見出し画像

【8軒目】和 dining 清乃(和歌山県有田市)

ついに、食べログ1位のラーメン屋に行くときが来た。

1位の店は最後に行くんじゃないの?っていう声が聞こえてきそうだけど、そんなことをしている余裕がない場所にある。

箕島という駅。大阪から何本か乗り継いで2時間ぐらいかかったんだけど、駅を出たらこんな感じ。

いや、これ絶対ラーメン屋ないでしょ。百歩譲ってラーメン屋はあったとしても、全国1位のラーメン屋はないでしょ。

地図を見ると、ここから25分ぐらい歩かないといけないらしい。まじか。僕がもし天才だったら、きっとスーツケースを大阪に置いてきたことだろう。なんで持ってきてしまったんだ。

ラーメン屋の住所は、和歌山県有田市野696。「野」って。こういう一文字の地名を聞くと、関西でしか成立しない名前だよなぁと思う。関西では一文字の言葉は、蚊は「かぁ」、木は「きぃ」というふうに、伸ばす。

僕の出身である三重県の県庁所在地は「津」だけど、あれも地元の人が「つぅ」って発音するから成立している。ここも和歌山だから、「のぉ」と発音するから成立しているんだろう。さもなければ発音が一瞬すぎて不便すぎる。

そんなことを考えていたら、着いた。

今回は全国1位の店なので、いつもよりハニカミ具合を増しておいた。これでご満足いただけるだろうか。

全国1位だから張り切って開店の40分ぐらい前に来たんだけど、誰もいなかった。そりゃそうだよね。こんな奥地。でもさすが全国1位、しばらくすると、人が少しずつ並び始めた。

この旅2度目の列の先頭だ。全国1位の店で先頭だなんて、この世の頂点に立っているみたいだ。石油王になった気分だ。しかし僕が本当に石油王だったら、きっとスーツケースを大阪に置いてきただろう。

開店と同時に店内に案内される。石油王だから当然だ。おてふきも洒落ている。

とても愛想の良い店員さんに注文し、待つこと数分。ついに!

なるほど。ビジュアルは、日本一に相応しい。

しかし、この旅を通じてひとつ確信したことがある。それは、僕は醤油ラーメンがそこまで好きではない、ということだ。

一口目。非常に上品な味だ。すべてが洗練されている。しかし、僕はやっぱり醤油ラーメンがそんなに好きではないようだ。泣ける。

全国1位のお店に来たのだから、看板メニューを頼んだことは後悔してない。でも、全国1位のお店でこのまま終わるわけにはいかない。ましてやこんな山奥まで2時間半かけてスーツケースを引きながらやってきたんだ。

この旅(というか人生)初の、2杯目をオーダー。こってり好きのための和歌山ラーメン。

これは、うまい!!最初食べた瞬間、見た目と味とのギャップに一瞬戸惑うも、そのあとしっかりと出汁の味が効いてくる。確かにこってりしながらも、とても後味が良く、いやな油は残らず満足度だけが残る感じだ。

ごちそうさまでした。全国1位に相応しいお店だと実感しました。あと僕は醤油ラーメンを評価する資格はありません。

(後日談: このお店、僕が行った4日後に店主インフルエンザで臨時休業したらしい。危なかったー)

最後に、メニューに書いてあった「西村物産」という文字が、どう見ても「西村雅彦」にしか見えないという事実を共有してお別れしましょう。さよなら!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?