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「擦り切れていった喜びの最後の一枚が破けた瞬間が悲しみだ」
老人は杖の先から溜め息をアスファルトに擦りながらそう告げた
外れかけた車輪は何も語らず
嘴の綺麗な鳥たちが西から東へ太陽に逆らうように飛んでいく
風の音は静かだが森の葉脈達は確かに感じ取り
今新しい時代の精霊となる
「カリカリとカリカリと鉛筆の先ばかり気にするのは何故?」
尋ねた彼女は香水の匂いのするギターに合わせて踊り出す
16コマの早送り、透明な押し入れ、開かなくなった引き出し
人と出会えばそれだけ悲しみが増えますから
と
過去は亡霊、未来は夢あるのは、今だけと
別世界に暮らす羊の村長
黒しか勝てないオセロゲーム
オオカミの遠吠えはオルガンを今日もかき鳴らす
おお、春よ、可笑しくなるほど、今日も芽吹け
おお、春よお菓子の城へ、爆弾をしかけろ
地べたを這いずりながらシケモクの行き先を占え
詩人の
死に方は
生きてるうちに
選べない
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