見出し画像

プロ野球選手会、選手への誹謗中傷で発信者情報の開示認められたと発表…「更に責任を追及する」

 日本プロ野球選手会は22日、SNS上で選手に対し、「到底許容されない内容の誹謗(ひぼう)中傷、侮辱や脅迫などが行われた」として、裁判所に求めた複数のアカウントに対する発信者情報の開示が認められたと発表した。
 開幕以降、「消えろ」「ゴミ」などと様々な表現で選手を誹謗中傷する投稿があったという。選手会は今後、特定できた投稿者に対して刑事告訴や損害賠償請求をしていく方針で、「更に責任を追及すべく、手続きを進めていく」としている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f1409be99ac303fbdc04a612ea31131f262c47c1

 こういう話になると真面目なファンは「批判と誹謗中傷は違う」「だからどこかで線引きすべき」みたいな事を言うが、何が批判で何が誹謗中傷なのかを定めた「ガイドライン」など制定しようとしても無駄だと思う。まず、人を批判したり罵倒したりする言葉など無数にあるし、その時点で収拾がつかなくなるのは目に見えている。
 今後、誹謗中傷を行った人間が何を言ったのかという情報も知られる事になるのかもしれないが、「これがアウトなの?」と人によっては思うかもしれない。単なる「バカ」「下手くそ」といった野次レベルの文言でも「選手が傷ついた」のなら選手や球団サイドには反撃する権利がある。
 今の選手ってそんなにメンタル的にヤワなの?と思う人もいるかもしれないが、昔の選手はどうだったのかという話は抜きに、実際、ヤワなのだろう。以前ヤクルトの田口がファンに対して「選手はあんたらの事見下してます」的な事を言っていたが、「見下している」筈の相手の言葉に傷つくというのだから想像を絶するヤワさだと思った方が良いかもしれない。屈強なプロ野球選手がそんなヤワじゃしょうがないな、と言っても「ヤワ」なのだから仕方がない。メンタルが我々と同じレベルでも高い技能を持ったプロ野球選手なのだ。
 心に傷を負わせるのは体に傷を負わせるのと同様、障害行為に等しいというのが先進国らしい考え方だ。だから息を吐くように暴言を吐くような手合いには「これからの社会」というものを知ってもらう方が良いとは思う。

 その反面、不甲斐ない試合やプレーに対する怒りそのものは厳然とある。

 なんで他人がやっている野球にそこまで熱く、ムキになるんだよ、と真面目な人は思うだろう。これに関しては「人間の習性」の一言で説明がつく。「他人がやっていること」に熱くなる。この習性があるからプロスポーツというものが成り立っている。「なんで他人がやっている野球にそこまで熱く、ムキになるんだよ」と一見冷静に言う人の方がむしろ人間の習性というものを理性で必死に抑えているのである。
 プロ野球の人気は高まり、観客の数は飛躍的に増えた。女性ファンも増え、球場の雰囲気は華やかで健全になった。「誹謗中傷はやめろ」というのもそうした潮流にある。

 しかし人が増えれば、一人ひとりが感じる「窮屈さ」は増す。言葉をどう押さえつけられようとも、怒りは消えない。試合に熱中するファンは目の前のプレーを他人事だとは思っていない。不甲斐なければ怒る。特に西武ライオンズの打撃陣に対しては私も「罵倒で済むだけありがたく思え」くらいの感想は持っている。
 受けた暴力には反撃できるが、相手の怒りまでは制御できない。繰り返すが、ファンは彼らのプレーを他人事だとは思っていない。だから彼らが不甲斐なさを仕事で取り返せば、同時にファンの心も変わるのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?