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福澤徹三/侠飯6 炎のちょい足し篇

分かっていてもやめられないのは、
食べ物だけでない。
その男たちの正体を、僕はもう知っている。
水戸黄門みたいなものだ。
答え合わせしなくたって分かってる。
その結末は予想済みだ。
それでも引き寄せられる。
手に取ってしまう。
来るぞ来るぞと期待してしまう。
今回はひょっとしたら来ないのでは、
と疑ってしまう。

任侠の侠と書いて「おとこ」と読み、
それに続く言葉は飯「めし」だ。
侠(おとこ)たちの正体はなにか。
何が目的か。
一見、反社の人たち。
近寄りたくない、近寄ってはいけない人たち。
それでも何故か温かい。
なぜだか惹かれる。
男くさくて、情が深そうで、
かといってロマンに溺れず、
必ずやり遂げる。
仕事を成し遂げる。

テーマは自立支援施設で行われる搾取だ。
奪われる者と奪う者。
恵まれているがゆえに弱者となり、
その弱者から巧妙に騙し取る。
高度に作り上げられた搾取の構造。
今の日本に実際にあるかもしれないひとつの真実。
今回も予想された結末がやって来る。
悪は成敗される。
けれど成敗する方にもほろ苦さを残す。
希望の道を、進むべく道を見せつける。
ああ、間違いなく次巻も手に取ってしまう。

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