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君をそばに感じる香りなんて、、、


突然なんだけどさ、
新しい良い香りの柔軟剤に出会いたいと思い、
柔軟剤を変えに変えたときの話をさせてね。

ある日突然ふと、服の匂いを変えたいなと思い、Google先生にいい香りのする柔軟剤を調べてもらった。
とりあえず2つ買って使ってみて、
微妙だったらまた2つ買って良いものを見つけよう、
わたしはそう意気込んでいた。

一緒に住んでいる彼にも話すと、
とても楽しそうだとノリノリだった。

買った柔軟剤を洗濯機に入れ、
スタートボタンを押す。
洗濯機がうるさいくらいの音を立てる間、
フタを開けた時にどんな香りが広がってくれるのか、
楽しみでたまらなかった。

今入れた柔軟剤はかれこれ4個目の柔軟剤。
なかなか「これだ!」と思える柔軟剤に、
彼もわたしも出会えないでいた。

洗濯が終わり蓋を開けた時、
フワッと新しい柔軟剤の香りがわたしを包んだ。
「あれ、この香り嗅いだことある」
これがわたしの1番最初の感想。
ただ、その時はなぜ嗅いだことがあるかなんて分からなくて
「まあ乾いたら香りは少し変わるし、その時にはわかるかもな」
くらいの軽い気持ちでいた。

彼と2人で洗濯物を干して、
「乾いても良い香りだといいね」
と、2人で顔を見合わせて微笑み合った。


次の日、自宅へ帰り洗濯物が干してあるところの近くに行くと、
すぐに嗅いだことのある匂いの正体に気がついた。
「あぁ、元カレだ」
彼とハグしたときにフワッと香るのと同じ匂いがした。
「だから嗅いだことがあったんだ」

別に柔軟剤に罪はないし、
わたしも後ろめたいことをしているわけじゃない。
けどなんとなくこの柔軟剤を使い続けるのはどうなの?と思った。
まあけど数ある中の柔軟剤だし、
なくなるまで使って、
また新しい候補を買ってこよう、そう思っていた。

彼が帰ってきて言った言葉は
「これ良い匂いだから今度からこの柔軟剤にしよう」
だった。

いやまあいいんだけど、いいんだけどさ、
この香りを嗅ぐたびに彼がさ、
頭の中をうろちょろするんだよなあ。
なんてことを思いながら、そうすることにした。

思い出って美化されるから変化するし、
言った言葉も鮮明に覚えてはいないけどさ、
匂いってどうして覚えているもんなんだろうね。
こんな匂い、あんな匂いって説明できるわけじゃないんだけど、
その同じ香りを嗅いだ瞬間、
全てがフラッシュバックするような、
そんなあの瞬間がわたしは好きです。
ただ、彼に抱きつくと元カレのことを思い返してしまうので、
毎回複雑な気持ちになります。

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