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理想の未来じゃないかもしれないが、ビジョンをもとう。物理学者レオ・シラードの思想

 ウクライナのゼレンスキー大統領のアメリカ議会での演説。
議会に対して航空機や武器の支援を訴えるため、空爆の象徴として「真珠湾攻撃」と「9.11」を並べたことに違和を覚えた。第二次世界大戦という、とてつもなく残酷な政治的手段である戦争は、テロ行為とは本質的に違う。戦争はあくまでも合法的な政治的手段なのだ。だから、犯罪として裁くのがとても難しい。合法的手段の残虐さに、全世界が傷ついた。人間の醜さとか弱さがあんなに露呈した戦争はなかったんじゃないか?って思うくらい酷かった。政治家も軍人も正気じゃなかったと思う。

 あの狂気の戦争のあと、人々は「もう少しまともな世界をつくろう」と決意したはずなのだけれど、核という最強兵器が生まれてしまい、そうもいかなくなった。結果的には「核を持っている」ことが抑止力となる、いびつな世界になってしまったんだ。

 この「いびつな世界」について、生涯をかけて考察し、核兵器を使用しない世界をつくろうと行動した科学者がいる。

レオ・シラードを知っているだろうか。
ハンガリー系ユダヤ人物理学者。原子核の分裂の連鎖によってエネルギーを取り出す、という原爆のアイデアを思いついた物理学者の一人。天才科学者アインシュタインをくどいて、核兵器製造の可能性をルーズベルト大統領に示唆した男だ。

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