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誰だって輝ける!|須賀しのぶ/エースナンバー 雲は湧き、光あふれて

舞台とストーリー

「雲は湧き、光あふれて」の続編です。

前作、高校野球名門の私立・東明学園に初戦で敗れた、
公立の県立三ツ木高校がメイン舞台です。
その初戦を取材していた新人記者の泉千納も、
第2話で再び登場して活躍します。

今作も、3篇が収録されています。

第1話の主人公は、三ツ木高校の監督・若杉先生です。
高校球児というと、
ついつい甲子園で躍動する選手をイメージしますが、
大半は甲子園に出場することなく途中で敗れます。
その中には、本気で甲子園を目指す者もいれば、
甲子園に行くことをはなから諦めている球児もいると思います。
本気で甲子園に行こうと考えている者の方が、
きっと少ないんだろうと思われます。
どんなスポーツでも全国大会に行くのは簡単なことではありませんが、
甲子園というシンボルがあり注目度が高い野球という種目で、
各地方の代表の座を勝ち取るには、よほどの覚悟と実力が必要です。
それに見合うだけの練習はもちろんのこと、
青春全部、高校生活全部捧げるような日々になるんだろうと思います。

ほどほど勝利主義

だから皆、ほどほどを目指します。
昨年が1回戦負けなら、2回戦まで行こう、
学校始まって以来のベスト16を目指そう、なんて。
身分相応の勝利は目指すけれど、完全な勝利主義ではない。

そんな立ち位置になのかもしれません。

難しいのは、人一倍チームを思い、誰よりも努力しているのに、
実力が伴わないメンバーをどう扱うかということです。
練習もそれほど熱心ではなく、自分勝手なことをするけれど、
実力は飛びぬけているメンバーをどう遇するか、
という問題にもつながっていきます。

実力か?チームワークか?

甲子園を目指すようなチームじゃないと思っていても、
日々を練習を重ね、結果が出始めてくると、色気も出てきます。
甲子園を目指すことができるんじゃないか、甲子園を目指したいと、
気持ちが高まります。
本当は誰だって、心の中では甲子園に行きたいんですから。

実力か努力か、個人の力かチームワークか。
選手が揺れ動く中で、監督だって揺れ動きます。
スポーツと教育の狭間、監督と教師としての立場、
といった葛藤もあるかもしれません。

実力orチームワークの二元論は正しいか?

そんなチームの変化を、外側から描くのが第3話です。
抜群の実力でありながらチームを去った笛吹竜馬が主人公です。
わがままで自分勝手な奴、構図からいくとそうなります。
でも100%わがままで自分勝手な人なんて、いるでしょうか。
チームのことをこれっぽちも考えない人も。
彼には彼の事情があり、想いがあります。

それぞれの想いがぶつかり合い、理解し合ったり、
化学反応を起こしたしりながら、チームは形作られていきます。
定型や単純化では見えてこない、
一人一人の”ヒト”がそこには存在します。
権力者や誰かの意向ですべてが決められてしまうのではなく、
ヒトとチームの個性が交差し合いながら、
形作られるのっていいなと思います。

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