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It's true.

It's true.なんて、皆さんは言ったことがあるだろうか?

「いつ言うのさ!ランキング」があるとしたら、きっと8位くらいに入るはず。んな微妙な。そしてThis is a pen.は殿堂入りしている、絶対に。



あれは韓国旅行に幼馴染の身内と行った時。

ややこしいけど、幼馴染の身内とは幼馴染であって、本当の身内ではありません。あまりにも一緒にいすぎて身内感がありすぎることから身内と呼ばせてもらっております。
そんな身内と、あれは確か数年前の3月の下旬、2泊3日の旅をした。

すごく寒い日で、洗濯のタイミングを間違えた私は着ていこうと思った服が乾かず、ぺらぺらのスカートで行ったのを覚えている。
街コン用の勝負スカートだった。それしか乾いてなかった。韓国に着くと吹雪だった。そこでようやっと「北海道より緯度が高い」ことを思い出した。寒すぎてデニムを買った。
韓国でした中で一番高い買い物だった。

吹雪だもんで早く屋内に入りたい。
ついでに早い時間の飛行機だもんで寝不足でとても眠い。
激しく雪の降る中、我々はガラガラを引きながら、ただ黙々とホテルへの道を進んだ。ひどい雪のためか、道中ひと一人っ子いなかった。
上下左右、すべてが雪に覆われて真っ白。「本当にここは韓国か?世紀末ではなかろうか」と、私と身内以外の人類がいつのまにか消えてしまったのではないかと思うくらいには人がいなかった。

「きっとこの角だ」「あと真っ直ぐ」などと地図を読む身内の後に私は続いた。
私は終始「ねむいーねむいー」と言い続け、「これが雪山なら死んでるね!」と意味のないことを口から垂れ流し続けた。

「こっちかな?」と行く方向を身内が悩んでいたら、「そうじゃない?」と、見てもよく分からない地図を見て答えるのが私の役目だった。
そして雪を踏みしめながらようやっと到着。きっと駅から10分くらいの場所であったと思うけど、雪の中、それも吹雪の中なのでその倍以上はかかったと思う。宿泊先の外観は日本のビジネスホテルのようで、縦に長く、奥行きのある造りだった。

受付に行くと、気の良さそうなご主人がにこやかに出迎えてくれた。何を言っているのかは分からなかったが、「雪の中大変でしたねえ」みたいなことを言ってくれたんだろうと思う、おそらく。

我々は外国人なので、事前にホテルに登録した情報と間違いがないか照会する。
まずは英語が堪能な身内、そのあとに身内の手本を踏まえて私、という順番であった。

パスポートを見せたかは定かでないが、名前と国籍を聞かれ、スムーズに答える身内。ほぅほぅなるほど、そんな風にやるのね。
続いて私の番。まず名前、これはいけた。
次に国籍。

「ジャパニーズ」
「…Really?」
え、今なんて?本当?って言った?私疑われてる?

焦った。一瞬の間に詐欺だと思われてるんじゃないかと、頭がぐるぐる回った。聞き間違いかもしれない、もう一回言ってみる。

「ジャパニーズ」
「Really???」

コリアンという単語が聞き取れた。ホテルの主人、どうやら私を韓国人だと思っているらしい。

「ノーノー!!!アイムジャパニーズ!!!」
必死に否定する。
「…Really?…ok」

怪訝な顔をしながらも、なんとか分かってくれた様子。ほっと一安心して部屋の鍵をもらい、部屋のあるフロアに向かおうとエレベーターに乗る。
その扉が閉まる寸前、再び主人が尋ねた。

「Really?」
そして私は大きく答えた。
「It's true!!!」

身内は大いに笑っていた。




その後の買い物では、身内は5歩進むたびに、ひどいところでは2歩進むたびにキャッチに捕まるのに対し、私はびっくりするほど捕まらなかった。
とても快適だったけど、韓国に来たからには逆に捕まりたかった。細い道では身内を先頭にするとまぁ進めないので、私が先頭になってズンズン進んだ。振り返ると身内がキャッチにまみれている時もあり、いつも身内に頼りっぱなしの私はここぞとばかりに「仕方ないなぁ」と満更でもない顔で身内を救いに行った。



韓国の男性は高身長で塩顔の人が多いという。高身長で塩顔の男性が、当時の私にとっては(今もあまり変わらないが)非常に至高であった。

「韓国の男性との遠距離恋愛もロマンティックじゃない?」
そんなことを考えたものだ。

韓国人に間違われた私は「この旅行で運命の人を見つける」と意気込んだ。
あわよくば、「声かけられないかな。韓国人に似ているなら相手にとって声をかけるハードルもきっと低いだろうし」と、今思うとなんとも図々しい期待をしていた。

しかし全く声がかからない。
期待が大きく外れて消沈する私に身内が言った。

「あなたの顔は韓国の男性にとって日常なんだよ」
「そうか、日常だから声がかからないのか」

ポジティブな2人。

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