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宇津木スタジアムに行った話

 2019年の話で恐縮だが、高崎市にオープンしたソフトボール専用球場・「宇津木スタジアム」こと高崎市ソフトボール場に行ってみた話。
 日本の「ソフトボールのまち」をいくつか挙げると、高崎市、厚木市、富士市、安城市かなと思っている。ビックカメラと太陽誘電がある高崎市にちゃんとした観客席のあるソフトボール場があったらかなりポイントが高い。
 ソフトボールは野球場で行えるので、ソフトボール専用球場の需要は低いのだが、特定の競技に特化したスタジアムはやはり洗練される。そういう期待を持って行ってみた。

やはり客席と選手が近い。

 当然、野球よりもずっと小さい規格のグラウンドで行うソフトボールなので、それに合わせてスタジアムを造れば観客席と選手が近い、臨場感のあるスタジアムになる。これは期待通り。それ以上に両翼67.06m(女子)のソフトボールでは、外野からでもバッテリーが遠く感じない。つまり野球ほど「ネット裏」「内野」「外野」の価値(価格上の)に差がないように思える。
 仮設外野フェンスの後方には、男子の試合を想定した「余白」のフェアエリア(男子は両翼76.20m)があり、さらにその後方に外野席に相当する芝生の傾斜がある。女子の場合この「余白」に仮設スタンドが設置できる(はず)。その仮説スタンドからの臨場感(語彙が乏しくてすみません)が、野球の外野席にはないもので、そこに凄い価値が出るのではないかと思う。

しかし仮設スタンドは内野にしかない。

 違う言い方をすると、コンテンツとしてのソフトボールに対応したスタジアム、と言える気がする。市内のソフトボール会場と言えば長らく城南球場だったが、ハコとしてはこの宇津木スタジアムの方が魅力がある。
 ただし、やはり車社会というか、交通の便が悪い。この社会の人たちには「陸の孤島」という概念がないのか、スタジアムが満員になったとして、その観客がすべて車で来場したとして、それによってスタジアムとその周辺が食らう影響というものに考えが及んでいないように見える。ソフトボールの人気がもっと上がって、満員の観衆で沸いても、ビールも売れない。そういうのもひとつの断片的な影響だろう。最近群馬県が「人気の移住先第2位」に浮上したらしいが、都会からの移住者に超絶不便な車社会の洗礼を容赦なく浴びせる気なのだろうか。せめてイベント開催日にはシャトルバス(満員の観衆を想定するならコミュニティバスレベルの車両ではダメ)を出すくらいの対策はして欲しいものだが、それもしないのならソフトボールは以前のように城南球場でやって欲しい、となってしまう。今でも観客は何も文句は言わずに来てくれているのだろうけど、便利だとは思っていないだろう。

『お前はまだグンマを知らない』の作者が大会告知のポスターを描いている。私は最近読了した。

 現在、京急川崎駅前にBリーグのアリーナが計画されている。競技の人気やステータスが、その場所を陸の孤島に追いやるのを許さないのだ。車社会であろうとなかろうと、競技が注目されるほど「陸の孤島」の不毛さは浮き彫りになっていく。
 繰り返すがハコとしてはとても魅力的だと思う。県にも市にも車社会を何とかしようという考えはあるらしいが、そうした考えに基づく動きとリンクして魅力を増して欲しいものです。


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