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小野展克/JAL虚構の再生

世の中で語られることは、
分かりやすく仕立てられた物語に過ぎない。
ビジュアル的に好まれる人が客前に押し出され、
真実の姿はその背景に紛れる。
グレーやブラックな出来事は、
無かったかのように葬り去られる。

どこから見つめるかによって、
出来事はその姿は形を変える。
その人が拠って立つものによっても、
その見え方は大きく異なる。
同じように見えることがないとなると、
揺るぎない真実などは、
この世にないのかもしれない。

JAL再生を描くドキュメント。
コロナ禍で再び窮地に陥る航空業界。
その10年前に起きた
日本航空の経営破綻について、
真実の姿を浮かびあがらせる試み。

稲盛和夫さんによる鮮やかな再生。
表舞台の華やかな印象の裏で、
大企業の事情、事業の構造、政治の思惑、
そうした大きな力がうねり、
ぶつかり合う姿が迫力をもって語られる。
様々な人たちの叡智と矜持、
感情と思考のぶつかり合い。

今、都心の真上の空を飛行機が行き交う。
様々な思惑と葛藤の結果が、
そこに反映されているはずだ。
何が起き、どのような戦いがそこにあったのか。
空はすべてを飲み込み、青いまま佇む。

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