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ヨルダンが外出禁止令を速やかに実行できる背景には強い軍隊と警察の存在があるのかもしれない【JOCV Day253】

新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に、ヨルダン政府は3月21日からの外出禁止令を全土に発令している。

3月21日の午前7時から適用されたのだが、その日の昼過ぎには155人もの人が外出により現地警察に逮捕された。このnoteを書いている時点(日本時間3月25日23時)でヨルダン国内のCOVID-19感染者は154人(Coronavirus COVID-19 Global Cases by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU)より)である。感染者を上回る逮捕者が半日も経たずに出てしまったのだ。2日目には逮捕者はさらに増え、少なくとも693人が逮捕されている。

事実関係を並べてみたが、これを以って「ヨルダン人何をやっているんだ」と言いたい訳では全くない。緊急の発令だったので、食品や飲料水を急いで買おうとして外出した人も多いことだろう。

上の記事を見て驚いたのは、ヨルダンが緊急で外出禁止令を発令したにも関わらず、適用直後から警察が外出者をとことん取り締まっていることだ。

ヨルダンに滞在している友人(ヨルダン人、日本人)と連絡を取っているが、外出禁止令が発動してからは街中に軍や警察が多く配備されたようだ。外出者をどれくらい「取りこぼした」かは分からないが、2日間で1,000人近くを捕まえた警察のパフォーマンスは決して低いとは言えないだろう。私の友人も「今回はマジなやつだ」と言っていた。前回がどうだったかのかは私には分からないが。念のため補足しておくと、私の友人は外出していないのでもちろん捕まっていない。

新型コロナウイルスが流行する前から、ヨルダンの町を歩いていると拳銃を携えた警察や軍服を着ている人を頻繁に見かけるので気にはなっていた。いかにも軍隊が乗っていそうな車両やヘリコプターも見かけた。写真を撮ったら殺されるかもしれなかったので、残念ながら8ヶ月のヨルダン滞在期間中に私が撮った写真に警察と軍隊を映したものは1枚も無い。

実はヨルダンは軍隊や警察の維持に結構なお金と人をまわしている。ヨルダンの国防費は16.3億ドル(外務省:ヨルダン基礎データ 令和6月13日)であるが、これはヨルダンのGDPの4.9%を占める(The Economist「世界統計年鑑2019」Page82より)。日本はGDPに占める国防費が1%を超える、超えないで議論しているが、ヨルダンはGDPの5%近くを国防費にまわしており、GDPに占める国防費の割合では世界第8位に入る。

兵力はおよそ10万人(外務省:ヨルダン基礎データ 令和6月13日)と、ヨルダンの人口(約1,000万)の1%を占めている。日本の自衛官は約23万人(防衛省・自衛隊「自衛官の定員及び現員(2019年3月31日)」より)と、全人口の0.2%程度である。

ヨルダンは中東の中では安定していると言われているが、その背景には軍隊や警察が存在があると、数字でも、実際に生活をしていた身としても感じるところである。

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