見出し画像

お前は『モータルコンバット』を見て中2の時にグランド・セフト・オートしたドキドキを思い出せ

映画ファンのみんなごきげんようランガタロウです。

本日の映画は「モータルコンバット(2021)」アメリカの歴史を変えた大人気格闘ゲーム「モータルコンバット」の実写映画版だ

この映画を見た俺の血は沸騰し、内に眠るニンジャの血が覚醒し、ソファーに手を突っ込んで心臓を抜き取って回った

モータルコンバットはアメリカの大人気ゲームで外伝も含めると16本も出てるご長寿シリーズだが、日本ではPS1で出したのを最後に出ていない、だから日本人にはモータルコンバットの基礎設定などが浸透していないが、安心して初見でも見に行ってほしい、閃光のハサウェイを初見で見に行くより理解しやすいと思う

構成要素は「ニンジャ・暴力・復讐・家族・愛・トカゲ人間・目からビームが出る人」であり 社会人に不足しガチな栄養素をバランス良く補ってくれて健康に素晴らしく良い映画だ、評論家が求める家族と愛の要素も入っている


あらすじ

1617年 日本 白井流ニンジャクランを束ねる最強のニンジャ『ハサシ・ハンゾウ』の屋敷に中国の邪悪なニンジャクラン「燐塊」の手練ビ・ハンが襲いかかる 氷を自由自在に操りあらゆるものを冷凍するビ・ハンの術の前に妻子は殺され、ハンゾウも敗れ去る。だがハンゾウは自ら冥界に降りることで復讐のチャンスを伺っていた。

一方その頃、現代の地球では神々によって定められた魔界と人間界の戦い「モータルコンバット」が人類9敗中であり、もう一度負ければ人間界は全て魔界の物になってしまう危機に瀕していた。

あらすじの9割ぐらいニンジャスレイヤーのOPじゃない?

前半と後半が繋がっていないような気がするが今回はそういう映画なのだ

シンプルに悪い人 シャン・ツン

魔界と人間界で選ばれし物同士が戦う武術大会モータルコンバット、しかし人類が9敗してる理由はこのシャン・ツンが「参加者を大会前に暗殺してるから」とかいうスーパー身も蓋もない理由である。

今回の動機も「予言によると10回目は人類側が勝つことになってるらしいので念には念を入れて暗殺しよう」である 近年の悪役としては衝撃のセコさがある。いや、実際ゲームの設定に忠実らしいんだけど2時間の映画のボスとして君臨されるとめちゃくちゃセコい設定だなこいつ。
あらすじの前後が繋がらないように見えるのもこいつのせいである「大会開催前に暗殺者を送り込む」という基本戦略のせいで そもそもモータルコンバット大会が行われないので今回の映画ではモータルコンバットが開催されるところまで話が進まない そこのなんとも言えない閉まらなさを「原作で一番人気のキャラであるサブゼロ(ビハン)とスコーピオン(ハサシハンゾウ)の復讐劇」でサンドすることで短期的な目標を設定し決着ついた感じを出すのだ 実際これは上手く言っていて現世に再びハサシハンゾウが登場するシーンは素直にかっこよすぎて鳥肌が立った かっこよすぎたら細かいことは許されるのだ そしてそこから凄いアクションをすると更に許されるし、大筋はともかくキャラクター同士の感情に決着がつけば大丈夫なのだ。

ちょっと凄まじいがすぎるアクション

原作が格闘ゲームである以上求められるのは格闘シーンのクォリティだ、総合格闘家、少林寺拳法、ニンジャ、軍人、腕が4本ある魔界の王子、サイボーグと多種多様な格闘技を持つキャラクター達の戦いは観客の血を沸騰させる。ここで素晴らしいのは例えば少林寺拳法の達人リュウ・カンは手から炎を出して攻撃するが、この時いちいちポーズをとる。元のゲームでコマンドを入力して出したかのようにだ

この塩梅が素晴らしい、アクションが出来る俳優によるガチの殺陣の合間合間にポーズ付で放たれるコマンド技のバランスだ「俺は格闘ゲームの実写化だ!」と世界の中心で叫ぶかのごとく繰り出される存在感は映画に彩りを与えている。


”フェイタリティ”中学生男子ハートを思い出させる気持ちの良いゴア表現

90年代のアメリカで何故モータルコンバットというゲームは大ブレイクしたのか、それはフェイタリティというゴア要素だ。
HPが0になった相手はフラフラ状態に「FINISH him(トドメをさせ)」のアナウンスが出たらコマンドを入力することで相手を燃やしたり心臓を引っこ抜いたり首ごと脊椎を引っこ抜いたりする。格闘ゲームというプレイヤーのアドレナリンが全開になり野獣と化すゲームで勝利したプレイヤーに「敗者を惨たらしく殺す権利」を与えるのだ、もはやゴアだからとかそういう領域を超えた本物の『トロフィー』であろう

現在も最新の3Dグラフィックになって進化し続けるこの要素はモータルコンバットの看板と言ってもいい。だからこの映画でも存分にフェイタリティを見せてくれる。

だがどうだろう、この映画のグロ要素にはある種の爽やかさがある、といっても実際に爽やかなわけではない、今や洋ゲーも日本で当たり前になり、スペース海兵隊になってエイリアンの臓物をチェーンソーで粉々にするようなゲームも当たり前になったし、逆に和ゲーのはずのバイオハザードもグラフィックが綺麗になったのでヘッドショットしたゾンビの脳みそが飛び散るようになった。

そんな中でモータルコンバットにあるゴアな表現を見て何故元気になるのか考えた、筆者は日本生まれ日本育ちだ、モータルコンバットはゲーム雑誌の怪しいページに載ってるゲームなのに実写の何かだった、だが中高生というのは「ゴア表現」への極めて強い憧れ、見ては行けないものを見た背徳感が身近では無いゆえに存在したのでは無いだろうか、プレイステーション2と青春が同時期だった若かりし頃 スクールでは「俺グラセフやってる」というイキリがチャラ男からオタクまで別け隔てなくあった

グラセフというのはギャングの下っ端になって、車に乗り、銃を撃ちまくり、警察から逃げ回るゲームだ、真面目にミッションをこなそうとすると骨太なゲームデザインに打ちのめされるのでもっぱら若者たちはシナリオを無視しパトカーを強奪しロケットランチャーを高速道路に打ち込む無軌道な遊びをした、筆者もマシンガンただ目的も無く乱射し通行人を撃ったし、親に心配された、GTAⅢはチートコードで部位欠損がONになるのでフェイタリティの如く通行人を惨殺できる モータルコンバットがもたらされていない極東の学生にはこれが「フェイタリティ」だった。

関係ない自分語りを長く書いてしまったが、なんとなくこういうノスタルジーが想起された、ゲームというフィクションの世界で勝者は敗者にキメるトドメとして思いっきり相手をグチャグチャにしちまう時の勢いと「そうだよな ゲームだからヒットエフェクトだけで済んでるけど普通は当たったらこういう風に臓物飛び出すような攻撃だよな…」という冷静になった自分が頭の中で考える「リアリティ」みたいな物が複合した「鋼鉄製の帽子の縁で相手を殴ると敵はスパッと切れる」だとか「雄叫びを上げながらパンチすると心臓引っこ抜ける」とかそういう思い切りの良い映像が2021年の最新VFXでお出しされると 「あの頃は見ちゃいけないものだと思ってた自分」と「もう大人になってゲラゲラ笑いながら見れるようになった自分」がミックスされる 劇中でニンジャ・ハサシハンゾウが「冥界から蘇った闘士スコーピオン」に名を変えるように 過去の価値観と今の価値観がミックスアップされた楽しさがあった。モータルコンバットはゴア表現ゆえにR-15指定だが、それはキモいものや怖いものでなく「いえぇーい!!ぶっ殺してやったぜマザーフ○ッカー!!!」というテンションのものだ。


今作を正気にしてくれたバイプレイヤー『カノウ』

アメリカではモータルコンバットを知らないものがいないので多少めちゃくちゃな設定でも「でも原作がこうですから」で押し通せる力があるが、それにしても突っ込まざる負えないポイントも多数ある。しかしそこを助けるのがこのカノウだ。

カノウは黒龍会という犯罪組織の人間で悪党だ、だが「人類VS魔界」というスケールの前ではまぁ人間なので最初は味方として活動する

そして常に人を小馬鹿にした態度で皮肉を言うがぶっちゃけ、モータルコンバット側の設定がぶっ飛び過ぎてるので「何か唯一正気の人」みたいなノリがあって愛嬌と可愛さが生まれている。

まぁ元々一般人なのに「魔界と人間界が戦ってて 俺たちは選ばれし闘士だ」と言われたのを超高速で飲み込んでる他の登場人物の話が早すぎる気がするので いい感じにみんなと仲良くならずあまつさえ悪党なのでやはり敵になって暴れてくれる今作のカノウはめちゃくちゃいいキャラだ、トカゲ人間の心臓も引っこ抜いてくれるし、目からビームも出るし。

終わりに

モータルコンバット(2021)は面白い映画だった、モータルコンバット屋に入って「モータルコンバットください」と言ったらモータルコンバットをお出しされたような満足感だ、私のようなまともなモータルコンバット知識が90年代の実写版とにわか知識(モータルコンバット対DCユニバースという血とかあんまでないゲーム)しかない人間にも「これはモータルコンバット屋でモータルコンバットが出てきたんだな」とわかるほどモータルコンバットしていた。

中盤 予算と尺が危ない映画にありがちななんか荒野で目的地を探しにダラダラと歩くパートが来た時は危ないと思ったがまたもカノウが面白い会話でなんとかしたのでカノウは本当に凄い。

手から氷を出すニンジャがいて、縁が鋼鉄の刃になった帽子を丸鋸のように回転させて使うやつ、目からビームが出るやつ、腕がサイボーグアームのやつ、腕が4本あるやつ、トカゲ人間、口裂け女、映画オリジナルキャラなのにさぞ「ゲームではお馴染みのこの技!」みたいなノリで技を出す主人公が そして常に目が光ってる神様がいる。

原作ゲームで目が光ってるからって 実写化するにあたって「本当に役者の目がずっと光ってる 戦ってない時も 真面目な会話の時も」ってなってるの気が狂っとると思う

とにかくポップコーンとコーラが美味しくなるアクション大作ムービーだ、冷えたビールとホットドッグでも良いかもしれない、R-15指定という数字に惑わされず気軽に映画館にいって「モーーーーータルコンバアアアアアアアット」と叫びながら映画館を飛び出し 己の魂を開放しよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?