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平均観客数は倍増! 独立リーグからNPB2軍戦へ初参戦した地方球団、売上げも目標達成見込み…ただ、ドラフト指名は育成1人のみ

 オイシックス新潟アルビレックスBCのイースタン・リーグ参加初年度となった今シーズンを総括する会見が11月5日、ハードオフ・エコスタジアムで行われ、池田拓史球団社長が興行実績などを説明した。ホーム戦の平均入場者数は昨季の約2倍の1247人(昨季570人)に増え、年間売上高は目標の約6億円が見込まれるとした。
 ドラフト会議の指名は、ヤクルトの育成3位下川隼佑投手だけだった。今季達成できなかった5人以上のNPB輩出と勝率4割は来季も目標とし、2年目はホーム年間入場者数12万人(1試合平均1800人以上)を目指す。池田社長は「今年以上に良いものを、来シーズンにお見せしたい」と意気込んだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3b03f6a3ad7e177d067a26d42a4bf35a02e46d28

 ファームにだけ参戦する球団、というものに当初は懐疑的な声が多く、ちょっと球史に詳しい人は「山陽クラウンズ」の例を持ち出して否定したりしていた。それに関してはさすがに時代が違うのであまり意味はないと思ったが。

 ここでは便宜上、既存の12球団をNPBの「正会員」、ファームにのみ参戦する球団を「準会員」と呼ぶ事にする。

 準会員の、初年度の成果については、評価の対象となるポイントが色々ある中、動員という部分で独立リーグ時代から倍増したというのだからこれだけで既に大きな成果と言える。対戦相手が正会員というのはやはり大きく、独立リーグを発展的解消し、ファームを4つくらいのリーグに分け、正会員と準会員を均等に振り分け大規模な「ディベロップメントリーグ」を構成する動機になれば面白い。

 そのメリットは「評価の対象となるポイント」のひとつに直結している。

 ドラフトの指名が育成3位だけだったという点だが、これに関しては正会員が準会員を本格的に「受け入れる」事で大きく向上できる。これは、ファームにだけ参戦する球団が何をモチベーションにするのか、という、当初もっとも多かった懐疑的な声に対する具体的な答えでもある。

 前提として、正会員に対し、支配下登録選手と育成選手の合計数を制限する。1球団で100人強もの選手を抱えるのを認めている事で既に戦力の均等という前提がくずれかけている。

 支配下登録選手と育成選手の合計数には上限を設け、ここから「故障者リスト」に入った選手の数を引いた結果、ファームの編成が困難になった場合、その球団はシーズン途中でも準会員の選手を指名できる「サマードラフト」(オールスターの時期あたり)に参加できる。

「サマードラフト」は準会員の選手のみが対象となる。シーズン中でも正会員と契約できるチャンスがある事が大学、社会人、独立リーグと比べて大きな利点であり、選手にとっては十分な「モチベーション」になる。

 しかし現実には先のドラフトで新潟からは1人しか指名されていない。これに関しては正会員と準会員の選手の獲得ルートが違う事が大きな問題と言える。

 結論を言うと、準会員を育成ドラフトに参加させるべきである。同じ土俵で戦うのに同じ条件で選手を獲得できないのは「戦力の均等」の原則に適っていない。準会員が育成ドラフトで指名される選手相当の素質を認めた選手を獲得できれば、シーズンの戦績の向上も、ドラフトで指名される選手が増える事も期待できる。

 何より正会員の首脳陣が普段の戦いの中で準会員の選手を見ている事も大きなポテンシャルであり、「絶対プロになりたい」という選手にとって、準会員の球団に入る事は大学、社会人、独立リーグに進むより有力な選択肢になりえる。自分のチームに「一軍」がなくても、実力次第で他球団の一軍に入るチャンスがあるのだから。

 NPBが独立リーグを吸収し、「ディベロップメントリーグ」を形成する事で「評価の対象となるポイント」のいくつかは上向く。「アマチュアにそんな沢山選手がいるか」という声が出そうだが、独立リーグだってNPBに指名されなかった選手を対象にドラフトをやっているし、そもそも数を確保するために正会員の保有選手数を制限するわけです。

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