14年

あれは6月中旬、まだローンチしてないLINEでなく、ガラケーのSMSで、幼馴染みから夜半に連絡をもらった。
急ぎ地元に集えと。礼服を支度し懐かしいが真っ暗闇を終電で地元に帰る。

普段は凛とした美しさに満ち溢れてたはずの子が、髪の毛も振り乱し若干白髪混じりも目立つ程の姿で喪服姿で喪主に並び、参列者にお辞儀してた。

紛れもなく、かの方はもう人妻の幼馴染み。
もう少し正確に書けば、学生時代の多くの時を共に過ごした、サヨナラした元カノ。

故人の夭折に胸に込み上げる哀しみを耐えつつ、お弔いした。

亡くなられた子も仮に生き続けていれば、もう成人を過ぎ社会人となっていたろうか？数えで言えば、今年で歳は27歳の代。

適齢期だったろう。きっと素敵な可愛いお嬢さんになられていたろうと思うと、心が折れそうになる。

一番可愛がっておられた最愛の一人娘との永遠の別れに、訣別が出来ずにぐずる背中をそっと手を添え無言の慰め出来たのは過去の仲ゆえだろうか。

旦那さま居られる人妻なのに気まずいより、人として今ここで「支えない旦那さまへの微妙な違和感」を感じてしまった。
年上の旦那さまと、同級生との、感覚の差？だったろうか？

葬儀を終え、その後、自分は地元を離れ都内に住まうようになった。

同窓会らしきものは、来たい人と、過去と現代を繋げたくない人とで綺麗に分かれ、住まう地域は同じ関東だが、お子さんの年齢やPTAに習い事、お受験など中々再開の機会には恵まれなかった。

かつて大好きだった人が、大泣きしてる姿を、野放図に放置出来ない自分が居て、

それは何より自分を捨てた母親の、対極の母性に見えてしまっていて、果てしなく気高く感じた。

側から見たら鬱陶しいマザコンでしかないが。

幸い、捨て子でも、憎まれっ子世に憚られつつ、だらしなく生きてしまってはいる。

月命日には、最寄駅の花屋さんで必ずお花を買うことにしている。
欠かしたことはない。

必ず、ピンクのラベンダーか、ミニひまわり。

花弁の下に、十文字に虫ピンを差し、花自体が首折れぬよう、花びらが簡単に散らぬよう、水切りして一輪挿しに飾る。

他家のお墓に、お詣り出来ない、
また後で知ったが、旦那さんの家のお墓に入りたくないそうで、納骨をせずにいると知り、

尚のことキチンと御霊を弔おうと思った。

別の話。

NYから帰国し久々のトーキョー暮らしに戻った頃は実にダラしなかった。
大して飲めなくなったのに酒ばっかり飲み歩いていた。

飲み方は静か。

酔うと逆にきょとんと大人しく穏やかになる。

騒いだり、外車で乗り付けて植込みに車の窓から吐いて去ってゆく、かつて華やかなりし芸能人たちを、横目に随分西麻布にいる夜が続いてた。

いい奴にも悪い奴にも会ったし、だからこそ、人を選んで歳取った分、まともに生きようとぼんやり思ってた。

飲み仲間の女と話した話題が、「墓」。

別れたんだよね、あたし。

え？あのイケメン御曹司と？

うん、何か遊ばれちゃったっていうか、浮気されてて自分が本命だと思ってたら、向こうが本命、こっちは腰掛けだって。

有りがちな痴話話。

で、どうすんの？これから？新しいパートナー探すとか、お見合いするとか無いわけ？

まぁ、下世話で加減も付けない直球で聴くけど、お互い本音で語るスタイルは、学部時代のインカレサークル時代からの知り合いなので、まぁ、お付き合いはしてないが、こいつ何者？！とはならない旧知の仲。

洒落だけど、先輩付き合わない？

無いなー、すまん。

即答で却下したら、流石に後輩とはいえ、傷心だったか？号泣された。
ボトルもフルーツも、寿司の出前も好きな物オーダーして、ご機嫌取って、話し聴くと、

最近ね、「墓の会」ってのに加わった

という。

何だそれ？　ヤバイ、カルト宗教？！

と訊くと

そうではない

と。

男に捨てられて、もうそろそろアラサー。
独身の男たちは、更に若い20代のキラキラ女子に目が行っている。

焦って、デキ婚した子もシンママ、
玉の輿婚の筈が、気付いたら家政婦状態で、浮気現場を見た！
家政婦のような本妻が見た！(ドラマラスだが、これが現実！)

あたしたち、入る墓はどうしたらいいのかね？

って、

「寂しくお酒をバーで呑む独身女性の会」

なんだそうで。

女性はどの時代も常に超現実的。

夢見る夢子さんやお花畑さんでも、それはそれで可愛いし素敵とも思えちゃう自分からすると、

えー！まだ、俺より若いじゃん！

ぐらいの衝撃波を受けた。

真夜中の青山霊園が昼間かよ？と思うほどの衝撃

かおたんラーメンは、普通に食べてたけどもさ。

自分は何してた？

って考えたら、
酒飲み歩くの辞めて、大型自動二輪免許取ったり、
欧州の大学院の、興味深い研究に学びに行こうとして、
おっさんなのに、相変わらず学生気分抜けない研究職。

そんな時期を過ぎ、西麻布に新店舗出すという子を頑張れ！って思ってたら、

パトロンが浮気し借金山程被せられて、
他の女に、子を孕ませて、

ショック受けた新装女店主が、リストカット。

おいおい。少女じゃないんだから

と思うものの、

心のどこかは

まだ少女だったのかも知れないな、

とも。

ローパースカウトの救急救命法で止血して、
西麻布から程近い日赤広尾に、くたっとなった子を

肩に背負って抱いて、救急外来。

(都立H尾はERあるが評判ちょい…と、なので敢えて行かず)

バンカーの幾人かと

策はあるか？

顧問の弁護士先生にもメールで相談した。
命は当たり前だが、取り留め、

まず心が落ち着くまで、のんびりしなよ

そんな事を言って、開店したばかりのお店の運営だけ
不正や野放図にならぬよう、信頼出来る金庫番を立たせた。

さて、現代に至り、女性だけでなく、

墓の問題は、実にシビア。

墓所を買うのか？

納骨堂なのか？

電子お経なのか？

海外プライベートビーチに散骨や風葬なのか？

最低限火葬の後、宝石に変える

人も居られる。お弔いも多様性の時代。

日本では意識しなかったが、海外では

君の信教(信じる神様)は何？

問題は、地元地域社会で穏便な小集団に加わるキヅナだったりして、
無宗教とも言いづらいものなのだが、
帰国すれば、

「宗教の人はごめんなさい、されるのが婚活の常」

である。
幼稚で未成熟で歴史の浅い多様性の無い息苦しい社会。

捨て子でも生きては来れたさ。

折に、6月21日は仏門的には十三回忌と言うのだろうか？
その翌年で、命日だった。

変わることなく花屋で花を買い一輪挿しに飾って、
聖母に、ロザリオで祈る +

その後元カノは、元旦那さまと離婚されたようで
遺る2人の息子さん達を、有名私立大学生にまで育て上げ、立派にシンママを続けておられるらしい。

とは言え、元カノももはや子を亡くした母から、かつてのようにたくましいシンママに戻ったのだろうか？

LINEでは、一応繋がってはいるが、

花の写真と弔いの一言が「既読になる事」は全く無い。

毎年、我が子の同級生だった子達が花を買って、遺影にお詣りに来てくれていると風の便りで耳にした。何よりだ。

同級生の子達が亡くなった我が子のように思えているなら幸いである。

10年一昔というが、あっという間。

また、信教あれこれあるので、そのお作法には敢えて触れない。
タブーもあろうから。門外漢はそっと心で祈るのみ。

ふっとストリーミングのアニメーションを観るたびに、
この届かない、届けようのない、哀しみと慈しみの気持ちを思い出す。

気持ちをカタチに。

そしてぼくは、「写真を撮る人」として、何故かまだ、この世に、生かされているんだよな。

FYI :
映画 『聲の形』 本予告編 (←リンクClick)

かつての君のように、飛び降りようとする子たちを、昨年も一昨年も何度も止めようとして、しくじりつつけているけれどもさ。

何ともだらしない情けない奴なのは、

高校生時代から、全く変わりないんだけれどもさ。

#生きて
#生きるも死ぬも自分次第
#君を忘れない
#Lifeis
#sweetnbitterdays  #らる #らるさんはいつでもおもてなし #BeFriending #StopSuicide