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本城雅人/にごりの月に誘われ

誰が敵で、誰が味方か?
そんな風に考えていたら、
ビジネスの世界は勝ち抜けないかもしれない。
誰が敵かなんて考える暇もなく、
周りの人すべてを味方にする。
それくらいじゃないといけない。
少々気に入らなかろうが、
全くもって意見が違っていたとしても、
利用できるものはなんだって利用する。
目的を果たすためには、手段を択ばない。
荒っぽいことだってやる。
柔軟織り交ぜ、どんなことでもする。

何が真実で、何が嘘か。
見抜こうと思えば、
相手の意図に嵌められる。
軽々しく構造を見抜こうとしないことだ。
構造は幾重にも張り巡らされている。
ひとつ裏をとったと思った刹那、
泥沼に足をとられ始める。
物事をひとつひとつただ見つめることだ。

物語の中の騙し合いは、
相手に気づかれないようにすることだけでなく、
読者に気づかれないようにする必要もある。
目の前に見えているものが、
一体どんな意図を持ち、
恣意的なものを含んでいないか、
読者も見抜く必要がある。

月の光は煌々と橙に輝く。
純粋な黄色というより、
濁りを含んだ深みと暖かみあるオレンジだ。
濁りは騙しの象徴であるようでいて、
その濁りの分こそ純粋なのかもしれない。

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