。
このため、外国人の運用成果や投資動向を探るには日経平均そのものよりも外国建に計算し直した日経平均の動きを見た方が参考になります。

円高は上昇要因に
円高は外貨建て日経平均の上昇要因に、円安は下落要因に働きます。
例えば、日経平均を9000円、円相場を1ドル=85円とすると、9000円を85円で割って求めたドル建て日経平均は約106ドル。その後1ドル=80円の円高になれば、日経平均が9000円のままでも、ドル建て日経平均は約113ドルに値上がりします。

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アノマリーを探せ!

日中
日経平均株価は東京証券取引所で現物株の売買が始まる9時から15秒間隔で算出され、取引が終わる午後3時まで刻々とその数値は変化していきます。
日経平均は様々な材料を織り込みながら、上昇・下落を繰り返しますが、このような1日の値動きに何らかの規則性を見出すことはできないでしょうか。

「上昇→下落」パターンが最多
市場分析ツールの研究・開発などを手がけるCMDラボは、日本経済新聞社が持つ日中足データを元に、過去の日経平均の1日の値動きを数理的に7つのパターンに分けて集計しました。
①横ばい
②下落
③上昇
④下落→上昇
⑤上昇→下落
⑥下落→上昇→横ばい
⑦上昇→下落→横ばい
の7分類です。

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日付
ある日の日経平均株価が上がるか下がるか。
過去60年余りを個別に調べていくと、合理的な理由がないのに上昇する確率の高い日、低い日があるのです。
市場で言われる「アノマリー」の一種です。

最も上昇する可能性が高いのは、新年早々の1月14日で、その確率は8割弱に達します。
「値ごろ感による外国人の買い」(1982年)「日米間で為替相場安定確認を交換」(1988年)など買い手が誰であるのか、買材料が何であるのかは年によってバラバラですが、統計上は1年の中で、最も株価が上昇しやすい日だと言えます。
過去において大納会となるケースが多かった12月28日も、7割強の確率で日経平均は高くなります。投資家にとっては株価が上昇し、少しでも保有銘柄の損益状況が良くなった状態で、安心して年を越したいのが本音です。
そのため、年末の株価引き上げを目的とした「お化粧買い」が入りやすくなる見方もあります。

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曜日
「週初下落・週末上昇」が典型パターン
1週間のうち、株価が上昇しやすい曜日はあるのでしょうか。
最も日経平均が上昇する確率が高いのが、金・土曜日でした。
統計上からは、「週初下落・週末上昇」という傾向が浮かび上がっています。
これを株式投資の観点から捉え直せば、「週初に買って、週末に売る」というのが、収益を上げられる1つのパターンということになります。

ウィークエンド効果が背景に
なぜ、週初に安くなる確率が高いのでしょうか。それは「ウィークエンド効果」です。
株式市場にとって悪材用となるニュースは週末の金曜日の売買が終了した後に公表される確率が高いことが影響しているとされます。
例えば、上場企業は業績予想の下方修正や不祥事などの公表について株式市場が閉まっているタイミングで実施することが多見されます。
これは土曜日と日曜日と株式市場が閉まっているうちに、悪材料を投資家の間に浸透させ、ある程度冷静さを取り戻させたいという思惑が企業側にあるためです。

火曜日安は信用取引が影響か?
最も上昇確率が低いのが火曜日である理由は、市場関係者の間では、「信用取引の存在」を指摘する声があります。
株式の受け渡しは売買成立後の4営業日目になります。
例えば、火曜日に信用買いをした投資家が翌日の水曜日に売却したとすると、実際の株券は金曜日に受け取り、翌週の月曜日に受け渡す格好になります。
ここで問題になってくるのが、信用取引の買い手が支払う金利負担です。
信用買いは証券会社から購入代金を借りて株式を買いますから、その分、金利負担が発生します。
「火曜日買い、水曜日売り」をすると、金曜日に手元にきた株券を週末の土日に保有し、翌月曜日に手元から離れることがわかっている株式に対し、休日2日分の金利を余分に支払わなければならないのは無駄です。
信用の買い手は少しでも金利負担を軽減したいですから、火曜日に一旦手仕舞い売りを出す可能性が出てきます。

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アノマリーについては、あくまでも過去のデータを分析した結果、1つの傾向として導き出されたものです。
今後も同じ傾向が続く保証はありません。
投資の判断材料を下す際の参考資料にはなりますが、それだけで判断を下せるものではありません。
アノマリーの背景にある理屈を推察し、それを検証することで、自分なりの判断材料として使う姿勢を身につけることが重要です。

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