#2 朝焼けが最も似合う「Kiiara」
今日の1曲。
Kiiara - Feels
¶ 雪解け水のような清らかさと冷たさ
調べていても情報が少ない彼女の名前は
Kiara Saulters(22歳)。
日本語読みをすると、キアラ・ソルターズ。
アーティスト名はKiiaraで、日本語読みはキイアラ。
アメリカ、イリノイ州出身のシンガーソングライターだ。
「透き通るような美声」とは
高音域が綺麗で
癒されるような歌声をしている歌手に
よくあてがわれる表現だが
彼女の場合は、少し異なる。
確かに、透き通るような綺麗な高音を出すが
そこには、どこか冷たさがあり
落ち着いていて、とても冷静に歌っているように聴こえる。
癒されつつも警戒してしまうような
そんな矛盾を含んだ、綺麗な歌声を持っている。
この曲を聴くのに最適な時間は
間違いなく朝方、太陽が出始め
ヒトが活動を始めるタイミングだ。
朝までお酒を飲んだり
クラブで踊ったりして
夜遊びを堪能したすさんだ心に
スッと鋭利に入り込んでくるのだ。
朝帰りをして、疲れた心と耳と脳に
癒しを与えつつ、自戒を求めているような
優しく叱られている気分になり
非常に落ち着かされる。
この感情を呼び覚ます歌声はかなり稀有であろう。
¶ 単調な魅力
彼女の奏でる音楽は変わっている。
一度聴いたら
耳から離れないような
独特な音運びをする楽曲が多いが
その最初のインパクトを
1曲の間でずっと継続させるのだ。
でも飽きない。
不思議と飽きない。
何度でも聴きたくなるし
いつでも聴いていられる。
大枠で括ると
オルタナティブであろう。
もう少し細かく見ていくと
重低音を重ねた
ダウンキャストのエレクトロポップだ。
曲ごとに
表層的に変化を感じさせるが
根幹は一切ブレていない。
そんな頑固な一面も
全曲を通して見せてくる。
「私の音楽を世界に通用させる」
「時代が追い付いてこい」
と言わんばかりの圧巻のサウンドがここにある。
¶ 今、すでに恐ろしい
よく期待の若手や
新進気鋭の新人を表現する際に
「末恐ろしい」という言葉を使うが
彼女の場合は「今、すでに恐ろしい」
世の中にたくさんの天才が隠れていると思うが
彼女も紛れもなく天才であろう。
歌声は真似できるかもしれないし
似たような性質を持ったアーティストは日本にもいる。
だが、曲というのは
メロディという潜在的な個性と
歌声という顕在的な個性が相まって
始めて1曲として成り立つ。
彼女は
自分の歌声に合った世界観を
しっかりと表現することができる天才だ。
さらに驚くのは
2013年にデビューしたという事実。
その3年後の2016年に発表したアルバム
「low kii savage」の完成度は恐ろしい。
ぜひ聴いてほしい一枚だ。
¶ 必聴の一曲
Kiiara - Feels
夜遊びが過ぎ
楽しい反面、心がすさんだ時に
またここに立ち戻ろう。
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