生命は情報の解凍ソフト
コロナウィルスへの感染を、視覚イメージ化してみる。
電車のつり革に付着しているウィルスに触る。なにげにその手で前髪を直し、指先が唇に触れる。極微小のウィルスが唇から唾液とともに口に侵入。口から咽を通過して肺細胞を浸透。細胞核にたどりつき、私の遺伝子情報を!大切な遺伝子情報を!ウィルスを複製するように書き換えする。
ウィルスは、自分がエサを食べて増殖したりすることはできない。生物に必ずある細胞質がウィルスにはないし、生物なら絶対に両方もっているはずのDNAとRNAのうち、どっちか片方しかもっていない。だから生物みたいなもの……っていう得体のしれないところがある(実際どっちなんだ?)。
ここから先は
1,497字
Web magazine「ヌー!」
¥500 / 月
田口ランディが日々の出来事や感じたことを書いています。
日々の執筆を応援してくださってありがとうございます。