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柳田國男自筆 『原本 遠野物語』

先日(16日)、布川の「柳田國男公苑」を訪れたので、また彼の『遠野物語』をじっくりと読みたくなった。合わせて、最近、もっと自由にのびのびと万年筆で文字、特に漢字を書きたいと思っていた。昔の人は、速くスラスラと書くために行書や草書を日常的に使っていたのだろう。僕もそれを真似したくなって、テキストとなる本を探していた。

たまたま、この二つを同時に叶える本を見つけた。2022年に岩波書店から発行された原本遠野物語編集委員会編『柳田國男自筆 原本 遠野物語』である。これは柳田の「毛筆原稿」、書籍化に向けた「ペン字原稿」、そして朱字で修正された「初校」の三つが載っている。書籍の帯には「柳田が自身で綴じ『遠野物語』の原本と称していた、これらの資料の影印を、限定350部の自費出版であった『初版本』の版面とともに掲載」とある。これらは、柳田が池上隆祐氏に託していたものが大切に保管されて、この度、110年の時を経て公開されたのである。

毛筆の一文字一文字、一行一行を辿って読んでいると、柳田國男と佐々木喜善氏の息遣いが伝わってくるようだ。きっと、柳田は佐々木氏の話を聞きながら、毛筆でスラスラとメモしたのに違いない。そのメモも、他に残っていないようだから、聞いてすぐさま原稿にしたのかもしれない。文章や文字に全く澱みがない。

初版本

この本は素晴らしい。紙の本は本当に美しい。また、僕の宝物が一つ増えた。
この本と出会ったのが嬉しくて、noteに書かずにはいられなかった。





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