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『スマホを落としただけなのに』魅力的な闇のスーパーヴィランの誕生

 「スマホを落としただけなのに光のスマホ使いと闇のスマホ使いの戦いが始まるなんて…」

 映画「スマホを落としただけなのに」を視聴した人々が次々にこのように驚いている。

「スマホを落としただけなのに」は推理小説を原作にした2018年の映画だ、
スマートフォンをタクシー内に落としてしまったことをきっかけに、恋人の個人情報を狂気の連続殺人鬼に握られてしまった男が翻弄されていく様と連続殺人鬼を追う警察、という2つの視点で物語が動いていく。現在は続編である「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」が公開中だ

 この中で連続殺人鬼を追うサイバー犯罪対策課の加賀谷刑事が「光のスマホ使い」そして狂気の連続殺人鬼浦野が「闇のスマホ使い」と視聴者に呼ばれる存在だ。

 闇のスマホ使いが連続殺人を行っているのは幼少期に母親に虐待を受けたトラウマを元にしたもので、母親に似た黒髪ロングの女性を選んでは次々に誘拐と殺害を繰り返していく…とここまで書けば「典型的なフィクションの殺人鬼」だと思うのでは無いだろうか?

 彼の魅力はその行動力と能力であろう、フィクションめいたハッキングではなく実際のIT犯罪を元に堅実に「フェイスブックの生年月日を見てパスワードを割り出す」「偽の通販サイト決済ページによるクレジットカード情報」などの手法を用いて的確に登場人物の個人情報を暴いていく。

このあたりの描写に「登場人物のセキュリティ意識がなさすぎるだけだろ」などの指摘もあるが世間一般のセキュリティ意識はこんなものであり、さらに専門家が”実際に起きた事例”として監修しているので僕たちの知らないところでは日夜このように流出しているのだろうという実例としては割と怖い。

そして闇のスマホ使いはただ見つけた個人情報を使ってターゲットを殺しに行く粗暴犯ではない「家庭環境が複雑で、失踪しても探して貰えない人間」をターゲットにしていると同時に「SNSでの成りすまし行為などを駆使してターゲットの人間関係を破壊し、そういった探して貰えない人間に仕立て上げる」ところにあるだろう、彼はフィクションのハッカーのような引きこもりではない。ターゲットを陥れるような動画を撮るために積極的に外にでてストーキングを行い、浮気などを疑わせる動画や写真を作っては送りつけ、時には『普通の人』としてターゲットや周辺人物に接触し信頼させる、そして既に殺害したターゲットの音声を使って偽の留守電メッセージで電話をかけ「まだターゲットは生きている」と周辺人物に誤認させることで『事件が起きたことすら認識させない』といったテクニックで翻弄し続ける。

 だがそんな超人的殺人鬼一人では映画は成り立たない…影があるところまた光がある。光のスマホ使い・サイバー犯罪対策課加賀谷学刑事である。

 彼もまた「幼い頃に母親に虐待された」記憶を持ちながら、ある理由から警察官になった闇のスマホ使いと真逆の存在でもある、映画一作目ではあくまで「同じトラウマを持つが故に犯人の動機や次の行動を予測できる」といった側面と高いIT知識の2つで戦う刑事でしかなかったが。映画二作目に置いては主人公に昇格。闇のスマホ使いと表裏一体の存在であることを掘り下げられることになる。

実はここからが本題である

現在公開中の続編「スマホを落としただけなのに・囚われの殺人鬼」
での圧倒的にパワーアップした闇のスマホ使い・浦野の話がしたいのだ。

前作のラストで逮捕されたが「自分と同じトラウマを抱えた存在」として光のスマホ使いに強く興味を持つことになった闇のスマホ使い。

囚われの殺人鬼で新たに巻き起こる事件とその犯人のついて知っていると思われる闇のスマホ使いから情報を引き出すために交渉する光のスマホ使いだが、交換条件として闇のスマホ使いが提示してきたのは「あなたの誰にも言ってないとっておきの秘密を教えて下さい」…

自分の中にある秘密を少しづつ闇のスマホ使いに握られつつも、闇のスマホ使いの圧倒的なIT能力を頼りにせざる負えない光のスマホ使いと神奈川県警。

「同じトラウマを抱えているはずなのに何故光のスマホ使いは光の側に立てるのか… だが光のスマホ使い自身も抱えているトラウマは乗り越えているわけではなかった」

獄中にいるにも関わらず次々と衝撃的なことをやってくれる闇のスマホ使い。演じる成田凌氏の怪演もあってますます魅力的にパワーアップ。

「獄中にいたのでPCが触れずストレスで白髪になった」という設定でいきなりオタクが好きそうなビジュアルに変化した闇のスマホ使いや、闇のスマホ使いの新必殺技炸裂など極悪さが更にパワーアップ!
光のスマホ使いとの会話では常に嘘と本当が混ざり合う矛盾した言葉で翻弄しながらも「光のスマホ使いに興味がある」という一点だけが真実の濃密な関係性を感じさせる二人の距離…
更に「光と闇の両方を備えた第三のスマホ使い登場?!」ますます目が離せない。

大ヒット邦画の続編でありながらオタクの好きそうな要素がたっぷり盛り込まれた嬉しいパワーアップだ。

「スマホを落としただけなのに囚われの殺人鬼ってなんだよ」とタイトルに突っ込んだ人も「確かに1でスマホを落としただけなのに殺人鬼捕まったし その続編なんだから殺人鬼は囚われてるわ…」と納得!

「光と闇は表裏一体」「一歩間違えば光も闇に落ちる…」そういったヒーローの葛藤やハラハラが好きな人は是非Amazonプライムでスマホを落としただけなのに1を見てから絶賛公開中の「スマホを落としただけなのに2 囚われの殺人鬼」を見に行こう!

合言葉は「君も速くスマホを落とそう」

ではまた次回までごきげんよう

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