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ゴーストオブツシマ・侍を超えた魅力としての「快適すぎるテレビゲーム」

ドーシヨ!ドーシヨ!(弓を避ける)お久しぶりですランガタロウです。

鎌倉時代のモンゴル帝国日本襲来を舞台にしたゲーム
「ゴーストオブツシマ」
海外のゲーム会社開発にも関わらず緻密な取材やこだわりによって再現された「サムライの国」魅力的なゲームとして大ヒットしておりますが。

このゲームの”侍ゲー”としての姿はもっと僕よりも黒澤映画に詳しい人達が多数記事を上げているので今日は「テレビゲーム」としてのゴーストオブツシマを語ろうと思います。


全てが快適すぎるゲーム

ゲームの進化とはなんだろうか?グラフィック?これまでのゲームに存在しない斬新なシステム?

違う、ゴーストオブツシマがもたらしたのはプレイする人間の快適さだ。

まずロード時間が圧倒的に短い

これはもはや圧倒的と言っても過言ではない、現代のゲーム機のロード速度はゲーム機の性能ではなく「HDDの限界」「読み込みの早いSSDを使えば」などの記録メディアの性能に依存している。

そんな中で最も読み込みに時間のかかるオープンワールドゲームでありながら、しかもHDDでも読み込みが高速という偉業を達成している。

「そんなにロード速度が大事なのか?」とは思うかも知れないが
オープンワールドゲームのロード速度というのはゲームを最後まで遊ぶモチベーションの全てと言っていい。

これは筆者の個人的な経験だが、スカイリムのPC版をHDDにインストールして遊んでいたころはファストトラベルのロード時間が長く割とイライラしていた、後にSSDにPCを換装したことでロード時間が改善されたのだが「もはやゲームのロード時間はプログラムでは解決できず 機械の性能に頼るしか無いのだな」と認識を更新した懐かしき記憶がある。
そしてPS5やXBOXシリーズXなどの新世代ゲーム機たちが『ついにHDDをやめてSSDを搭載することでロード時間の無い世界を』という要素を売りにだしとにかく「もう機械を変えるしか無いのだ」という世界を我々は目前にしている。

その最中にあって「HDDのPS4であってもロード時間がほとんど無い」という衝撃の体験がここで飛び込んでくる。

そしてこのロード時間という要素がさらにこの後のゲーム体験にめちゃくちゃ影響を及ぼしてくる。

豊富なチェックポイント

ゴーストオブツシマはたった一人のサムライを操作して蒙古の軍団と戦うゲームだ、故に囲まれてしまえばあっさり死んでしまう。
だが先程述べた高速なロード時間ですぐにプレイが再開され、ボス戦で負けたなら○ボタンひとつですぐにボス戦から再開。

拠点の攻略中であれば「死んでもそこまでに殺した兵は全て死んでる状態でスタート地点に戻る」という感じで、例えなんどゲームに失敗したとしても『またやり直さないといけないのか…』という落ち込みは無い。
やり直す度に「もう一度」「次はここまで進む」という気持ちになれる
これが”快適”なのだ。

そもそもこのゲームの難易度事態そこまで高くないので難易度難しや万死にしてない限りそうそう同じステージで連続で死なないしね。

新しくはないのに快適すぎる戦闘システム

このゲームの戦闘システムもまた”快適”によって作られている。
いや、決して新しいものではない、アサシンクリードシリーズなどの洋ゲーで見たことのある「攻撃」「ガード崩しの強攻撃」「カウンター」「パリィ」「ローリング避け」「ステップ避け」そういった色々なものを組み合わせたシステムだ。

だが決して同じではない。
戦闘の柱となるのが「受け流し」だ、相手が攻撃態勢に入ってからガードボタンを押すと相手の攻撃を受け流し、ガードされずに相手を切るスキを作ることができる。

この受け流しの判定のゆるゆる具合が絶妙なのだ!難易度設定によって判定は厳しくなっていくのだが”普通”であれば敵兵が「やー!」と叫びながら剣を上げた時点でガードボタン押していれば勝手に受け流しになる。
そして受け流し失敗だったとしてもガードボタンを押していれば相手の攻撃は防げるのでどっちにしても問題はない。

もちろん敵兵も馬鹿ではない 適度にガードできない攻撃を織り交ぜて攻めてくるし、そういう場合はガードボタンを手放して回避ボタンを押す必要がある、これに引っかかって慣れないうちはなんども死ぬかもしれない…だが。

このゲームは真正面からの正々堂々を誉とする侍が、人を守るためには正々堂々など選んでいられないことに気づいていき、侍ならぬ冥人として、時に卑怯な手段をもちいることを許されたゲームだ。

ゲームが苦手な人は最後までガード不可能攻撃を回避できぬ時もあるかもしれない、複数の敵に囲まれれば、受け流しをしても次の敵兵が斬りかかってきてダメージを受けるかも知れない。

そんな時、クナイを投げて強制的にガードを崩して殴りかかり。
煙幕を投げて視界を奪い、敵を暗殺し(これはアサシンクリードとかにもあったね)爆弾を投げつけ、隠れて弓で撃つ。

大きな音を立てて敵兵を草むらに集め、火矢で草むらごと燃やし尽くす。

どれも「でも一応他の洋ゲーでもできるな」というシステムでもあるが
「それをやれるまで」のハードルの低さが特筆すべき簡単さ。複雑な操作を要求されないことが個性たりえるものになっている。

クナイ投げなど「スティックを倒しながらR1」だけで狙いを付けなくても自動的に目の前の複数の敵に投げつけてくれる100発100中の超兵器だ。
レベルを上げると威力も強化されるのでガード崩し目的ではなくクナイだけで直接殺害が狙えるぞ。

没入感を阻害しないクエスト進行

オープンワールドゲームのクエストといえば「お使いクエスト」と呼ばれる方式が有名だ「誰々に話しかけろ」「次は別の街で○○に話しかけろ」「○○の街でこれを拾ってこい 拾ったら届けに行け」というやつだ。

ではツシマではどうだろうか、まずクエストのスタート地点で依頼主に話を聞く、その後二人で話しながら歩くか馬にのり目的地へ、目的地では何か事件がありその場に転がっている足跡や手紙などを調べて、足跡を辿って歩いて行き、敵と戦う。

棒立ちでの長い会話は少ない 目的地に移動しながら基本会話してくれるので常にコントローラーを握っている形になる。遠方が目的地でも馬でダッシュしているのでそこまで時間はかからないし、まだ行ったことの無いマップの解禁にもなる。

退屈させず、適度に操作があり、適度な長さで完結するこれもまた”快適”

”快適”な移動

ツシマの移動操作もまた快適が詰め込まれる、クエストが進行し目的地が今いる崖のすぐ下「真っ直ぐいけばすぐだから崖からオチたら死ぬな」という時回り道した山を下っていくのが面倒に感じることもあるのがテレビゲーム。作品によってはグライダーやパラシュートで飛びおりることもできるが、サムライのゲームではさすがにそれを用意できない。

なのでロッククライミングで捕まることの出来る出っ張りがそこかしこに配置されており、登り下りが可能なように作ってある場所がいくつもある。

画像のように目下の温泉に行きたいのに崖がある時も

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このようにロッククライミングで降りる

さながらアサシンクリードやスプリンターセル、アンチャーデットのように崖の出っ張りを掴んでヒョイヒョイと登り下りしていく姿は侍らしいかといわれると明らかに違うが、このおかげで「行きたい場所にいけない」というストレスを抱える必要が無い、ゲームが進行すればフックロープが手に入り、特定の場所限定だがロープクライミングも可能だ。

で、ここまでなら「このゲームはすごい」という要素にならない、先述の通り他の洋ゲーでも出来る要素だし「侍のゲームでそれをやる」というのはシステムでは無くフレーバーの話だ。

特筆スべきは同じながらその「判定」の快適さだ、ジャンプすれば磁石が吸い付くように勝手に掴める場所に捕まり、家屋の屋根に登りたいなら意外とどこからでもジャンプボタンひとつ押すだけで縁に捕まってよじ登る。
この程度の高さなら

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ボタン一つでこのとおりだ
木の枝から木の枝に昔の2D横スクロールアクションのようにジャンプする場面でもスティックで距離を調節する必要が無く、ただスティック倒したままジャンプボタンを押せば勝手に丁度いい位置に着地してくれる。

これが昔のゲームだったら「ジャンプして次の足場を通り越して崖下に落ちてゲームオーバー 最初から」とかなってブチ切れてるところだが、最初に書いた通り短いロード時間で落ちる直前からやりなおさせてくれる(自動でちょうど良い位置に着地してくれるとはいえ 足場の無い方向に間違って飛ぶとやっぱり落ちて死ぬので)

シンプルな収集アイテム

最近のゲームではおなじみになった収集要素
「○○の剣を強化するためにはユグドラシルの枝を200個」とか言われて攻略wikiを読んで「どこどこに効率よく落ちてる」みたいなの見ながら同じマップをじっとウロウロ、なんてのも経験あるんじゃないでしょうか。

ツシマはそのあたりを徹底的にシンプルに仕上げてストレスを減らしてくれます。

例えば各地で花を拾うことができ店に持っていくと集めた花で鎧や武器の模様と交換できます。
ここで最近のゲームだと「○○の花×12 △△の花×16を集めろ」とかになって「めんどくせー!!!!」ってなるんだけどツシマはそうじゃない。

花は全て「花」というアイテムで統一だ、もちろん対馬の美しい景色の中に赤い花や青い花や黄色い花が拾えるアイテムとしてハイライトされているがどれを拾っても「花」としてカウントされる、余計なアイテム数を増やさないちょうど良さだ。

他にも刀の強化に鉄、弓の強化に竹やイチイ材木などを集めることになるが、要求数が根本的に少ないので、クエストの目的地に行く途中に拾える分を拾っていたら勝手に集まっていることが大半でさらに最高レア素材は敵の拠点を潰すと報酬に確定で貰えるので探す必要も無い。

いわゆる「稼ぎ」で時間を潰されることがないのがとても良い

いちいち店に立ち寄らなくても良い補給バランス

矢は無限ではないし、爆弾や煙玉、クナイなどを多様することもあるし、これらが足りない時に売ってくれる店も各地に存在するが、お世話になる機会は「一度に持てる数を増やしてもらう強化のため」が大半で実際に矢やクナイを買って補充することは稀だろう。

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何せ敵の拠点でめちゃくちゃ拾えるし倒した敵の懐からも拾えるので、敵の拠点を潰したあとはすぐに立ち去らずに拾ってないアイテムをじっくり回収すればだいたいフル装備に戻る。


終わりに

ゴーストオブツシマのテレビゲームとしての優れた部分を書き連ねて見た

とにかく「ボタンを押すと画面の中で何かが起こりそれがモニターの前の人間に快楽を与える」というテレビゲームにおいての「ボタンの押してからの反応の良さ」「ボタンを押してこうなってほしいと思う期待への答え方」が全て整ったゲームなのだ。

侍として素晴らしいだけのゲームではここまで評価されなかったかもしれない。「侍として素晴らしい」の声を聴いた誰もが「このゲームの何が楽しいのか」にすぐアクセスできる優れた操作性がこのゲームの圧倒的な力だと私は思う。

その上で私はこのゲームが持つ魅力的なストーリーに引き込まれている
名誉ある侍としての「為政者としてのメンツをかけた振る舞い」をするのか、目の前の民を最速で救うためにメンツを捨て暗殺でもなんでもやっていくのか、その狭間で揺れる境井殿の心のうちと、各地で人々を救いながら襲いかかる現実、脇を固める魅力的なキャラクターたち。

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今現在第二部プレイの真っ只中にある、誉れを持つ武士である叔父上と共に本城を奪還せんと前に進みながらも 武士と冥人の分岐点に立つ境井仁の行く末をこのまま楽しませてもらおうと思う。

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