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イマジナリーびいどろで、我慢


わたしはびいどろ````を舐めたい。

高校の現代文で、梶井基次郎の短編小説『檸檬』を習った時から、ずっとぼんやり抱いている夢。

  それからまた、びいどろ````という色硝子いろガラスたいや花を打出してあるおはじきが好きになったし、南京玉なんきんだまが好きになった。またそれをめてみるのが私にとって何ともいえない享楽きょうらくだったのだ。あのびいどろ```` の味程かすかな涼しい味があるものか。私は幼い時よくそれを口に入れては父母にしかられたものだが、その幼時のあまい記憶が大きくなって落魄おちぶれた私に蘇ってくるせいだろうか、全くあの味には幽かなさわやかな何となく詩美と云ったような味覚が漂って来る。

梶井基次郎『檸檬』新潮社、2003
年改版、9-10頁


「あのびいどろの味程幽かな涼しい味があるものか。」

このフレーズに、高校生の私は痺れたんだなぁ。

幽かな。微かじゃなくて、幽か、という表現は涼やかさを表現するのにぴったりだと感じた。

私の中では、「幽」は少し影の入った水色で、「微」は少し茶色がかったグレー……調べると茶鼠色が近いか? そんな印象を持っている。


今日は一段と暑かったので、こんな日は口の中にびいどろを含んで、涼やかさを味わいたいなあ、と思ったのでした。


……ただ、これ、実際やるとなると、喉に詰まらせたりしそうで怖くてさ。

あと口から吐き出した時に洗うのイヤだなあと思って、想像だけに留めてるんですよね。

現実って、難しい。


この夏も暑くなりそうですが、そういう時にはイマジナリーびいどろ、皆さんもいっしょに味わいましょうね。

おやすみなさい!

文庫通りにルビ振ってたら時間かかっちゃった!!

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