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ランブン雑談・その他編 その12 小説を書いての感想

閲覧ありがとうございます。ボドゲ工房Rのランブンです。
今回は先日公開した自作小説(『誰にも分からない』)を執筆してみての感想を記事にします。小説版『誰にも分からない』を読んでいただいた方に少しでも楽しんでいただけるように書きますので、最後までよろしくお願いいたします。

【作品について】
『誰にも分からない』 作者:久田蘭紊(くだ  らんぶん)
某大学の漫画サークル批評会にて最優秀賞を獲得した作品。表彰授与の際、作者が「ウキーッ!!」と奇声を発したことで有名。



所感その① 楽しく執筆できた

小説1

泣く泣く省略した原作のワンシーン

今回は過去の自作漫画をノベライズしましたが、非常に楽しく執筆ができました。話の構成や言葉使いなどを考えていく作業はとても面白かったです。
また当然と言えば当然ですが、大半の作業が漫画制作とは異なるため、過去作のノベライズでありながら新鮮な気持ちで取り組むことができました。



所感その② 作品の完成度が把握しにくい

今回執筆した『誰にも分からない』、個人的には素晴らしすぎる文章なのですが、客観的にはどうなっているかが全く分かりません。漫画は絵や構図など視覚的に分かりやすい表現が多いですが、小説だとその全てが文字で表現されています。文字情報はイメージで補完される部分が大きく、同じ文を読んでも作者と読者で差が生まれやすいため、結果自身の書いている文章が良いものなのかの判別がつきにくいです。
私はぼっちのため公開前に友人に見てもらうこともなかったため、正直クソみたいな文章を公開しているかもしれません。ボードゲームの説明書と同様、公開する前には他の人に見てもらうのが良いと思います。



所感その③ 適切な文の量が分からない

今回、『誰にも分からない』の文字数は約5000文字でした。ちなみに原作漫画のページ数は19pで、以下のような構成をしています。

・1p目:物語の導入
・2p目:タイトル
    主人公(倉林)と世界観の説明
・3p目:準主人公(小原)と主人公の関係性
・4p目:主人公の目的
    (友人の墓を建てる)
・5p目:女性と物語の内容説明
    (部屋の中に娘がいる)
・6p目:物語の動き出し
    (部屋から物音が聞こえる)
・7p目:物語の方針の暗示
    (主人公が状況を把握する)
・8p目:能動的な行動の開始
    (準主人公と娘が会話)
・9p目:能動的な行動の進行
    (準主人公と娘の会話)
・10p目:伏線のための描写
    (不気味なほど真剣な女性等)
・11p目:盛り上がりの前振り
    (冷たい言葉への引き)
・12p目:盛り上がり
    (冷たい言葉の連打)
・13p目:物語の真意
    (主人公が準主人公を止める
     →真意に気づく)
・14p目:真意の説明(優しい言葉)
・15p目:女性の心情の描写
・16p目:物語の真相
    (娘の登場、本当はもういない)
・17p目:真相の補足説明
・18p目:どんでん返し
   (準主人公「幽霊を信じていない」)
・19p目:どんでん返しを受けての
     主人公の心情

何を言いたいのかというと、基本的に「1pに1つの要素を入れる」という感覚でページ数を決めているということです。ここを大きく外さなければ、物語の質量に見合ったページ数を設定することができます。(これを意識すると、例えば「情報量の多くなりがちな登場人物の説明を意図的に短くする」ことで物語に見合ったページ数を設定しやすい=説明を入れすぎて物語の本質部分の濃度が薄くなることがない。)
さらに、これを守ることでテンポ感が生まれ、読者に飽きさせずに読んでいただくことができます。(読者は情報ではなく物語を求めているため、情報開示は短めにし素早く物語に入る必要がある。また、中盤は物語が加速していき、終盤は間を持たせるとギャップが生まれてオチにインパクトがつく)

小説2

主人公の説明と世界観の説明を
1pで説明している
(情報をかなり省略している)

小説3

主人公と準主人公との関係性も1pで

小説4

原作では「友人」の説明も1pで済ませている

小説6

小説7

逆に大切なシーンではページを
大胆に使っている
(情報量自体は少ない)

けれども、小説の場合はそうはいきません。基本的には情報量の多いシーンに文章を割く必要があり、逆に盛り上がる場面では文章量が少なくなりやすいです。つまり、漫画ではページ数が「情報<物語の本質」となるところが小説では文字数が「情報>物語の本質」となってしまうということです。この感覚が(執筆する側として)どうしても慣れず、本当にこの文章量でいいのかと疑心暗鬼になってしまいました。


所感その④ 語彙、言い回し、文体の知識が足りない

note記事を書くとき、私はなるべく簡単な単語を使ったり、語順を統一したりしています。それはその方が読みやすい文章になりやすいからです。
けれども、小説の執筆はそれだけだと乗り切れませんでした。今回、私は『三人称一視点』を採用したのですが、この書き方は気を付けていないと語尾がすぐに「~だった。」となってしまいます。note記事のような説明文であれば、語尾が全て「~です。」であっても全く気になりません。しかし、小説で語尾に「~だった。」を多用するととても間の抜けた文章になります。これを回避するためにはさまざまな文体(例えば『倒置法』や『体言止め』など)を利用する必要があるのですが、残念ながら私にはその知識がありませんでした。一文一文非常に思考を凝らして書いてはいるのですが、この点は非常に不安な部分となってしまいました。
また、自身の語彙の少なさも痛感しました。現代において単語の言い換えを調べることは簡単なので、同じ単語は頻出するといったことは最大限避けられているように思います。けれども、その一つ一つの単語が自身の中にあったものではないため、選んだ単語のニュアンスが正しいかどうかは若干の不安が残りました。また、とにかく単語を調べに調べたため、必然的に時間が非常にかかってしまいました。さらに言うなら、言い換えは調べられたとしても表現方法までは調べきれないため困る場面が多かったです。(漫画制作の時は漫画的表現を多用していたため、表現法の少なさで困ることはほとんどなかったです。)

小説5

口元の血以外の色を消すことで
より印象付けている

小説8

このシーン、小説でどう表現しろ
って言うねん


所感その⑤ 結果的に時間がかかった

「作品の完成度が把握しにくい」「適切な文の量が分からない」「語彙、言い回し、文体の知識が足りない」という様々な要因により、執筆には大量の時間がかかりました。原作あり、約5000文字の文章であるのにもかかわらず、(ざっくりとした計算ではありますが)おおよそ30時間かかってしまいました。note記事を書くときは大体1000文字=1時間なので、通常の6倍は時間がかかっている計算となります。今後は新作かつ中編を書きたいと考えているのですが正直先が思いやられます。なので、今作の閲覧数が多かったり、コメント数が増えたりした場合は考えますが。しばらくは小説を書かない予定です。(ボドゲ制作も再開の目途が立ち始めたため、新作は大分未来の話になりそうです)



最後に

今回は小説を執筆しての感想を書いていきました。どこに需要があるかわかりませんが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しく思います。
これからもボドゲ制作も小説(あと出来れば漫画)制作も頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

『チキン・ラン』
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