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日々のことについて…所感

今回の問題がメディアも含み喧騒としてきた時点で何かが違う…と違和感を感じていた。
それは若干2年ぐらいの本物の舞台さえ観劇した経験の無い自分が口にするのも烏滸がましい。

芸術や芸能の世界は特殊な環境です。
普通の会社で働く様にノウハウを持って日々をやりこなせるものでは無いと思います。
それはお金…ギャラを頂いてお客様にお見せするプロであれば共通する問題であり、宝塚に限らず社会全体で解決する問題だと思います。
舞台に立つ時間以外のスタンバイも含めて終演後帰宅出来る状態の時間帯が仕事に従事する時間として、今回弁護士さんの言われる労働時間なのかもしれません。そういう意味で言えば本番の舞台に立っていない場合は舞台稽古がそれに該当するので稽古に出勤して退勤するまでを労働時間と評されてるのだと思います。ただ、宝塚を含む舞台などのお仕事では全体で行われる稽古だけでは仕上がらないレベルなのだと思います。スポーツ選手も然りですが自分自身のレベルを向上させる為に練習とは別に自主トレーニングや練習をしている筈です。バレエやダンスの方たちも時間外のレッスンをされるのは強制などではなく、最終的には自分自身の為では無いでしょうか?コール・ド・バレエなどは全員が呼吸を合わせる様に指の先からつま先まで揃ってこそ美しいと聞きます。レッスンで指導を受ける時間を重ねるだけで出来る技術では無いと思います。
宝塚に費やした時間の全てを『労働時間』と言う言葉で括ってしまわれている表現に、どうしても違和感を覚えてしまうのです。社会通念からすればそうなのかもしれないけれど…『労働時間』という言葉で済ませられないモノがそこに存在するのも確かに在ると感じてしまうのです。
常軌を逸した稽古を推奨するワケでもありませんが、己が納得出来るレベルを目指す事がプロの厳しさなんだろうなと思っています。

稽古場を出入りできる時間を厳格に管理すればトータルの時間は守ることは出来るでしょう。
しかし利用出来る稽古場が無ければ練習をしないワケにはならないのでは無いでしょうか?寧ろ逆効果になってしまわないか心配です。それよりも全体の稽古の時間と自主稽古の時間を1日のスケジュールの中で明確に分けるとか…新公の練習時間を劇団の休日等を利用して日中に出来る様に調整するとか、公演スケジュールを組み替えて期間を増やす事が出来るんじゃないのかしら?と素人ながら考えてしまいます。

コロナ禍になる前には公演の後には打ち揚げ等の慰労もあったと聞きます。旅行に行ったり全国ツアーの狭間の観光などのエピソードも聴いたことあります。普段厳しい上下関係があっても親交を深める機会も十分に存在したのです。コロナ禍により世間との断絶とも言えるぐらいの厳しさで舞台とお客様を守って来ていたのは宝塚歌劇団だけでは無いと思います。舞台に於いては小道具の1つ1つから除菌作業、客席の除菌管理…会場全体の衛生管理などエンタメ全体が過剰なくらいに取り組んで今日まで乗り切って来ているのです。役者が舞台や稽古以外の外部接触を極力減らし感染対策して来たことは社会全体で努力して来たことの一部なのです。昨日まで当たり前であった日常が失われた弊害は仕事を支えるプライベートの余裕を奪っていったのです。余裕が無いと人間、殺伐としてきてしまいます。ストレスが溜まりバランスが崩れてしまいます。

今回の事件が起きる前から、ジェンヌさんを巡る周囲の意見の厳しさに驚いていたので…舞台の外での彼女たちの精神状態は大丈夫なのだろうか?何も発信する事は出来なくても内部からケアする事が出来ていますように…と思ったりしていました。
元もと厳しく統率された環境の息抜きする事さえ許され無くなってしまえば自ずとどこかに歪みが出てしまうものだから。そんな積み重ねが起因の1つでは無いと誰にも否定は出来ないのでは?赦されない行為であるが故に防がなければならなかったと言う意味で大きな過失だと言えるのでしょう。

育った時代が違う世代が1つの団体に集められている中で起きた大きなストレス。簡単に代替えの効かないプレッシャーが拍車を掛けてしまったのでは?決して行われた行為を擁護容認しているワケではありません。そのくらい素人考えでも心配になるストイックな環境に若い女性が集団で存在している事を無責任にSNS上で誹謗中傷している人たちに思い出して欲しいと思ってしまうのです。

わたしにも娘が居ます。
新卒で就職した会社でパワハラを受けました。
同居して自宅から通っていたので物凄く心配しました。二十歳の娘が仕事場から早朝の始発で帰宅する事が連日続きました。いわゆる新人研修です。通常業務の終了後から食事さえ取らせて貰えていたのかさえ判りません。しかも帰宅してシャワーを浴びたら再び出勤?心配で気が狂いそうでした。迎えに行くから!と電話しても連絡して来ないでと叱られました。後から考えたら自主退職させる為にイヤガラセだった様です。同期入社の先に退職した人が同じ様に過酷な状況に追いやられ辞めたと聞きました。
これが一流企業の看板を掲げた会社のすることか?と直接関係なくとも関連企業の一部であることに変わりは無く、その会社の事は今でも許せません!
立場は違えども、そんな経験もあるので被害者のご両親のお気持ちを慮ると苦しくなります。
娘の言葉を信じて自分が見てきたものが在るからこその訴えだと思います。

ただ物事には片方の事象だけでは計り知れない事があります。公式の会見で否定された事によって拗れてしまったのではないかと心配なのです。
『指導』と言う名の『好意』は伝わらなければただの『行為』でしかなく、信頼関係が成立してなければ『悪意』として取られかねません。『イヤミ』や『嫌がらせ』と受け取れば『ハラスメント』となってしまうのです。上下関係以前の問題です。
本人同士お互いが話し合う事が出来ないだけに証明も釈明も出来ないでしょう。時間が経てば尚更です。誰かが嘘を言ってるとか言ってないと云う話しではなくて『何をどう感じてしまったのか?』と云うのが発端なので事実を証明することよりも難しいでしょう。ましてや自分の事で精一杯な彼女たちの誰がその現場を偶然見掛けていたのか?どこまで記憶が遡れるのか…後悔の念が記憶に左右しないか?とても不安です。味方の居ない中で孤立する事の危うさは認めて謝れば終わるものでも無いでしょう…

彼女たちが宝塚歌劇団を卒業する時に話してくれる退団のご挨拶に毎回感動させられます。
それは苦しい時期も乗り越えて立ち続けて来たからこその言葉だと感じます。
そして何よりも言いたいのは…度を越したハラスメントとされる行為をしてしまう人が居るかもしれないが、それが全てだと思わないで欲しいと云うこと。
歌劇団全体がそうであるかの様に言わないで欲しいと云うこと。
今回、宙組さんが名指しで責められていますが…ずっとそうであったのだと思い込まないで欲しいです。
○○学校でイジメが在りました!とニュースを聴いて全校でイジメをしているとは思いませんよね?その学校の悪しき伝統だと決め付けますか?
事件の一部を全体に当て嵌めないで欲しいのです。
今回、在団時期の違う別の組のOGさんが多数メディアで発言されている事も違和感です。
同時期に同じ組に在団されていた他のOGさんの発言と噛み合わない事からもご本人が感じられていた事と実際では事実に差があると云うことだと思います。勿論、娘役さんと男役さんでは劇団内での立場が違うのかもしれませんが…悪意ある情報操作に加担している様にしか見えないのです。
売名行為と取られても仕方なく問題を複雑化しているだけなので…そろそろお止め戴きたいと痛切に願います。

被害者側の弁護士さんの説明はご両親に寄り添った訴えであり会見だったと思います。
ただ…加害者と名指しされた上級生の提示するモノも考慮した上で平等な判断をして欲しいと願います。

ディズニーランドのキャラクターたちが人形で在る事は皆んな知っています。だけれども…その事実でさえ否定してMickeyは「ミッキー・マウス」として存在するのがディズニーランド大好きな人たちなのです。そして自分が中の人なのだとは口外してはならない契約だと聞いた事があります。それは白雪姫みたいな人間の姿で仮装されているキャラクターでさえそうらしいと!ましてやお客様(ゲスト)に見える場所で扮装を解いて休憩したり喋ってはイケない!とお客様に夢を見せる為に徹底した誓約があるらしい…。
受け売りです。どこまで真実かは判りません。
昭和のアイドルは食事どころかトイレにすら行かないと信じられていた伝説の時代もありました(笑)
今でも熱狂的なファンにはそんな純心なファンが残ってるかもしれませんけど?

そんな風に誰かに夢を与える職業の人たちには常識だけで割り切れない何かを抱えて、自分たちにも魔法を掛けて夢を全うしているのではないでしょうか?夢を見る側にも良識を持って見守って欲しいと願わずに居られない今日このごろです。

日々ネットに蔓延る誹謗中傷の波に、ともすると飲み込まれそうになるのを踏みとどまっています。

多くの方がネットの書き込みや悪意のデマに振り回されないことを痛切に願います。

拙い文章への共感やサポートありがとうございますm(_ _)m