14〜18週 もう一つの発表
前回の記事にまとめて書いていたんだけれど、長くなりすぎたので二つに分けることにした。
この14〜18週の時期(2015年12月)にもう一つ、僕たち夫婦には重大な出来事があった。それは、2016年4月からのプラハ駐在内定だ。この転勤を受けるということは、妊娠31週になる妻を一人日本に残し、自分は見知らぬ土地で数年間を過ごすということだ。
この転勤話は僕たち夫婦として受けるという結論に至ったわけだけれど、二つ返事で決まったわけではない。長い時間、互いの思いや考えを出し合って、話し合いを重ねた結果だった。その内容は別の機会においておいて、この時期はお互いの意見を最終確認し、受けることになった。
海外駐在が決まると、赴任前にやっておきたいこと、やらなければならないことがどっと増える。例えば、ビザや就労許可取得のための書類の準備、伝染病の予防接種などはもちろん、語学力強化、現地文化の理解、現地組織の把握、ビジネス状況・環境の把握、社内各部署との関係構築・強化、後任への引き継ぎなど実務上必要なこと、歯や既往症の治療、家計の配分見直し、読みたい本の確保などなど、挙げればきりがない。
短時間で対応できるものはいいとして、僕の場合はまず歯の治療を始めた。歯や既往症の治療は海外旅行保険の適用外で、全額自己負担になるため、海外で治療するとびっくりするほど費用がかかる。しかも歯は治療開始から終了まで時間がかかる。なので早めにかかりつけの歯科医院へ行き、検診と治療を行った。短期集中治療というものもあるので本当に時間がない方はこちらも活用するといいと思う。ただし、一回の通院で複数箇所を治療するので一回の治療時間が長くなることや、短期では治療できない虫歯もあるので注意が必要。僕はやったことがないのでご自身でよく調べてご判断を。
ちなみに保険適用外となるのは出産も同じで、例えばアメリカで出産する場合、普通分娩で100万円程度、帝王切開で200万円程度、追加入院で1〜3万円/泊+処置費用が、自己負担でかかるらしい。もちろん渡航費や滞在費は別途必要。訴訟を避けるため帝王切開になる率が高いのと、産後すぐに退院が基本なのも日本との違い。これもネットで調べた程度の情報なので、海外での出産に興味がある方はご自身でよく調べてご判断を。
話を戻し、赴任前にやっておきたいことについて。「歯医者かよ!」とつっこまれそうだけど、僕からしたらこの時間の取られ方はなかなか痛い。平日は相変わらず帰りが遅い(仕事が遅くてすみません、とほほ)。せっかく妻と一緒にいられる週末も、日曜日は以前から通っていた英語の学校があり、予習復習もみっちり必要(英語しょぼくてすみません、とほほ)。でも、赴任前の週末はあと15回ほどしかなく、あとは年末年始の休みがあるだけ。そこに毎週土曜日、歯医者でちょこちょこと時間を取られる。これは、歯も心も痛いでしょ!
そこで僕は一人でやる趣味を控えることにした。クラヴマガ(護身術)とランニングである。毎週通っていたクラヴマガのジムを月一回程度にし、ランニングは休止(寒かったからというのもあるけど)。歯の治療と英語の勉強は続けて、自分のやりたいこともやりつつ、妻との時間も作ろうと心がけた。妻も週末に仕事が入ることが多かったけど、英語のクラスの時間と合わせるよう調整してくれた。
歯の治療以外にやりたかったことの一つは、社内各部署との関係構築・強化。日系企業の海外駐在員の最大の武器は何か?
語学力?事務処理能力?国際感覚?
僕が海外研修で最大の武器だと感じたのは、本社とのパイプだった。
日本を出れば英語や複数の言語ができる人は腐るほどいる(だからやらなくていいという意味じゃないけど)。事務処理がバリバリに出来る人もいる(日本人的な「誠意を見せる」人は少ないけど)。国際感覚って何??
ところが、「俺は本社に顔が効く!」と言った瞬間、どんな凡庸な日本人も海外では希少価値が抜群に上がる(日系企業に限る)。とても残念な事実だけど、まず相手に「こいつに話してみようかな」と思わせることが肝心。実力は機会を得なければ発揮できないわけで。
ということで、日系企業の伝統的な関係構築・強化方法、飲みニケーションだ!と言えないのが身重の妻を持つ夫。まあ、そもそも飲みニケーションって…と思うところもあるけれど。幸い僕は今の会社に入社して約10年で4部署、3地域を経験していて、独身時代からたくさんの人に飲みに付き合ってもらっていた。ここはその資産で食い繋ごうと決めた。
とはいえ、歓送迎会や打ち上げなどに一切出席しないというのもかなり感じが悪い。そこで、一次会帰宅組になることを宣言。一次会が終了したら二次会以降には参加せず、飲み会も早めに切り上げる。これで僅かながらの妻との時間を確保。自分の壮行会では二次会も行ってしまったけど…
その他、必要事項はなるべく業務時間内に、必要ではないけどやっておきたいことは移動時間や妻が仕事の時間にやるようにした。
一緒にいるだけで何もしなかったとしても、夫婦一緒の時間は大切。妊婦かどうかは関係なく、僕はそう思う。
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