9月は下げやすく、10月は下げるときは大きく下げやすい

2021年9月はマイナスの月となり、9月以降は下げやすいというアノマリーが現実となりました。このアノマリーはどの程度現実的なものなのかと思い、1981年から2020年までの40年間について調べてみました。

その結果は以下の表の通りです。

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マイナスとなった月は赤く表示していますが、これではちょっと分かりにくいので、グラフ化してみました。

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1月から12月までの間で9月が最もマイナスになっていました(40回のうち21回マイナス)。

予想外だったのは7月で、9月に次いで2番目にマイナスになっていました。

一番右の年間とあるのは1年を通してマイナスになった年の割合を示しています。25%ということは、4年に1回はマイナスの年になるということを示しています。

40年間(480ヶ月)のうち、マイナスになった月は180ヶ月。割合は37.5%でした。ここで線を引いてみると、7月から9月はマイナスになりやすく、逆に4月から5月と11月から12月はプラスになりやすいというのが分かります。

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40年間の月別平均騰落率を調べてみると、9月だけがマイナスとなりました。マイナスの月が最も多いというのと関係していそうです。

また、5%以上のマイナス、10%以上のマイナスの月について調べてみると、2月から3月と、8月から10月に集中していると言えそうです。

10月はマイナス10%以上のマイナスが2回発生しています。5%以上のマイナスの回数は少ないので、10月は下げるときは大きく下げやすいと言えそうです。

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ちょっと余談になりますが、ブラックマンデーが起きた1987のS&P500のチャートはご覧の通り。ブラックマンデーが起きた10月19日の1日だけで20.5%下落しました。これをきっかけにサーキットブレーカーが導入されましたが、2020年の新型コロナウィルスショックではサーキットブレーカーが発動。約1ヶ月の間に33.9%下落しました。

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1987年も2020年も年初来ではプラスでしたが、途中で大きな痛みを味わっています。ピーター・リンチはその著書「ピーター・リンチの株で勝つ」の中で、

「大きな下げをタイミングよく売って逃れられればそれは素晴らしいことだが、誰もそれを予想は出来ないということである。また、もし株を売り払って下げを避けたとしても、次の上げ相場に備えて買い戻すことができるだろうか?」

と述べており、そのとおりだなと思っています。

まとめますと、月別では
・9月は下げやすいというアノマリーは本当のようだ
・9月は唯一平均騰落率がマイナスの月
・5%以上の下げ、10%以上の下げが集中しているのは2~3月と8~10月
・下げの回数は少ないが、大きく下げやすいのは10月

年間では
・4年に一度はマイナスの年がある
・5~6年に一度は5%以上の下げがある
・10年に一度は10%以上の下げがある
・マイナスの月が6回以上あると年間でマイナスになりやすい

と言えそうです。

「ピーター・リンチの株で勝つ」の中で、株価の下落について以下のように述べています。

・私は常に、投資家はマーケットの上げ下げは無視すべきだと信じてきた。
・こんな交通事故のような出来事で自分のポートフォリオを台無しにするな。
・五〇八ポイントであろうと一〇八ポイントであろうと、ダウが下がっても、よい企業は生き残り、平凡な会社は失敗し、それぞれの投資家はそれなりの報いを受ける。
・歴史はわれわれに、調整(10%以上の下げ)は二年ごとに、弱気相場(20%以上の下げ)は六年ごとに起こると告げている。そして暴落(30%以上の下げ)も、悪夢の1929~32年以来、五回起きている。

21世紀の最初の10年はITバブル崩壊とサブプライムローン問題でイマイチでしたが、次の10年は比較的堅調に推移してきました。その次の10年間(2021年~2030年)はどうなるのか分かりませんが、ピーター・リンチの言葉は頭の片隅に置いといてもいいのではないかと思います。

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